『大魔神』 | 新・法水堂

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演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

『大魔神』

 

 

1966年日本映画 84分

監督:安田公義  特撮監督:黒田義之

製作:永田雅一  企画:奥田久司  脚本:吉田哲郎
撮影:森田富士郎  録音:林土太郎  照明:美間博  美術:内藤昭  音楽:伊福部昭
編集:山田弘  特撮合成:田中貞造  擬斗:楠本栄一  音響効果:倉嶋暢

助監督:西沢鋭治  製作主任:田辺満  現像:東洋現像所

 

出演:高田美和(花房小笹)、青山良彦(兄・花房忠文)、藤巻潤(猿丸小源太)、五味龍太郎(大舘左馬之助)、島田竜三(父・花房忠清)、遠藤辰雄[遠藤太津朗](左馬之助の家臣・犬上軍十郎)、杉山昌三九(左馬之助の部下・梶浦有助)、橋本力(忠清の家臣・元木半蔵/大魔神)、伊達三郎(忠清の家臣・中馬逸平)、月宮於登女(巫女・信夫)、香山恵子(忠清の妻・悠乃)、尾上栄五郎(茂助の父・吾作)、木村玄(茂助)、二宮秀樹(忠文の少年時代)、出口静宏(茂助の息子・竹坊)、伴勇太郎(左馬之助の部下・小郡主水)、黒木英男 (忠清の家臣・原田孫十郎)、志賀明(城兵頭)、大杉潤(病気の人夫)、勝村淳(山行の城兵)、森内一夫(忠清の家臣・矢倉剛蔵)、雨宮旭(城兵)、暁新二郎(同)、上原寛二(同)、森下昌子(茂助の妻・りん)、吉川初美(小笹の少女時代)

 

STORY

時は戦国、丹波のある山里の城下に恐ろしい魔神の伝説があった。この魔神は武神によって山奥の岩壁に封じこまれていたが時々暴れ出ようと、地響きをたてて人心を脅かし、領民は魔神封じの祭をして、平和を祈った。その祭の夜、城内に家老大舘左馬之助一味の諜反が起り、城主花房忠清夫妻は討たれ、遺児忠文と小笹の二人は近臣猿丸小源太とともに魔神封じの巫女信夫の手引きで、武神像の傍らの洞窟で成長をとげた。その間勢力を増した左馬之助は重税をかけ、領民の恨みをかった。城増築の大工事の作業員にまぎれた花房の遺臣たちは、連絡のため山を降りた左馬之助の腹臣犬上軍十郎に捕えられた。危難を知った忠文は山を降りたが、またも軍十郎の罠に陥り、取り押えられた。忠文らの安否を気遣う信夫は、左馬之助を訪ね、山の神の怒りの恐ろしさを伝え、彼の暴虐なふるまいを戒めた。しかし左馬之助はかえって、山の神像をこわし、花房残党と領民の結びつきを切ると放言し反対する信夫を斬殺、軍十郎に神像破壊の厳命を下した。山に残された小笹と百姓茂助の子竹坊は、忠文、小源太らが明朝処刑されるのを聞き、信夫が亡くなったのを知った。神像破壊にいらだつ軍十郎は、タガネを神像の額に打込んだ。傷口から鮮血が落ちたと見るや、稲妻、雷鳴、地割れが起り、軍十郎は物凄い地割れの中にのみこまれた。小笹らは兄たちの命を気遣い必死に武神像に祈り続け自分の命にかえてもと大滝へ身を投げようとした瞬間、大地は震動して、神像は巨大な魔神の姿となって現われた。城下で大あばれにあばれた魔神は、忠文と小源太の処刑台を紛砕し、左馬之助は魔神の額にささったタガネで城門の柱に釘付けされ息絶えた。さらに村里へ向って猛威をふるいはじめた魔神に、小笹は静まってくれるよう、清い涙を落した。すると魔神の怒りの相は消え、大音響とともに土砂となってその場に崩れた。魔神は小笹の涙で消えたのだ。【「KINENOTE」より】


大魔神三部作の第1作。

 

大魔神と言えば佐々木主浩さんという世代の私だが、筒井康隆さんがシナリオを書いたこともあることだし(実現はしなかったけど)、と今更ながら観てみた次第。

本作の目新しい点は時代劇と特撮を融合させたところにあると言えようか。

大魔神が平時の顔から怒りの顔に変わる時の映像はぎこちなさも残るが、全体的なクオリティは今見ても充分に楽しむことができる。特撮だけではなく、家臣による謀反、生き延びた主君の遺児というあたりのドラマ部分がしっかりしているので、飽きも来ない。

大魔神が決して味方ではないというのも面白い点。最後は少女の涙で崩れてしまうとは。

続篇どうすんねん?笑

 

大魔神のスーツアクターは元プロ野球選手の橋本力さん。

毎日オリオンズが大映と合併してできた大毎オリオンズの選手だったことから映画に出演し、その際に怪我をしてしまったために現役を引退。その後、大映ニューフェイスとして正式に大映に入社し(伊丹十三さんが同期!)、大映の永田雅一社長の死去に伴い、俳優を引退したとのこと。

実際の大魔神もプロ野球選手だったとは。