劇団☆新感線 いのうえ歌舞伎『髑髏城の七人』 | 新・法水堂

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劇団☆新感線 2011年夏興行
いのうえ歌舞伎『髑髏城の七人』
SEVEN SOULS IN THE SKULL CASTLE


【大阪公演】
2011年8月7日(日)~24日(水)
梅田芸術劇場メインホール

作:中島かずき 演出:いのうえひでのり
美術:堀尾幸男 照明:原田保(FAT OFFICE)
衣裳:小峰リリー、竹田団吾
音楽:岡崎司 音響:井上哲司(FORCE)
音効:末谷あずさ(日本音効機器産業)、大木裕介(Sound Busters)
殺陣指導:田尻茂一・川原正嗣・前田悟(アクションクラブ)
アクション監督:川原正嗣(アクションクラブ)
ヘア&メイク:宮内宏明(M's Factory)
小道具:高橋岳蔵 特殊効果:南義明(ギミック)  映像:上田大樹(&FICTION)
大道具:俳優座劇場舞台美術部
音楽部:右近健一
演出助手:山崎総司 舞台監督:芳谷研
舞踊振付:松本錦升 謡指導:市川染五郎
所作指導:飛鳥左近

出演:
小栗旬(捨之介)
森山未來(天魔王)
早乙女太一(無界屋蘭兵衛)
小池栄子(極楽太夫)
勝地涼(兵庫)
仲里依紗(沙霧)
千葉哲也(狸穴二郎衛門)
高田聖子(贋鉄斎)
粟根まこと(天部の将監)
河野まこと(三五)
磯野慎吾(兵庫の兄・磯平)
インディ高橋(平形源右衛門)
武田浩二(服部半蔵)
【関東髑髏党・天魔六部衆】
右近健一(迦楼羅の妙声)、川原正嗣(夜叉の勇健)、前田悟(修羅の障月)、山本カナコ(緊那羅の生駒)、保坂エマ(摩睺羅伽の姫蝶)
【無界の人々】
逆木圭一郎(伊佐吉)、村木仁(善十郎)、村木よし子(およし)、中谷さとみ(おさと)、浜田麻希(おまき)、平田小百合(おゆり)、松永晃幸(おひろ)、八木のぞみ(おのぞ)
【関八州荒武者隊】
仲圭太(青吉)、橋爪遼(白介)、三浦力(黒平)、岩崎祐也(赤蔵)、友部康志(黄平次)
【髑髏党鉄機兵・他】
武田浩二、藤家剛、加藤学、川島弘之、井上象策、安田桃太郎、伊藤教人、菊地雄人

STORY
織田信長が本能寺で討たれて8年、天下は豊臣秀吉の手に握られようとしていたころの関東。天魔王率いる関東髑髏党は、秀吉を唐オ関東制覇をたくらみ殺戮を繰り返していた。ある日、兵庫率いる三五ら関八州武者隊は、髑髏党に襲われている村を通りかかる。兵庫たちは村人を助け応戦するも逆に窮地に追い込まれてしまう。そこへ捨之介と名乗る若者が現れ、一騎当千に髑髏党を叩きのめす。村の生き残った娘たちを連れて兵庫と捨之介が向かった先は、噂に名高い極楽太夫がいるという関東一の色里、無界屋蘭兵衛が取り仕切る"無界"の里だった。無界の里は宿場も兼ねた色里、旅人や商人など氏素性の様々な人たちが出いりする。偶然か必然か、諸国流浪のやせ牢人を名乗る狸穴二郎衛門という男も時を同じくして里を訪れていた。ある晩、里で素性を偽って働いていた沙霧が髑髏党に襲われ、その場を助けた蘭兵衛は居合わせた捨之介を見て驚く。二人には何か因縁がある様子だ。そこへ突然、天部の将監と共に天魔王が現れ、捨之介、蘭兵衛たちの過去が明らかになり、二人を髑髏党に招きいれようとする。拒む蘭兵衛と捨之介は、無界の里を守る為、天魔王を唐キことを決意する兵庫や極楽太夫らと共に、天魔王と対峙することに……。そして、捨之介は強力な刀を手に入れるため自身の過去を知る刀鍛冶・贋鉄斎を訪ねるのだった。【公式サイトより】

1990年の初演以来、7年ごとに再演を繰り返してきた劇団☆新感線の代表作を若手中心のキャストで上演。通称“ワカドクロ”。

『髑髏城の七人』はこれまで2004年の『アカドクロ』『アオドクロ』を《ゲキ×シネ》で観たことがあるのみ。
従来は捨之介と天魔王が織田信長の影武者でそっくりの顔をしているという設定だったため、一人二役で演じてきたが(元々は古田新太さんを出ずっぱりにさせるためだったとか)、本作では信長の側近へと変更され、捨之介と天魔王を別の役者が演じることに。

古田新太さんや橋本じゅんさんといった看板役者が出ていないため少々薄味ではあったが、そこはさすがの新感線。いつもながらに飽きの来ないチャンバラ活劇を楽しませてもらった。
まぁストーリーとしては、蘭兵衛が某・信長の寵愛を受けた側近で(蘭がヒント)で、狸穴二郎衛門が某・後の征夷大将軍(狸がヒント)というあたりに驚きがなくなってしまったが…。

役者では、やはり森山未來さんと早乙女太一さんが光る。
小栗旬さんもこの作品の名物・百人斬りのシーンなどで頑張っていたが、この2人の動きがよすぎた。特に早乙女太一さんの殺陣は本当に美しく、森山未來さんも扇を使った殺陣で魅せる(舞踏振付の松本錦升は市川染五郎さんの別名)。この2人の直接対決もあるが、接吻シーンもあり(笑)。

三度目の新感線となる勝地涼さんは慣れたもの。
小池栄子さんは映像の時と変わらぬ安定感。
これが初舞台の仲里依紗さんは時折、声がかすれ、喉が心配。あと、動きが何だかどんくさい(笑)。特に走り方、歩き方をもっと研究してもらいたいもの。
そんな中、高田聖子さんが贋鉄斎とは意外なキャスティング。旦那の跡を継いだという設定で、仕上がった刀を見ては「私のように美しくない」と打ち直す贋鉄斎を楽しそうに演じていた。
裏切りの三五こと河野まことさんも着実に笑いを取っていた。

なお、関東髑髏党の天魔六部衆は元々七部衆だったが、那伽の水神坊役の吉田メタルさんが公演中に右足を骨折したため降板、一部改訂して上演された。新感線、最近そういうの多いなぁ…。