温泉ドラゴン『五稜郭残党伝』 | 新・法水堂

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温泉ドラゴン 第14回公演

『五稜郭残党伝』
 
 
2019年12月11日(水)~19日(木)
サンモールスタジオ
 
原作:佐々木譲『五稜郭残党伝』(集英社文庫)
脚本・演出:シライケイタ
 

舞台監督:青木規雄(箱馬研究所)
照明:奥田賢太(colore)  照明オペレーション:南方悠里

音響:佐久間修一(POCO)
美術:松村あや  衣裳:竹内陽子
演出助手:小形知巳  殺陣:渥美博

アイヌ語指導:関根健司  アイヌ文化指導:関根真紀

宣伝美術・広報:村井夕(windage.)  宣伝写真:鈴木ヨシアキ
稽古写真:水戸亜祐美  制作:水戸亜祐美、植松侑子(syuz'gen)

 
出演:
いわいのふ健[温泉ドラゴン](蘇武源次郎)
五十嵐明[青年座](名木野勇作)
筑波竜一[温泉ドラゴン](シルンケ)
サヘル・ローズ(ヤエコエリカ/マナ)
阪本篤[温泉ドラゴン](隅倉兵馬)
佐藤銀平[サスペンデッズ](伍長・荒巻久平)
植吉(伝兵衛/弥右衛門)
大塚航二朗[無名塾](討伐隊・佐竹誠二)
近藤修大(同・阿久津健)
吉田裕貴(同・郷田竜太郎)
宮崎恵治[黒テント](東久世通禧/雑貨屋の店主/新冠の支配人/大津の支配人)
斉藤健[椿組](勇払の支配人/鍛冶屋/アイヌの番頭/大津の和人4)
森永友基[劇団俳優座](杉浦誠/男1/手下1/大津の和人3)
山口祥平(中年兵士/男2/手下2/大津の和人2)
遊佐明史[演劇塾 SCARACROWS・LEG](若い兵士/伝兵衛の息子・新作/大津の和人1)
 
STORY
明治2(1869)年。鳥羽伏見の戦いから1年半に及んだ戊辰戦争は、函館・五稜郭にて幕を閉じようとしていた。旧幕府軍小隊長・蘓武源次郎と狙撃の名手・名木野勇作は、自由を求めて五稜郭の陣から脱出する。中央への復帰を目論む新政府軍の隅倉兵馬は、営倉入りしていた伍長・荒巻らと討伐隊を結成し、残党の掃討に乗り出す。アイヌのシルンケと行動をともにするようになった蘓武と名木野は、男たちに追われていた女性・マナを助けたことがきっかけで隠れ切支丹の伝兵衛一家の世話になるが、蘓武たちが脱走兵だと知った伝兵衛たちに追い出される。その後、隠れ切支丹の集落は討伐隊によって焼き払われる。蘓武たちは東へと向かい、新冠から逃げてきたヤエコエリカを助ける。シルンケはヤエコエリカと恋仲となるが、討伐隊との攻防の中で命を落とす。地の果てを意味する知床にたどり着いた蘓武は、隅倉に刀による対決を申し出る。
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佐々木譲さんの同名小説を舞台化。
この小説は若松孝二監督が映画化を企画していて、佐々木さんと函館まで下見にも行っていたそうなのだけど、不慮の事故で若松監督が亡くなって頓挫。そのことを佐々木さんとの対談で知ったシライケイタさんが舞台化することにしたという次第。
 
物語の筋としては、追う者と追われる者の攻防を描いていて非常にシンプル(まさに西部劇のテイスト)。そこに迫害されるアイヌの人々の要素が入り混じってくる。
狭い舞台スペースの中、入れ替わり立ち替わり、短いシーンを繋げていって非常にテンポがいい。再演されることがあれば、もっと大きな劇場で観てみたい気もするが。
出演者がほとんど男性だからというわけでもないが、非常に男臭く、熱い芝居だった(いわいのふ健さん、阪本篤さんの温泉ドラゴン看板俳優対決は特に見もの)。
 
キャストでは紅一点サヘル・ローズさんの美しさ。とりわけ、終盤、愛する者を奪われてから復讐を決意する際の眼差しの強さに惚れ惚れ。
焚火の演出(床下に赤い照明を照らし、スモークを焚く)もグッド。
 
上演時間約2時間7分。