『青空娘』 | 新・法水堂

新・法水堂

演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

『青空娘』

 

 

1957年日本映画 88分

監督:増村保造

製作:永田雅一  企画:藤井浩明

原作:源氏鶏太「明星」連載、「ラジオ東京」連続放送劇  脚本:白坂依志夫
撮影:高橋通夫  録音:須田武雄  照明:久保田行一

美術:柴田篤二  音楽:小杉太一郎
衣裳指導:神谷伸子  色彩技術:渡辺静郎  メークアップ:牧野正雄

編集:中静達治  助監督:寺島久  製作主任:藤田昌一

装置:大塚武雄  装飾:岩見岩男  小道具:森田穣  背景:河原太郎

園芸:吉田年  移動効果:田村鉄四郎  工作:田村誠  電飾:横手三四郎

結髪:岩堀郁代  衣裳:奥山烈  音響効果:小島明  スチール:板垣公章

俳優事務:井戸義昌  記録:原益子

撮影助手:山本修右  録音助手:鈴木清三  照明助手:木村辰五郎

美術助手:矢野友久  進行係:白川武夫  主題歌:コロムビア  現像:東京現像所


出演:若尾文子(小野有子)、川崎敬三(広岡良輔)、菅原謙二(美術教師・二見桂吉)、品川隆二(義兄・小野正治)、八潮悠子(友人・米川信子)、藤田佳子(同・津村順子)、矢島ひろ子(モデル・稲川青子)、穂高のり子(義姉・小野照子)、三宅邦子(実母・三村町子)、東山千栄子(良輔の母・広岡静江)、信欣三(父・小野栄一)、清川玉枝(信子の叔母)、沢村貞子(義母・小野達子)、ミヤコ蝶々(女中・八重)、南都雄二(魚屋・哲五郎)、叶順子(ピンポン大会の少女A)、町田博子(岡田の小母さん)、滝花久子(有子の祖母)、岩垂幸彦[劇団東童](義弟・小野弘志)、高村栄一(東京駅の紳士)、飛田喜佐夫(美術社社員A)、夏木章(キャバレーの客・小説家)、酒井三郎(岡田の小父さん)、柴田吾郎[田宮二郎](正治のバンド仲間・竹中(サックス))、伊藤直保[三角八朗](同・村田(コントラバス))、高田信二(同・井上)、渡辺鉄弥(東京駅の若い男・ジョージ)、津村雅弘(正治のバンド仲間)、中田勉(美術社社員B)、早川雄三(新世界ビルの事務員)、竹内哲郎(同)、藤山浩一[藤山浩二](学生風の狂人)、黒須光彦(ピンポン大会の青年D)、島田裕司(ピンポン大会の青年A)、山口健、若松健(ピンポン大会の青年C)、中江文男(ピンポン大会の青年B)、千歳恵美(東京駅の若い娘・マリコ)、高野英子(ピンポン大会の少女C)、久保田紀子(ピンポン大会の少女B)、松尾親代(小野商事の社員)、浜洋子[ミス・ラムール]、東郷たまみ(キャバレーの歌手)
 

STORY

伊豆のある町の高校を卒業した、小野有子は東京の父母の許に帰ることになっていた。だが小さい頃から育てられたお婆さんに臨終の際、本当の母は他にいることを聞かされて驚いた。訪れた小野家では父親が出張中で女中扱いされ、味方は女中の八重と出入りの魚屋だけだった。が次男の腕白中学生弘志とある時大喧嘩をしてから急に仲よくなった。そんな頃、有子はピンポン大会で長女照子のボーイフレンド広岡を破り、彼から好意を持たれたので照子の怒りを買った。だが彼女は“いつも青空のように明るく”生きることを教えてくれた絵の先生二見が上京するというので大いに力づけられた。また、帰った父栄一から母の話を聞き行方不明の母を探そうと決心をした。一方、広岡が有子に求婚したことを聞いた照子は有子を泥棒よばわりし、彼女は堪えかねて家を出、二見の下宿を訪ねた。そこで二見の温かさに触れたものの、隣の住人で二見の恋人と自称する女性が現れて追いたてられてしまった。広岡から旅費を借りて伊豆に帰った有子は、実の母が訪れて来たことを知り残念がるが、母が生きていたことが分り喜ぶのだった。やって来た二見を囲んでクラス会が開かれ、席上友達の信子からキャバレーのマダムをやっている叔母を紹介され、有子は再び上京、そこで働くことになった。広岡や二見の協力で有子が実の母と感激の対面を果たした後、弘志が訪ねて来て父が病床にあることを告げた。有子は栄一のもとへ向かい、本気になって達子を愛することを約束させて小野家の面々に別れを告げる。栄一から謝罪の言葉を聞いた達子は泣き崩れた。いつの間にかひそかに有子の面影を抱いていた二見も、淋しい気持をふり払って有子と広岡の将来を祝福してやるのだった。【「KINENOTE」より加筆修正】


増村保造監督と若尾文子さんが初めてコンビを組んだ作品。

 

後の『卍(まんじ)』(1964)や『赤い天使』(1966)での色気溢れる大人の女性とは違い、本作では若尾あややは高校を卒業したばかりの若い娘をはつらつと演じる(当時23歳)。もちろん、この時点でも色気は充分にあるけど。笑

本作は5年前の若尾文子映画祭でメインビジュアルに用いられていたけど、その後、源氏鶏太さんの小説が続々復刊されたのは若尾文子さんのお陰も大きいだろうな。

若干、ストーリーにちぐはぐな点はあるものの(上京前に祖母が亡くならなかったら、有子は真相を知らないまま小野家に行ってたの?とか、二見先生も上京するのは都合よすぎない?とか)、シンデレラばりに義母・義姉から女中扱いされても明るく振る舞い、小学生の義弟と取っ組み合う有子を見ているだけでも楽しい。

 

相手役は「そうなんですよ、川崎さん」でお馴染み(?)の川崎敬三さん。

高校時代の二見先生への恋心を「はしかみたいなもんだ」と言っていたけど、ドラマ『愛しあってるかい!』でKONTAさんが和久井映見さんに「君のは恋じゃない。はしかみたいなもんだ」と言っていた元ネタはここにあったのか! KONTAさんも美術教師の役だったし。

 

田宮二郎さんは本名の柴田吾郎名義で、有子の義兄・正司のバンド仲間として出演。

ミヤコ蝶々さんは夫・南都雄二さんともども出演。先輩として有子を支える役どころを好演。

この時代の映画としては珍しくエンディングロールあり。