流山児★事務所
『彗星の一夜』
2021年5月3日(月)~17日(月)
観劇三昧LIVE
※4月27日(火)、Space早稲田にて収録
原作:岸田國士「麺麭屋文六の思案」「遂に『知らん』文六」より
構成・演出・振付・舞台美術・衣装デザイン:北村真実
音楽・演奏:鈴木光介
芸術監督・演出協力:流山児祥
照明:横原由祐 音響:島猛 音響操作:川崎理沙 映像:浜嶋将裕
振付助手:木内尚 舞台監督:山下直哉 舞台監督助手:松永将典
演出助手:本間隆斗 舞台写真:横田敦史
制作:竹本優希、荒木理恵、里美和彦
出演:
上田和弘(河津文六)
伊藤弘子(その妻・おせい)
松永将典(その倅・廉太)
山丸莉菜(その娘・おちか)
里美和彦(止宿人・梶本京作)
竹本優希(お園)
荒木理恵(女)
橋口佳奈(別の女)
木暮拓矢(青鬼/新聞記者・浜木万籟)
春はるか(赤鬼)
本間隆斗(亡者甲)
山下直哉(亡者乙)
平野直美(亡者丙)
STORY
◎序 (麺麭屋文六の思案)
明日の晩11時には地球滅亡! 売笑婦の家の前には100人からの男が呆然と、絶望的に立っている。自分だけの女と、天の灰になろうと。街は騒然としている。公園には男と女。神はあるかないかではない。信じるか信じないかだ。楽しかったことは繰り返せ。求めて得なかったものを求めよ、好きな酒は飲め、歌ひたきものは歌へ、踊りたきものは踊れ。廉太は教会の丸尾先生に聞きに家を飛び出す。「神がゐなくなるんだったら、僕、このまゝ死ぬのは嫌だ」
◎第一場 (遂に「知らん」文六)
麺麭屋の店に続く茶の間に文六とおせい。二階の屋根裏には、文六の思案の一つ、17歳の娘おちかと42歳の止宿人、京作。いよいよ今晩、地球滅亡か。
◎第二場
中央に厳しき城門。亡者の国への入り口。神を信じる文六の見た夢か。
◎第三場
文六の家の茶の間。11時経過。廉太が女を連れて帰ってくる。「僕……この人と約束したんだよ。結婚するつて……」総ての人間が、生まれ変わる。夫婦、兄妹、家族、男女。【「観劇三昧」公式サイトより】
4月23日(金)~29日(木)にSpace早稲田にて上演予定だった作品。
3月に上演されたリーディング公演に続いて劇場に観に行くつもりだったが、緊急事態宣言発令により27日以降の公演が中止となったため、「観劇三昧」の配信にて。
最初に「あらすじ」(上記参照)が表示された後、本篇が始まると舞台全面に細長い布がぶらさがっており、そこに映像が映写される。場面としては「序」にあたり、喧嘩をする男たち、浜木万籟の演説、丸尾先生のもとへ行こうとする廉太、そして踊る男女が映し出される。
この十数分間の映像がカッコよく(さすがは浜嶋将裕さん)、ここだけでも一見の価値あり。
「序」が終わると布が外され、真っ白い空間がまばゆく光る。下手に演奏の鈴木大介さん。
そこからの本篇はノンバーバルということだったけど、結構普通に台詞は残っていたものの、音楽と映像、役者の肉体表現により、約100年前の作品が新たな形で甦る。
彗星の衝突による地球の滅亡と文六の子供たちの問題とが同列に描かれているのが面白いところだが、とりわけ第二場の城門のシーンが悪夢的でよかった。
配信時間59分。