白石加代子『百物語』アンコール公演 第三弾 | 新・法水堂

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白石加代子『百物語』アンコール公演 第三弾

 

 
【新宿公演】
2020年12月28日(月)・29日(火)
紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA
 
構成・演出:鴨下信一
照明:阿部庸子  音響:清水麻理子  衣装:池田洋子、江幡洋子
結髪:笹部純、柴崎尚子  演出助手:平井由紀  舞台監督:伊藤満
宣伝美術:チャーハン・ラモーン  広報:横島多美枝  制作:新堂猛
プロデューサー:笹部博司
 
演目:
夢枕獏「ちょうちんが割れた話」
筒井康隆「如菩薩団」
半村良「箪笥」
和田誠「おさる日記」

白石加代子さんのライフワークとなっている朗読劇。
2014年に九十九話まで語り終えていったん終了したが、その後、アンコール公演が開始。
 
アンコール公演3回目となる今回は、1992年、岩波ホールで行われた伝説の第一夜で読まれた3作品に和田誠さんの「おさる日記」を加えた全4作を朗読。
 
冒頭は夢枕獏さんの「ちょうちんが割れた日」。
真っ暗な中、声のみが聞こえ、最後にちょうちんが割れると全身黒づくめの白石加代子さんが照らし出される。短くて摑みの挨拶代わりの一篇といったところか。
 
白石さんは和服となり、第一夜の思い出話など。
続いては筒井康隆さんの「如菩薩団」。
筒井ファンの私は『百物語』のCDも所有しているので、音声では聴いたことがある作品。
箱型の椅子が3つあり、白石さんはそれに座ったり歩きまわったりしながら朗読。
高級住宅街にやってきた団地の主婦たちが実は泥棒だったというブラックユーモア溢れる作品で、随所随所で笑いが起きていた。
 
休憩を挟み、半村良さんの「箪笥」。
白石さんは講談師のように高座に上がった状態で朗読。
ある一家の子供が箪笥の上に乗り、夜を明かす。止めるように言っても聞かず、8人兄弟の他の子供たち、更にはどうやって上がったのかお祖母さんまで箪笥の上に乗る。
全篇能登弁で民話の世界に誘う白石さんの語りは一級品。
 
最後に和田誠さんの「おさる日記」。
船乗りの父親から猿をプレゼントされた少年。「もんきち」と名づけて可愛がるが――。
これはもう最後のオチに場内爆笑。
年の瀬に愉快なひと時でありました。
 
上演時間1時間45分(一部49分、休憩22分、二部34分)。