『あの夜、マイアミで』 | 新・法水堂

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『あの夜、マイアミで』

ONE NIGHT IN MIAMI...

 

 
2020年アメリカ映画 114分
監督・製作総指揮:レジーナ・キング
原作戯曲・脚本・製作総指揮:ケンプ・パワーズ
音楽:テレンス・ブランチャード
撮影:タミ・レイカー  編集:タリク・アンウォー
日本語字幕:香月縁
 
出演:キングズリー・ベン=アディル(マルコムX)、イーライ・ゴリー(カシアス・クレイ)、オルディス・ホッジ(ジム・ブラウン)、レスリー・オドム・Jr(サム・クック)、ランス・レディック(マルコムXの護衛ブラザー・カリーム)、クリスティアン・マグビー(同ジャマール)、ホアキナ・カルカンゴ(マルコムの妻ベティ・シャバズ)、ニコレット・ロビンソン(サムの妻バーバラ・クック)、マイケル・インペリオリ(カシアスのトレーナー・アンジェロ・ダンディー)、ローレンス・ギリアード・Jr(カシアスのセコンド・ドルー・バンディーニ・ブラウン)、ボー・ブリッジズ(ジムの知人ミスター・カールトン)、エミリー・ブリッジズ(その娘エミリー・カールトン)、ジェレミー・ポープ(歌手ジャッキー・ウィルソン)、クリストファー・ゴーラム(ジョニー・カーソン)、ジェローム・A・ウィルソン(NOI主導者イライジャ・ムハンマド)、アモンドレ・D・ジャクソン(サムの弟L・C・クック)、アーロン・D・アレクサンダー(カシアスの対戦相手ソニー・リストン)、ショーン・モナハン(同ヘンリー・クーパー)
 
STORY
1964年2月25日、マイアミで行われたタイトル戦でカシアス・クレイは下馬評を覆してソニー・リストンに勝ち、ヘビーウェイト級チャンピオンとなる。その夜、ハンプトンハウスにはマルコムX、NFLのスター選手ジム・ブラウン、歌手のサム・クックが集まり、クレイの勝利を祝う。マルコムはそこでクレイのイスラーム改宗を打ち明けるつもりだったが、クックとの間で諍いが生じる。

2013年に初演されたケンプ・パワーズさんの戯曲を映画化。
監督を務めたのはドラマ『ウォッチメン』などに出演の女優レジーナ・キングさんで、ゴールデングローブ賞にノミネートされている。
なお、アカデミー賞では助演男優賞(レスリー・オドム・Jr)、脚色賞、歌曲賞賞にノミネート。
 
マルコムX、カシアス・クレイ(後のモハメド・アリ)、サム・クック、ジム・ブラウンという各界で活躍した4人の架空の対話を通して、今なお続く黒人差別問題を描く。
NFLの選手だったジム・ブラウンについては初めて知ったけど、序盤で知人のカールトン氏を訪れた際、「誇りに思う」などと言われていたのに、いざ家具を動かすのを手伝おうとすると、「黒人(台詞ではnigger)は家に入れない」とすげなく拒否されてしまうあたりが何とも言えない気持にさせられる。
マルコムXは非暴力主義のキング牧師とは違い、黒人の権利を守るためには暴力もやむなしという立場だったが、とりわけサム・クックとの会話にその焦りを感じ取ることができる(ちなみに2人ともこの夜から1年以内に殺されてしまう)。
ボブ・ディランの「風に吹かれて」への言及もあるけど、一体いつになった黒人もアジア系も同性愛者も女性も人として認められるんだろうか。その答えは風の中にあるらしいけど。
 
レジーナ・キングさんの監督としての腕前のほどはよく分からないけど、シーンの繋がり(手の位置など)がおかしなところがいくつかあったのは気づけなかったのかねぇ。
あ、ちなみに劇中、ストーンズがカバー曲で全米ナンバー1を取ったという話が出てくるけど、ストーンズが1位を獲得したのは翌年の「(I Can't Get No) Satisfaction」まで待たなければならない。ストーンズファンを騙そうったってそうはいかんぜよ(なぜか土佐弁)。