少年王者舘『アサガオデン(劇場版)』 | 新・法水堂

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少年王者舘

『アサガオデン(劇場版)』
 
 
2019年12月14日(土)・15日(日)
ザ・スズナリ
 
振付:夕沈  演出:天野天街
落語台本:河井克夫  生演奏:坂本弘道
 
音楽:珠水、坂本弘道  映像:浜嶋将裕、石原澄礼、田中博之
照明:小木曽千倉  音響:小俣佳久、岩野直人、井上佳保
衣裳:雪港  舞台監督:山中秀一  チラシ:アマノテンガイ
宣伝美術:小泉しゅん(Awesome Balance)  パンフレット:岩本苑子
制作:中村榮美子、宮璃アリ、篠田ヱイジ、カシワナオミ
協力:サカイユウゴ、望月勝美、金子達郎、若旦那家康
 
出演:
夕沈
中村榮美子
山本亜手子
雪港
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ストレンジシード静岡の演目として駿府城公園で2回、高知県立美術館中庭で1回上演されたダンス公演『アサガオデン~カタンコトン~』を劇場版として再編。
 
前半はダンス中心。
アリスを起こす白い服の4人の女性たち。
素舞台の上手にチェロが置いてあり、女性たちが「何かいるよ」「キリギリス?」「鳴け!」などと言っていると坂本弘道さんが現れて演奏を始める。
 
印象に残ったシーンとしては、夕沈さんがバケツを持ってきて雑巾がけを始めると、他の3人が葉っぱを傘にして登場。それぞれ雫を落とし、それを夕沈さんがバケツに集める(2つ目は見失っていたけど。笑)。
お馴染みのプロペラも登場。空襲の映像が重ねられる。
その他、人物の外枠(?)が上手の出入口から出て行く映像など、やはり浜嶋将裕さんの映像は素晴らしいな。
 
途中珍しく黒い衣裳にチェンジ。後でわかるが、これはアリをイメージしたもの。
というわけで、黒い座布団を持って夕沈さんが落語を一席。漫画家の河井克夫さんによるもので、米朝、枝雀両師匠に多大なるインスパイアを受けて書かれたとか。
話としては、丁稚のアリ松がのたれ死にしているキリギリスを発見。自分の体とキリギリスの足をくくりつけ、巣に持ち帰ろうとする。しかし、実際はキリギリスは麻でラリっていただけでまだ生きていて、アリ松が「アリのままで~」などと歌っていると合いの手を入れたりする。
その後、百舌鳥がキリギリスをくわえて舞い上がり、木の枝に差したがためにキリギリスは死亡。それまで恐怖で目を閉じていたアリ松は目を開けて宙づりになっていることに気づき、えいやとスカイダイビングする。無事着地したと思ったのも束の間、そこはアリジゴクの巣だった。
アリ松の窮地を見かけたフンコロガシがアリの旦那、つまり女王アリに注進に及び、アリ松に助けの手が差し伸べられる。彼らはアサガオの種を穴へ放り込み、そこからアサガオのつるが驚異的なスピードで伸び、アリ松が九死に一生を得てめでたしめでたし。
 
アリスならぬ蟻巣の不思議な国の物語をしかと堪能。
音楽が坂本弘道さんなので、ドラマ『凪のお暇』の劇伴から「夏のお日さま」も使われていた。生で聴けて耳福耳福。
 
ちなみにスタッフの中にコトリ会議の若旦那家康さんが協力としてクレジットされているが、宣伝美術も同じ小泉しゅんさんだった。
 
上演時間約1時間25分。