ハイバイ『ワレワレのモロモロ2022』 | 新・法水堂

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ハイバイ
『ワレワレのモロモロ2022』
 
 
【東京公演】
2022年7月7日(木)〜10日(日)
シアタートラム
 
構成・演出・脚色:岩井秀人
舞台美術:佐々木文美(快快 / FAIFAI) 衣裳:藤谷香子(快快 / FAIFAI)
舞台監督:谷澤拓巳、成瀬正子 音響:中村嘉宏
照明:中西美樹 大道具製作:鈴木太朗
記録写真:坂本彩美 映像収録:安達亨介
宣伝美術:土谷朋子(citron works) WEB:斎藤拓
ドキュメンタリー撮影:尾野慎太郎 演出助手:松本梨花
票券:藤野沙耶(東京公演) 制作:後藤かおり、新開麻子
 
『ザ・シャワー』作:武田立
武田立
 
『デート注意報』作:まりあ
まりあ
板垣雄亮(父)
松本梨花(友人)
岡部ひろき(最初のデート相手)
岡本昌也(2度目のデート相手・ピ君)
 
『目を合わせるのは優しい頃を踊りたいだけだよ』作:岡本昌也[安住の地]
岡本昌也
まりあ(恋人)
後藤剛範(父)
川面千晶(母)
松本梨花(小学生の昌也)
 
『自己紹介岡部』作:岡部ひろき
岡部ひろき
板垣雄亮(父・たかし)
秋草瑠衣子(母・みさと)
岡本昌也(友人)
まりあ(高校時代の恋人)
松本梨花(たかしの共演俳優)
 
『川面の出産』作:川面千晶
川面千晶
後藤剛範(夫・諏訪雅/赤ん坊)
岡部ひろき(担当医)
秋草瑠衣子(産婦人科医/先輩女優・赤間/看護師)
松本梨花(看護師)
まりあ(看護師)
岡本昌也(医師)
板垣雄亮(前院長)
 
『新宿マスカレードカフェ』作:秋草瑠衣子
秋草瑠衣子
岡本昌也(こするちゃん)
板垣雄亮(ナオミ)
後藤剛範(サイトウ)
岡部ひろき(イベント参加者/映画好きの友達)
川面千晶(イベント参加者)
松本梨花(イベント参加者)
まりあ(イベント参加者)

自分の体験した「ひっでー話」を演劇化し、自ら出演する『ワレワレのモロモロ』の最新版。ハイバイが中心になるのは6年ぶりだとか。
 
舞台床にはグレーのカーペットが2本、斜めに走り、端の方は丸まった状態。下手にそれに被さるように木目調のロールが滑り台のように落ちている。
その他、緑の枠組で作られた立方体が上手にあり、パーツをスライドしたり、開いたり、取り外したりして活用。下手側にも同じような枠組が壁のように配置。
 
開演時間になると武田立さんが挨拶を登場して、いつもの前説(内容を知っていても毎回笑ってしまう)の後、東京公演のみの『シャワー』。武田さんがシャワーを浴びながらムダ毛処理をしている時に起きた悲劇についてなのだが、うーん、ストーリーは(本来の意味での)割愛ということで。笑
 
『デート注意報』は現在21歳のまりあさんが19歳の時点(本作が上演されるのが2年前の予定だったので)で経験した2回のデートがどちらも酷かったという話。最初にデートをしたハーフの男の子は4リットルの水を飲むようにという謎指令。他にも黒以外のタートルネックを着ろとか。2回目の相手はオネエと呼ばれているようなクラスメイト。彼女とのデート後、めでたく(?)同性愛者になったとか。
 
『目を合わせるのは優しい頃を踊りたいだけだよ』は岡本昌也さんがリストカット癖のある女性と付き合っていた頃の話。精神的に不安定な彼女を慰めつつセックスに持ち込むのがいつもの流れだったが、彼自身、父親が母親に暴力を振るうような家庭に生まれ育ったことによるトラウマを抱えていた。
カネコアヤノさんの「家族について」がいい感じに使われていた。
 
『自己紹介岡部』は岡部ひろきさんが舞台俳優を目指すようになる経緯。
父・岡部たかしさんの浮気が原因で両親は離婚し、ひろきさんは美容師をしている母親とともに和歌山で暮らし始める。ところがある日、家に帰ってみると父親が家に。どうやら、東日本大震災をきっかけに連絡を取り合うようになっていたらしい。最初はぎこちなかったものの、徐々に慣れてくる。
その後、反抗期を経て、将来が見出せずにいたひろきさんはある時、父親が出ている舞台の大阪公演を観たことがきっかけで舞台俳優に興味を持ち、後日、送ってもらった台本を片手に台詞の練習をするあたりでやたらと泣けてきてしまった。ひろきさんが観た作品というのが城山羊の会『自己紹介読本』(2016年初演)で、その後、同じ城山羊の会の『石橋けいの あたしに触らないで!』で親子共演しているのを見ているだけに尚更グッと来たのかもしれない。
 
『川面の出産』はそのタイトルの通り、ハイバイの劇団員・川面千晶さんが出産した際のエピソード。いやもうここまで自らの出産体験を再現できるのも川面さんぐらいしかいないんじゃないかという気がするけど、大いに笑わせながらも、改めて出産の大変さが伝わってくる。夫のヨーロッパ企画・諏訪雅さんのマイペースぶり(食欲のない妻の傍らでビールを飲んだり)&優しさ(アイスクリーム買ってきたり)にほっこり。
 
最後の『新宿マスカレードカフェ』は宝塚歌劇団を24歳で退団した後、東京に戻ってきた秋草瑠衣子さんが新宿2丁目にあるお店「マスカレードカフェ」でバイトをしたり遊んだりした中で出会った人々について。その店で男装して「王子」と呼ばれるようになった秋草さんが、女装をした男性(こする)と付き合うようになり、ラブホテルに行って初体験……と、元宝塚の方がこんなことまで開けっぴろげに語っちゃっていいの!?と観ているこちらが心配になるほどだったけど、何だか人生を楽しんでいるなぁという感じ。
 
上記の舞台美術、特に岩を用いた演出も面白かった。

今回、『ワレワレのモロモロ』を観るのは初めてだったけど、岩井さんのオリジナルじゃなくても充分に面白いし、ハイバイの色になっている。『いきなり本読み!』にしてもそうだけど、岩井秀人さんのプロデュース力はさすがだなぁと感心しきり。

 
上演時間2時間19分。
 
岡部たかしさんが岡部ひろきさんに勧めた映画。

 

秋月瑠衣子さんが恋人に勧められた映画。その後、映画館でバッタリ。