岩井秀人(WARE)プロデュース
『いきなり本読み!』
2020年2月3日(月)
浅草フランス座演芸場東洋館
司会・演出:岩井秀人
出演:皆川猿時、岸井ゆきの、今井隆文、後藤剛範、神木隆之介
先月のトークイベントに続いて岩井秀人さんプロデュースのイベントへ。
その時にも今回のイベントの話はしていたのだけど、こんなに早く開催されるとは。
岩井秀人さんは東洋館の法被を着て登場。
後藤さん、今井さん、岸井さん、皆川さんと登場して、当日発表の出演者として『キレイ』で初舞台を終えたばかりの神木隆之介さんが登場。演劇初心者ということで、他の人たちはちゃんと名札があるのに対し、手書きの「かみき(隆)」と書かれた紙を机の前に貼って着席。
岩井さんが今回の企画の趣旨を説明し、さぁ始めようという段になって肝心の台本を忘れたことが発覚(笑)。幸い、近くにあったようですぐ戻ってきて、台本を配布。役者陣、「ペン! ペン!」とペンを要求(笑)。
で、台本はハイバイで2度上演された『おとこたち』。ここで場内「おー」という反応。
14場、宗教にハマった津川が山田を玉光教の道場へ連れて行くシーンで配役は以下の通り。
津川:後藤
山田:神木
鈴木:皆川
修行女1:岸井
修行女2(修道男):今井
読みながら、岩井さんが「よろしくお願いします」はもっとこなれた感じで、とか山田に口調をまねされて「やめて」と入れてとか、その場で演出をくわえたり、台詞を変えたり。1回通して読んだ後、岩井さんがそれぞれの登場人物の背景(モデルとなった人物のことなど)を説明し、もう1回読み。
さすがに場慣れした人ばかりということもあり、皆川さんなんて最初から正解に近い読みをして岩井さんを不思議がらせていた。神木さんの読みにも感心していた様子。後藤さんは「かしこみかしこみまもーすぅ」がうまく言えずにまごついていた。
1時間近く経過したところで休憩。
再会後、それぞれから意見交換。
神木さんは1回目はコメディかシリアスか探りながら読んでいたということで、「うあ~~~~~!!」となっているとコメディっぽいと指摘。これには岩井さんも驚いていたけど、神木さんは「うあーーーーー!!」との違いも実演してくれた。
次に配役を変えてもう1度14場。
津川:皆川
山田:岸井
鈴木:神木
修行男1:今井
修行男2:後藤
もう岩井さんも特に言うことはなく、ずっとこの座組でやっていたかのような出来栄え。
ということで次の15場へ。
津川・太郎:皆川
鈴木:神木
花子:岸井
森田:後藤
山田:今井
この場面も結構すんなり。
ここで岸井さんが岩井さんは稽古が短いと指摘。以前、岩井さんの作品に出演した際、本番前に2日前休みになったことを恨みに思っていると(笑)。
岸井さんの理想としては、本番と同じ時間にやりたいということで、例えば稽古がいつも5時に終わっていたら、夜7時からの公演で体が動くか心配とのこと。
岩井さん同様、賛同できない皆川さんは「女だから!?」と。
続いて15場の2。
鈴木の子供・太郎が手品を披露するシーン。
鈴木:後藤
花子:岸井
太郎:神木
兄:皆川
弟:今井
ここでもこのシーンの基となったエピソード。手品をしていたのは岩井さんの娘。
同じマンションに住む人のところへ夕食を食べに行き、実際に暴れまくる兄弟がいて、岩井さん自身、登場人物の鈴木同様、初めて人の子供を殺したいという気持になったと。
2回目は兄弟を変えて。
17場。鈴木が50代になり、息子から暴力を振るわれるようになっていると森田たちに相談するシーン。
鈴木:皆川
山田:後藤
森田:今井
花子:岸井
太郎:神木
最後は21場。鈴木の葬式の日。寝間着姿で現れる太郎に対し、森田たちが問い質すシーン。
配役は引き続き。
岩井さんはもっとぐだぐだになることを想定していたようだけど、すんなり出来てしまう出演者陣の適応力の高さたるや。他の人への注意もちゃんと聞いているので、配役を変えても観客も違和感なく見られる。
とりわけ皆川猿時さんは反則的な面白さもさることながら、役者としての勘の鋭さに改めて感心。役者だけでなく、脚本家・演出家的側面からも楽しめた。
個人的には初演も再演も観ているのでストーリーや場面なんかは細かいところまで覚えていて、実際の上演を思い出していた(特に鈴木役の平原テツさんがよかったのよ)。各登場人物の背景もアフタートークで聞いたことがあるものばかりではあったけど、よくぞこれだけのエピソードが集まったものだよなぁ。
休憩を挟んで2時間40分、大いに笑って楽しませてもらった。
またやって欲しいな。