ゴジゲン『ポポリンピック』 | 新・法水堂

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演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

ゴジゲン 第16回公演

『ポポリンピック』
 
 
【東京公演】
2020年1月3日(金)~21日(火)
こまばアゴラ劇場
 
作・演出:松居大悟
 
舞台監督:川除学(Stage Doctor.co.ltd)  美術:片平圭衣子
照明:伊藤孝(ART CORE)  音響:田上篤志(atSound)  音楽:森優太
映像:大見康裕  衣裳:本多圭市、横田真理  演出助手:奥村徹也
照明操作:菅俊貴  音響操作:井上林堂
声の協力:きたむらけんじ、高橋直子、小松有彩、室崎光
宣伝美術:本多伸二  宣伝写真:関信行
制作:柴田紗希  制作助手:小林美紀、瀬霜奈々  票券:村田紫音
プロデュース:半田桃子
 
出演:
目次立樹(ポポ)
東迎昂史郎(篠崎則夫/「山内農場」店員・塚田/若者)
本折最強さとし(コーチ・水口/高校生・ケン)
善雄善雄(花菱ボウルオーナー・花菱)
木村圭介(ボウリング選手リトル・ジョン/UBER配達人/高校生)
松居大悟(岩木戸/高校生・ユキナリ)
奥村徹也(スポーツライター・谷/若者/オリンピック事務局職員/高校生・シノブ)
 
STORY
5歳の時、ボウリング場に捨てられていたポポは、8歳にして天才ボウリング少年とマスコミにも持てはやされる。学校ではいじめに遭い、中学卒業後はろくな仕事も見つけられないでいたポポだったが、16歳の時、花菱ボウルでビラ配りのバイトの職を得る。2014年、21歳の時にボルダリングに打ち込む則夫と出会い、初めて友人が出来るポポだったが、投げればストライクという彼の存在はボウリング協会からは認められないでいた。そんなポポに興味を持った岩木戸は彼を撮影し続ける。2015年、ボウリングはボルダリングとともに東京オリンピックの追加種目の候補となっていたが落選し、コーチの水口、ライバルのリトル・ジョンも姿を消す。2019年、ポポはYouTuberとなって、ボウリングをオリンピックの正式種目として追加してもらうべく10万人の署名を集める。その署名を事務局に持って行ったポポのもとに水口が現れ、花菱、岩木戸、スポーツライターの谷とともに山内農場で「オリンピックをぶっ壊そう」と相談。店員の塚田にくわえ、ホームレスとなっていたリトル・ジョンも戻ってきて、選ばれなかったスポーツを中心にしたポポリンピックを開催することにする。2020年、ニュース番組でスポーツクライミングの選手として日本代表となった則夫が「オリンピックを揶揄している」とポポリンピックを批判しているのを見た一同は、誤解を解くために則夫のもとへ。岩木戸は則夫が一同に暴力を振るっているように見せた動画をアップし、記者会見を開いて謝罪を要求する。一同は謝罪がなければ東京オリンピックの開会式で暴動を起こすと表明。則夫が活動自粛を表明する中、開会式の日を迎える

東京オリンピック・パラリンピックを題材にしたゴジゲン最新作。
 
とは言っても、本作は東京オリンピック・パラリンピックに出たくても出られない、選ばれなかった者たちの物語。
ボウリングが追加種目の候補になったことはうっすら記憶していたが、主人公のポポはボウリングが正式採用されなかったことにより、だったら自分たちでそういった種目を集めて盛り上がろうと“ポポリンピック”開催を計画する(エンブレムは五輪のマークから1つ輪を取り、まっすぐに並べてみたら結果的にアウディというのが結構好き)。
 
その中でスポーツクライミング(ボルダリング)日本代表の則夫と対立することになるのだが、ここで岩木戸が中心となって則夫を陥れる。ポポは悩みながらも腕に包帯を巻いて、則夫に怪我をさせられた体を装って会見に臨むのだが、ここの展開はちょっと異議あり。
ボウリング場に捨てられ、孤児として育ったポポにとって則夫は初めて出来た友人であり、かけがえのない存在であるはず。そんな則夫を卑劣な手段で陥れる計画にポポが加担するというのはちょっと考えにくい。やはりここはベタでも友情を取って欲しかったところ。
まぁそれでも全体的には選ばれなかった者たちへの温かな眼差しが感じられて、その点はよかった。終盤に登場する高校生たちの役名がケン、ユキナリ、シノブと元DA PUMPメンバーの名前なのがまた何とも……。
 
目次(めつぎ)立樹さんは恐らく当て書きなのだろうけど、持ち味を発揮。
東迎(ひがしむかい)昂史郎さんも2役をこなして(差はほとんどないけど)個性的な味わい。
奥村徹也さんの演技は劇団献身でも観たことがあるけど、何となく好きなのよね。笑
本折最強さとしさん、善雄善雄さん、木村圭介さんの3名は冒頭から顔芸で見せてくれる。
 
上演時間約1時間37分。