ミュージカル『笑う男 The Eternal Love-永遠の愛-』 | 新・法水堂

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演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

MUSICAL『笑う男 The Eternal Love-永遠の愛-』

The Man Who Laughs

 

 

【東京公演】

2022年2月3日(木)~19日(土) ※3日~9日は公演中止

帝国劇場

 

脚本:ロバート・ヨハンソン 音楽:フランク・ワイルドホーン

歌詞:ジャック・マーフィー 編曲・オーケストレーション:ジェイソン・ハウランド

翻訳・訳詞・演出:上田一豪

 

スーパーヴァイザー・指揮:塩田明弘 音楽監督:小澤時史

歌唱指導:山口正義、堂ノ脇恭子 振付:新海絵理子、スズキ拓朗

美術:石原敬 照明:笠原俊幸 音響:山本浩一

映像:奥秀太郎 衣裳:前田文子 ヘアメイク:岡田智江(スタジオAD)

アクション:渥美博 舞台監督:廣田進 演出助手:森田香菜子

指揮:田尻真高 オーケストラ:東宝ミュージック、ダット・ミュージック

稽古ピアノ:國井雅美、中條純子、中野裕子

アシスタント・プロデューサー:清水光砂 アソシエイト・プロデューサー:塚田淳一

プロデューサー:服部優希、馬場千晃

宣伝美術:植田麗子、大江早季 (TOHOマーケティング) 宣伝写真:森﨑恵美子

 

出演:

浦井健治(グウィンプレン)

真彩希帆[Wキャスト](デア)

山口祐一郎(ウルシュス)

大塚千弘(ジョシアナ公爵)

吉野圭吾(デイヴィッド・ディリー・ムーア卿)

石川禅(フェドロ)

港幸樹(コンプラチコの長・ドクター・コンクエスト)

上野哲也(秘密警察の長・ワペンテイク/貴族院の議長/グウィンプレンの父親)

宇月颯(ウルシュス一座・フィーヴィー)

清水彩花(同・ヴィーナス)

内田智子(アン女王)

小原和彦(ウルシュス一座・トカゲ男/貴族院議員 他)

棚橋麗音(ウルシュス一座・足長男/貴族院議員 他)

早川一矢(ウルシュス一座・踊り熊/貴族院議員 他)

福永悠二(ウルシュス一座・人喰い族/貴族院議員 他)

森山大輔(ウルシュス一座・マスター・ニクレス/貴族院議員 他)

池谷祐子(ウルシュス一座・占い女/使用人 他)

島田彩(ウルシュス一座・猿少年/使用人 他)

富田亜希(ウルシュス一座・調教師/使用人 他)

松浪ゆの(ウルシュス一座・男女) ※休演

美麗(ウルシュス一座・蛇女/使用人 他)

石田佳名子(観客/使用人/グウィンプレンの母親 他)

吉田萌美(観客/使用人/デアの母親 他)

仙名立宗(コンプラチコの一員・ハーカー/貴族院議員 他)

横沢健司(ワペンテイクの従者/貴族院議員 他)

ポピエルマレック健太朗[トリプルキャスト](リトル・グウィンプレン)

 

STORY

1689年、イングランド、冬。“子供買い”の異名を持つコンプラチコの手により、見世物として口を裂かれ、醜悪な笑みを貼り付けられた少年グウィンプレンは、一行の船から放り出され、一人あてもなく雪の中を彷徨う。その最中、凍え死んだ女性が抱える赤ん坊、後のデアを見つけ、道すがら偶然辿り着いた興行師ウルシュスの元へ身を寄せた二人は、彼と生活を共にすることになる。時はたち青年に成長したグウィンプレンは、その奇怪な見た目で“笑う男”として話題を呼び、一躍有名人になっていた。盲目であるデアと共に生い立ちを演じる興行で人気を博す二人は、いつしか互いを愛し合う関係となる。そこへ彼らの興行に興味を持ったジョシアナ公爵とその婚約者デイヴィッド・ディリー・ムーア卿が来訪する。醜くも魅惑的なグウィンプレンの姿に心を惹かれたジョシアナは、彼を自身の元へ呼びつけ誘惑する。突然の愛の言葉に動揺するグウィンプレンがウルシュスらの元に戻ると、突然牢獄に連行され、そこで王宮の使用人フェドロより衝撃の事実が明かされる―。本当に醜いのは、刻まれた貧者の笑顔か、それとも富める者の嘲笑か。運命に翻弄される“笑う男”が辿り着く先に待っているものとは―。【公式サイトより】


ヴィクトル・ユーゴーの小説をミュージカル化。

一昨年、無料配信されたブリストル・オールド・ヴィック版とは別物で、2018年に韓国で初演、日本では翌年、日生劇場で初演された作品の再演。


今週は渋谷・コクーン歌舞伎『天日坊』と言い、Project Nyx『さんせう太夫』と言い、そして本作と言い、主人公の出生の秘密が重要な要素となる作品が続く。

特に『さんせう太夫』と本作は後半の展開がそっくりで、どちらも主人公は一旦は高貴な身分となりながらもそれを捨て、最愛の人との再会を果たす。ついでにその相手が盲目という点も同じ(さんせう太夫の母親は後天的なもの)。

まさかユーゴーが日本の説経節を参考にしたとも思えないので偶然なのだろうけど、自分にとって最も大事なものの前では地位や名誉、ましてや金など何の意味もないというのは万国共通なのであろう。


大塚千弘さん贔屓だからというわけでもないと思うけど、本作はブリストル版に比べるとジョシアナ公爵の内面がしっかり描かれていて存在感が大きい。アン女王の異母妹で、グウィンプレンやデアと比べようもなく恵まれた立場にありながら、本当に欲しいものは手に入らないという彼女こそは本作の実質的なヒロインと言ってもいいぐらい(その証拠?にカーテンコールではデアの後に登場)。

大塚千弘さんの産後復帰作ということで観に行ったようなものだが、これほどまでに歌う場面が多いというのも嬉しい誤算。変わらぬ歌声に惚れ惚れ。ワインレッドの衣裳もよかった(アン女王の衣裳には負けるけど。笑)。


浦井健治さんの甘い歌声、帝国劇場は初めてという真彩希帆さんの儚げな佇まい(白い衣裳は無垢の象徴であろう)、いつもと若干キャラが違う山口祐一郎さんといった布陣も文句なし。もう一人楽しみだった石川禅さんは一幕の終盤になって登場。相変わらずの歌声だったけど、もう少し活躍して欲しかったところ(吉野圭吾さんとの絡みでは『ジェイミー』を思い出した)。


今回はおけぴ+チケットぴあ合同観劇会ということで、カーテンコール時に浦井健治さんと真彩希帆さんから挨拶。

 

上演時間2時間50分(一幕1時間17分、休憩25分、二幕1時間8分)。