『男はつらいよ 寅次郎サラダ記念日』 | 新・法水堂

新・法水堂

演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

『男はつらいよ 寅次郎サラダ記念日』
 

 

1988年日本映画 100分

原作・脚本・監督:山田洋次

原作:俵万智「サラダ記念日」河出書房新社刊より  脚本:朝間義隆

プロデューサー:島津清  企画:小林俊一
撮影:高羽哲夫  美術:出川三男  音楽:山本直純
録音:鈴木功  調音:松本隆司  照明:青木好文  編集:石井巖

スチール:長谷川宗平  監督助手:五十嵐敬司

装置:森篤信  装飾:露木幸次  美粧:宮沢兼子  衣裳:松竹衣裳

現像:東京現像所  進行:副田稔  製作主任:峰順一

主題歌:「男はつらいよ」作詩:星野哲郎、作曲:山本直純、唄:渥美清

協力:早稲田大学、小諸市、柴又神明会

 

出演:渥美清(車寅次郎)、倍賞千恵子(諏訪さくら)、三田佳子(原田真知子)、三田寛子(姪・原田由紀)、尾美としのり(早大生・尾崎茂)、下條正巳(車竜造)、三崎千恵子[三﨑千恵子](車つね)、前田吟(諏訪博)、笠智衆(御前様)、太宰久雄(朝日印刷社長・桂梅太郎)、佐藤蛾次郎(源吉)、吉岡秀隆(諏訪満男)、鈴木光枝(中込キクエ)、奈良岡朋子(真知子の母・原田八重子)、すまけい(院長)、三国一朗(富永教授)、笹野高史(靴泥棒)、関敬六(ポンシュウ)、笠井一彦(印刷工・中村)、マキノ佐代子(朝日印刷職員・ゆかり)、北山雅康(くるまや店員・北上三平)、武野功雄(車掌)、篠原靖治(キクエの親族)、川井みどり(葬儀の親戚)、光映子(看護婦)、石川るみ子(江戸家の女将)、菅野志桜里(恵子)、出川哲朗[クレジットなし](テキヤの若い衆)、露木幸次[クレジットなし](備後屋)、谷よしの[クレジットなし](葬儀の手伝い)


STORY

初秋の信州、寅はバス停で出会った中込キクエという老婆の家で一晩世話になった。翌朝、原田真知子という美しい女医が迎えにきた。老婆は体が悪く、寅の説得もあって入院することになった。寅は真知子の家で彼女の姪・由紀と共に夕食をご馳走になった。由紀は早稲田の学生で短歌を趣味にしていた。寅は真知子に一目惚れ、真知子も寅に亡き夫の面影を重ねて好意を持ったが、夕食が終わると帰って行った。東京に戻った寅は真知子を忘れられずに早大へ由紀を訪ねた。教室に紛れ込んだ寅は尾崎茂という学生に声をかけて無事に由紀と再会。たまたま実家に帰ってきていた真知子は由紀から寅のことを聞き、「くるまや」に電話をかけてくる。数日後、真知子は由紀や息子・亮を連れて「くるまや」を訪ねてきた。さくらやおばちゃんが暖かく迎えてくれ、寅も真知子も楽しい一日を過ごした。しばらくして由紀から連絡が入った。信州のお婆ちゃんが危篤だという。寅はすぐ茂と由紀の運転する車で信州に向かった。残念ながら寅は臨終には間に合わなかった。病院を辞めたいという真知子を励まし、寅は由紀にそっと別れを告げたのだった。【「KINENOTE」を加筆修正】


前作から1年ぶりとなるシリーズ第40作。

記憶にある限りでは、これが初めて劇場で観た寅さん映画。

 

本作より「とらや」の屋号が「くるま菓子舗」となり、店員の三平が登場。

タイトルはもちろん公開の前年ベストセラーとなった俵万智さんの『サラダ記念日』から来ていて、本篇にも短歌がたびたび表示される。

由紀との別れ際、寅さんが由紀の作ったサラダを食べて「うん、いい味だ」と言い、その後に表示されるのが、「寅さんが「この味いいね」と言ったから師走六日はサラダ記念日」。さすがにこれはどうなのよ。笑


本作で満男は進路に悩む高校生となっているのだけど、寅さんはどうして大学で勉強するのかと聞かれて何か壁にぶち当たったときに筋道立てて考えられるようにするためだと答える。

それはまぁいいのだけど、気にかかるのはその後、自分は筋道立てて考えることができないからと医師を続けるかどうか悩む真知子の前から立ち去る点。大学を出なきゃ恋愛ができないわけじゃあるまいし、寅さんの方がよっぽど豊かな人生経験をしてきたのは大学の講義に紛れ込んで学生たちが教授そっちのけで寅さんの話を聞きたがったのを見ても明らかなのに。


尾美としのりさんが大学生役というのも違和感があったけど、年齢的には三田寛子さんと同学年でおかしくはないんだよな。老け顔のせいかな(こら)。

笹野高史さんはオープニングは小諸で、最後は島原で靴泥棒として登場。日本全国を泥棒して回っているのか、この人は。笑

おばあちゃん役の鈴木光枝さんも印象に残る演技だったけど、「KINENOTE」ではお名前と役名が逆になっている。しっかりしてよ、キネマ旬報社さん。