世田谷パブリックシアター『子午線の祀り』 | 新・法水堂

新・法水堂

演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

世田谷パブリックシアター
『子午線の祀り』 
 
 
【東京公演】
2021年3月19日(金)~30日(火)
世田谷パブリックシアター
 
作:木下順二  演出:野村萬斎
音楽:武満徹
演出補:桐山知也  美術:松井るみ  
照明:服部基/北澤真  音響:尾崎弘征  
衣裳:半田悦子  ヘアメイク:川口博史
舞台監督:田中直明
 
出演:
野村萬斎(新中納言知盛)
成河(九郎判官義経)
若村麻由美(影身の内侍)
河原崎國太郎(知盛の兄・大臣殿宗盛)
吉見一豊(梶原平三景時)
村田雄浩(阿波民部重能)
星智也(武蔵坊弁慶)
月崎晴夫(平時忠)
金子あい(清盛の正室・二位尼)
時田光洋(渋谷重国)
松浦海之介(平教経)
岩崎正寛(悪七兵衛景清)
浦野真介(知盛の長男・平知章)
神保良介(越中盛嗣)
武田桂(船所五郎正利)
遠山悠介(藤原景経)
森永友基(源四郎忠信)
 
STORY
歴史上名高い源平の合戦。次第に平家の旗色は悪くなるばかり。兄・平宗盛に代わり平家軍を指揮する平知盛は、一の谷の合戦で、源義経の奇襲を受け、海へ追い落とされる。以来、武将となって初めて自分に疑いをもちつつ、知盛は舞姫・影身の内侍を和平のため京へ遣わそうとする。平家を支える四国の豪族・阿波民部重能は、三種の神器を楯に主戦論を唱え、知盛を立てて新しい日本国の存立を画策しようとする。知盛は平家滅亡を予感しながらも、後白河法皇の過酷な要求を拒絶し、徹底抗戦の道を選ぶのだった。一方、源義経は、兄頼朝から目付役として遣わされた梶原景時と対立しながらも、源氏方の先頭に立って慣れぬ海戦も乗り越えますます勢いづいていく。そしてついに両軍は壇の浦の決戦の日を迎える――。【公式サイトより】

2017年に上演された野村萬斎さん演出版をwithコロナバージョンにて上演。
31人だった出演者が17名となり、上演時間も30分以上短くなっている(それでも3時間越え)。
 
舞台中央に斜めに傾いた盆舞台があり、下弦の月のようになった部分は可動式。
平面部分からは階段で昇るようになっている。

この作品は『平家物語』を題材にした木下順二さんの代表作。1979年、山本安英の会によって初演され、その時、義経を演じたのが萬斎さんの父・野村万作さん。
「天」の視点を取り入れているということもあってか、ギリシア悲劇を観ているかのような感覚だった。また、背景に星空が映し出されると、劇場全体が宇宙空間のようで、源平合戦に限らず古代から繰り返されてきた人間の争いごとも取るに足らない些細なことだと思えてくる。
 
言い回しが特殊なのでやる方も大変だろうけど、観ている方も妙に疲れた。笑
野村萬斎さんはついつい勝呂誉を思い出してしまうのよね。
成河さんは高音も張り上げてロックンローラーのよう。
若村麻由美さん、神々しい。
村田雄浩さんの無骨な感じもよかった。
 
カーテンコールの最後はキャストが黒いマスクをして、観客に向けて拍手をしながら、客席通路を通って出て行くという演出。このご時世に劇場に来てくれたことへの感謝を表しているのだとか。
 
アフタートークは野村萬斎さんの進行の下、成河さん、吉見一豊さん、星智也さんの“源氏チーム”がゲスト。初参加となる吉見さんは「(この作品に)関わり合いたくなかった」と笑わせつつ、全体的にアットホームな雰囲気のトークであった。
 
上演時間3時間9分(一幕1時間19分、休憩20分、二幕1時間30分)。