劇団普通『秘密』 | 新・法水堂

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年間300本以上の演劇作品を観る観劇人です。ネタバレご容赦。

劇団普通

『秘密』

 

 
2022年4月20日(水)〜24日(日)
王子小劇場
 
作・演出:石黒麻衣
舞台監督:黒澤多生(青年団)
照明:福島健太、松林茜
舞台写真撮影:福島健太 映像撮影:宮崎陽介
宣伝美術:関根美有
当日運営:松本悠(青春事情)
 
出演:
用松亮(由紀の父親)
堤千穂[鵺的](由紀の母親)
安川まり(由紀)
三瓶大介(由紀の兄・哲也)
しまおみほ(哲也の妻・亜希)
佐藤有里子(由紀の同級生の親・本谷妻)
小野ゆたか[パラドックス定数](由紀の同級生の親・本谷夫)
直木ひでくに(由紀の母方の従兄・日出夫)
青柳美希(日出夫の妻・美佐子)
 
STORY
老いた父、老いた母、そして私。老夫婦の暮らす一軒家で、少し前から普段は見かけぬ娘が生活をしている。地方の何の変哲もない小さな家庭を舞台に、そこに生活する者の埋もれそうな小さな声を聞く。【公式サイトより】

《佐藤佐吉演劇祭2022》参加作品。
 
舞台にはテーブルと4脚の椅子。隅に植木鉢。普段の劇場がむき出しにされ、壁にはスピーカーや箱馬、脚立の類も見られる。
 
壁の陰から由紀役の安川まりさんと父親役の用松亮さんが現れ、テーブルに着席して会話が始まる。由紀の家の日常生活の一コマを切り取ったかのような出だしで即座に引き込まれる。
『病室』同様、台詞は全篇茨城弁でとにもかくにも会話がリアル。本作には4組の夫婦が登場するが、いずれもこういう夫婦いそうだなと思わせてくれる。親や親戚、近所の人などがモデルとなっているのかも知れないが、これだけリアルな会話が書ける石黒麻衣さんの腕前は見事。
 
その台詞を使いこなす役者陣にもアッパレ!(byサンデーモーニング)。安川まりさんも用松亮さんもよかったけど(腰を痛めた経緯を何度も繰り返すくだりが最高)、母親役の堤千穂さんが凄すぎた。
最後の方なんて何か台詞を一言発するだけで、いや発していなくてもその佇まいや表情だけで涙腺を刺激され、由紀の手をさすってやるシーンで涙腺崩壊。
鵺的で何度か拝見しているけど、まだ30代ということに改めて驚き。
 
なお、本谷夫妻の夫役には当初、坂井水産の家田三成さんがキャスティングされていたが、新型コロナウイルスに感染のため降板。『病室』にも出演していたパラドックス定数の小野ゆたかさんが代役を務めていたけど、出演経験のある方じゃないと台詞をこなすのも大変だろうな。
 
上演時間1時間57分。