ボテロ展 ふくよかな魔法 | 新・法水堂

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ボテロ展 ふくよかな魔法

BOTERO: MUGIC IN FULL FORM
 

 
【名古屋展】
2022年7月16日(土)〜9月25日(日)
名古屋市美術館
 
1932年、コロンビア生まれの画家フェルナンド・ボテロさんの日本国内では26年ぶりとなる大規模絵画展。本人監修のもと、全6章構成で70点を展示。
 
副題に「ふくよかな魔法」とある通り、人でも物でもふくよかに描くのがボテロ流。現在90歳で、チラシに用いられている《モナ・リザの横顔》が2年前、88歳の時の作品というから驚き。ちなみに今作は世界初公開とのこと。

ジャネット・ウィンターソンさんの『オレンジだけが果物じゃない』(白水社Uブックス/岸本佐知子訳)のカバーにも使われていたフェルナンド・ボテロさん。恥ずかしながら、今回の展覧会までその名前を認識していなかったけど、独特の画風は一度見たらなかなか忘れられそうにない。
人物画はもちろん、静物画ですらユーモラスで大きなキャンバスの画面いっぱいに描かれた巨大な《洋梨》はとりわけインパクト大。3点組の《黄色の花》《青の花》《赤の花》も色鮮やかに細かく花が描きこまれた労作。

カーニヴァルやサーカスの絵も多いが、人がたくさん出てくる絵で明らかに大きさの尺度が合わない人物もいて、一枚の絵の中で南米文学同様のマジック・リアリズムが繰り広げられているように感じた。
最後の6章「変容する名画」では上述の《モナ・リザの横顔》の他、ボテロさんが敬意を抱いてきた画家たちの作品をモチーフにした絵画が並び、一際ユーモラスで批評性に富んだ空間が広がっていた。