『AI崩壊』 | 新・法水堂

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演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

『AI崩壊』

 
 
2020年日本映画 131分
脚本・監督:入江悠
音楽:横山克  主題歌:「僕らを待つ場所」AI
撮影:阿藤正一  照明:市川徳充  録音:古谷正志

美術:小島伸介  装飾:酒井拓磨  編集:今井剛

 
出演:大沢たかお(桐生浩介)、賀来賢人(HOPE社社長・西村悟)、岩田剛典(警視庁理事官・桜庭誠)、三浦友和(警視庁捜査一課・合田京一)、広瀬アリス(同・奥瀬久未)、松嶋菜々子(浩介の妻・桐生望)、高嶋政宏(サイバー犯罪対策課係長・望月剣)、芦名星(同捜査官・林原舞花)、玉城ティナ(HOPE社社員・飯田眞子)、田牧そら(浩介の娘・桐生心)、余貴美子(総理大臣・田中英子)、マギー(HOPE社社員)、野間口徹(データセンター所長・前川)、黒田大輔(研究者・一ノ瀬)、酒向芳(副総理・岸)、毎熊克哉(デイリーポスト記者・富永)、MEGUMI(記者)、坂田聡、芦那すみれ(音無聡子)、螢雪次朗(漁師)、荻野友里、川瀬陽太(刑事)、大津尋葵、駒井温子、桜まゆみ(看護師)、永井ちひろ(レポーター・伊東千鶴)、山田百次、大宮将司、安田ユウ、佐藤良洋(記者)、横尾下下(同)、木村知貴、今村美乃(サイバー犯罪対策課)、田所ちさ、小岩崎小恵、斉藤マッチュ、松尾豊(本人/AI監修)
 
STORY
2030年。AIが第4のライフラインと呼ばれるようになり、HOPE社の医療AI「のぞみ」は人々の生活を支えていた。「のぞみ」の開発者・桐生浩介は、5年前、共同開発者の妻・望を失ってからは娘・心とともにシンガポールに移住していたが、義弟でHOPE社社長の西村悟から連絡をもらい、久々に帰国する。千葉県印西市にできたデータセンターを訪れ、最新の設備に驚く桐生。オープニングセレモニーでは反対派が乱入して騒然となるが、警視庁理事官・桜庭誠によってその場は収められる。桐生は総理大臣賞授賞式に出席するため、HOPE社社員・飯田眞子と車に乗り込むが、突然、「のぞみ」が大規模なエラーを起こし、多くの医療機関でトラブルが発生。総理大臣の田中英子を始め街中の人々が苦しみだし、データセンターのサーバールームにもロックがかけられ、写真を探すために残っていた心が閉じ込められてしまう。AIを暴走させるプログラムを仕込んだ犯人として桐生が特定され、桜庭の指揮の下、サイバー犯罪対策課が捜査AI「百眼」を用いて逃亡した桐生を追い詰める。そんな捜査のやり方に業を煮やしたベテラン刑事・合田は、新米刑事・奥瀬とともに足を使った捜査に乗り出す。AIが選別方法を学習し始める中、心を助けるためには24時間以内に新しいプログラムを作らなければならなくなった桐生は、千葉に次ぐデータセンターがある仙台を目指す。

SFパニック映画を撮りたいという念願を果たした入江悠監督作品。
 
『SR サイタマノラッパー』から10年余り、入江悠監督がオリジナル脚本でこれだけの規模のものを作り上げたことにまずは感慨も一入。
コンピューターが暴走するというのもSF映画では昔からある設定だし、主人公が濡れ衣を着せられて逃亡するというのもこれまたよくある設定。恐らくは入江監督自身がお好きな映画の要素をぶち込んでいるのだろうけど(昔ながらの刑事とかもね)、一本のエンタテインメント作品として充分に楽しめた。終盤、心を助けるために「のぞみ」にプログラムを読み込ませるシーンが若干まどろっこしかったけど。
 
今から10年後の日本が舞台ということで、AIの発展具合なんかは結構リアル(冒頭に出てくる松尾豊教授は本作のAI監修もされているAI研究の第一人者)。ただ、これだけのシステムが混乱を引き起こしているのに、海外での影響が描かれず、国内のみに終始してしまったのは残念。
あと、広瀬アリスさんとか芦名星さんとか女優さんの使われ方がもったいない。余貴美子さんなんて遂に総理大臣に出世か(『シン・ゴジラ』参照)とか思っていたのに、台詞もそれほどないうちからすぐに倒れて運ばれ、死んでしまうし。
 
よかったのは三浦友和さん。ほとんど当て書きじゃなかろうか。
岩田剛典さんは最後、取り調べを受けているシーンでAIに関する警告をモノローグのように語るシーンがよかった(演出も含めて)。
他ではAIに反感を抱いているスポーツ新聞記者の毎熊克哉さん、見るからに怪しかったけど真犯人じゃなくてよかった研究者の黒田大輔さん、海に飛び込んだ桐生を助け、車を貸してやる漁師の螢雪次朗さん(なぜか「夢の中へ」をずっと口ずさんでいる)などが印象に残ったけど、やっぱり男性キャラばかりなんだよなぁ。玉城ティナさんは可愛かったけど。笑
 
しっかし本作の主題歌がAI(アイ)さんってそんなんでいいのか。笑