佐藤滋とうさぎストライプ『熱海殺人事件』 | 新・法水堂

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佐藤滋とうさぎストライプ

『熱海殺人事件』

 

 
2021年3月10日(水)〜21日(日)
こまばアゴラ劇場
 
作:つかこうへい  演出:大池容子
 
舞台監督:杉山小夜  舞台美術:新海雄大
照明:黒太剛亮(黒猿)  照明操作:小見波結希(黒猿)
音響:泉田雄太  音響操作:秋田雄治  小道具:陳彦君
制作:金澤昭(うさぎストライプ)  宣伝美術:西泰宏(うさぎストライプ)
芸術総監督:平田オリザ
制作協力:曽根千智(アゴラ企画)  技術協力:黒澤多生(アゴラ企画)
 
出演:
佐藤滋[青年団](木村伝兵衛部長刑事)
実近順次(熊田留吉刑事)
高畑こと美(片桐ハナ子婦人警官)
木村巴秋[青年団](容疑者・大山金太郎)
 
STORY
熱海で工員・大山金太郎が女工・山口アイ子を絞め殺すという殺人事件が発生する。警視庁の木村伝兵衛部長刑事は、富山から赴任した熊田留吉刑事、片桐ハナ子婦人警官とともに容疑者の取り調べを始める。伝兵衛はこの事件を美的に完璧な事件に仕立てるべく周囲を翻弄する。

佐藤滋さんがうさぎストライプと組んでつかこうへいさんの不朽の名作を上演。
 
センターに部長刑事の座る豪華な机と革張りの椅子。
上手にハナ子用の小さい机と椅子。背景は市松模様状に並べられたパネル。
天井にはシーリングファン。
 
様々なバリエーションがある本作だけど、今回は1973年の初演時に近いものとのこと。
つか作品にありがちなスピードが速く、叫ぶような台詞回しはなく、ちょっとテンポが遅く感じることも。歌や音楽はあって、特に沢田研二さんの「時の過ぎ行くままに」が印象に残った。
 
テンポがゆっくりな分、改めてつか作品の持つ言葉の力を実感。
何の変哲もない事件を劇的なものに変化しようとする部長刑事、という時点でもはや普通ではないのだが、それを乗り越えてドラマに仕立て上げるつかこうへいさんの力量たるや。
つかこうへいさんが本作で岸田國士戯曲賞を受賞したのが25歳というのも驚きだが、この作品を基準にしてしまうと、今年岸田戯曲賞が受賞作なしとなったのもむべなるかなという気がしてしまうなー。
 
キャスト4人はいずれもよし。
中でも事件を再現する際の高畑こと美さん(赤いジャージは自前だそうな)と木村巴秋さん哀切極まるものがあった。
 
上演時間1時間50分。