『大魔神怒る』 | 新・法水堂

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演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

『大魔神怒る』
 

 

1966年日本映画 78分

監督:三隅研次  特撮監督:黒田義之

製作:永田雅一  企画:奥田久司  脚本:吉田哲郎
撮影:森田富士郎、田中省三  録音:大角正夫  照明:美間博、古谷賢次

美術:内藤昭、加藤茂  音楽:伊福部昭
編集:菅沼完二  特撮合成:田中貞造  作画:渡辺善夫  擬斗:宮内昌平

音響効果:倉嶋暢  助監督:西沢鋭治  製作主任:今村喬  現像:東洋現像所

 

出演:本郷功次郎(千草十郎時貞)、藤村志保(名越早百合)、丸井太郎(早百合の下男・度々平)、北城寿太郎(御子柴の家臣・鬼子島玄藩)、上野山功一(早百合の兄・名越勝茂)、内田朝雄(早百合の父・名越兵衛)、橋本力(十郎の家臣・池長俊平/大魔神)、神田隆(御子柴弾正)、平泉征[現・平泉成](十郎の部下・田部隼人)、藤山浩二(御子柴の家臣・荒井一角)、水原浩一(十郎の家臣・土肥嘉門)、高杉玄(同・吾藤三郎太)、神戸瓢介(千草の百姓・茂八)、寺島雄作(鐘撞き和助)、橘公子(度々平の母・くめ)、浜田雄史(百姓2)、黒木英男(太助)、松田剛武(百姓1)、伊東義高(百姓3)、岩田正、伴勇太郎、加賀爪清和(度々平の弟・竜太)、三木本賀代(太助の妻・とよ)、小柳圭子(茂八の妻・しげ)

 

STORY

戦国時代のころ。八雲の湖と呼ばれる美しい火口湖の岸に名越という一族と、その本家筋にあたる“千草”の一族が平和な日々を送っていた。湖の真中にある神ノ島には、一族の守護神、武神像がまつられていた。ある日のこと、千草城の若き城主千草十郎は、許嫁である名越の娘早百合と共に祖先の法要をいとなんでいた。そして、領内の平和を祈ろうと神ノ島に行った時、武神像の顔が真っ赤になっているのを見た。それは変事の前兆であった。やがて悪政をほしいままにしていた隣国の領主御子柴弾正が千草領に攻め入って来た。十郎は辛くも逃がれたが、弾正は早百合の父兵衛を殺し、兄の勝茂を人質として連れ去った。さらに弾正は、武神像をも粉々に砕いて湖に投げ捨てたが、その時、湖水は真赤に染まり、凄い雷鳴が起った。一方、十郎は傷ついていたが、早百合の看護で、身体も回復し、牢を脱出した勝茂と共に、弾正を討たんものとスキをうかがっていた。しかし、狡猾な弾正の罠にかかって、早百合ともども、捕われてしまった。弾正は、千草領の人々が大切にしている鐘を湖に沈め、十郎や早百合を火あぶりの刑に処そうとした。やがて、薪に火が点けられ、十郎たちの命は風前の灯となった。早百合は、そんな時に、必死となって神に祈るのだった。その早百合の祈りが通じたのか、突然、大地を揺がす鳴動と共に、猛り狂った武神像が現われた。そして、逃げまどう弾正方の兵を踏み潰し、危ういところで十郎と早百合を助けたのだった。弾正は武神像によって滅ぼされ、その武神像は、一瞬の間に、水滴となって湖に消えていった。そして湖の底からは、再び平和を取り戻した十郎の領地を祝福するかのように、静かな鐘の音が響いてきた。十郎と早百合は手を取り合って、長い間その音に聞き入るのだった。【「KINENOTE」より】


大魔神三部作の第2作。

 
大魔神が出てくること以外、第1作『大魔神』とは特に繋がりはなし。
このシリーズが他の特撮モノと一線を画しているのは、多分に民話的要素が含まれている点。大魔“神”だけあって神話にも通じる。大魔神が怒るのは、いわば愚かしい人間に天罰を下すため。前作同様、ヒロインの涙で大魔神の怒りが収まるあたりも一種の処女崇拝と言えるだろう。
また本作でも特撮はなかなかのもの。特にモーセよろしく大魔神の周りの海が割れるシーンは技術を補う創意工夫が感じられるし、大魔神の変身も第1作よりよかった。
伊福部昭さんの音楽ももちろん文句なし。
 
本作のヒロインは大映映画を代表する女優の一人、藤村志保さん。
デビュー翌年の平泉成(当時は平泉征)さんも出演しているが、結構面影はあり。
その他はほとんど知らない俳優さんばかりなのだけど、度々平役の丸井太郎さんは本作公開の翌年にガス自殺で31年の短い生涯を終えられたとのこと。ううむ。