壽 初春大歌舞伎 第二部 | 新・法水堂

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演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

歌舞伎座新開場十周年

壽 初春大歌舞伎 第二部

 

 

2023年1月2日(月)〜27日(金)

歌舞伎座

 

一、壽恵方曽我

脚本:松岡亮

振付:藤間勘十郎 美術:前田剛

作曲:杵屋巳太郎 作調:田中傳左衛門

 

出演:

松本幸四郎(曽我五郎時致)

市川猿之助(曽我十郎祐成)

松本白鸚(工藤左衛門祐経)

中村雀右衛門(化粧坂少将)

中村鴈治郎(小林朝比奈)

市川染五郎(犬坊丸)

大谷廣太郎(梶原平次景高)

中村歌六(鬼王新左衛門)

中村魁春(大磯の虎)

 

STORY

大磯の廓では、富士の巻狩りの総奉行に任じられた工藤が祝宴を催しています。そこへやってきたのは、正月を祝い人々に福を招く万歳の姿に身をやつした曽我十郎と五郎の兄弟。二人は父の仇を討とうと、工藤と対面しますが…。【公式サイトより】

 

二、人間万事金世中 強欲勢左衛門始末

作:河竹黙阿弥

演出:今井豊茂

 

出演:

坂東彌十郎(辺見勢左衛門)

中村扇雀(勢左衛門妻おらん)

中村錦之助(恵府林之助)

片岡孝太郎(倉田娘おくら)

中村虎之介(勢左衛門娘おしな)

中村鴈治郎(寿無田宇津蔵)

中村芝翫(毛織五郎右衛門)

嵐橘三郎(雅羅田臼右衛門)

澤村宗之助(若い者鉄造)

大谷桂三(親類山本当助)

市川男女蔵(代言人杉田梅生)

中村松江(門戸手代藤太郎)

 

STORY

明治初年の横浜。早くに母親を亡くした恵府林之助は、父が米相場で失敗して財産を失い、伯父の辺見勢左衛門のもとで居候をしています。ところが、ケチで強欲な勢左衛門一家のもとで暮らす林之助に突然莫大な遺産金が舞い込みます。勢左衛門をはじめとした親戚たちは、林之助に取り入り、なんとしてでも金を手に入れようとしますが…。【公式サイトより】


歌舞伎座新開場十周年記念。

今年は河竹黙阿弥没後130年ということで、第一部から第三部まで黙阿弥尽くし。

 

第二部、1つ目の演目は『鎌倉殿の13人』でも描かれた曽我兄弟もの。江戸時代から新年に上演されていたというけど、仇討ってそんなにめでたい…のか?

松本白鸚さん、松本幸四郎さん、市川染五郎さんの親子3代の共演も見ものだったが、白鸚さんの声がちょっと本調子ではないような感じだったのが気がかり。

 

2つ目は“時政パパ”こと坂東彌十郎さん主演の散切もの。

エドワード・ブルワー=リットン男爵が1840年に発表した"Money"を黙阿弥が横浜を舞台に翻案した作品で、1879(明治12)年新富座にて初演。原案作品のEverlyn(エヴリン)が恵府林之助(えふ・りんのすけ)、Clara(クララ)がおくらといった具合に名前ももじってある。

「人間万事金世中」あるいは"Money"というタイトル通り、お金に翻弄される人間の滑稽さを描いていて、現代に近い分、台詞も難しいところがなく、勢左衛門、妻おらん、娘おしなの強欲親子の造形も分かりやすくて歌舞伎初心者でも楽しめる作品となっていた。

 

上演時間2時間22分(「壽新春曽我」32分、幕間25分、「人間万事金世中」1時間25分)。