『湿地』 | 新・法水堂

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『湿地』

MÝRIN

 

 

2006年アイスランド・デンマーク・ドイツ映画 94分

脚本・監督:バルタザール・コウマウルク

原作:アーナルデュル・インドリダソン

撮影:ベルクステイン・ビョルグルフソン

美術:アトリ・ゲール・グレタルソン

編集:エリザベト・ロナルドドッテイル

音楽:ムギソン

出演:イングバール・E・シーグルズソン(エーリンデュル)、オーグスタ・エバ・アーレンドスドーティル(娘エヴァ・リンド)、ビョルン・フリーヌル・ハラルドソン(同僚シグルデュル・オーリ)、オーラフィア・フロン・ヨンスドッティル(同僚エリンボルク)、アトゥリ・ラフン・シーグルスソン(カートリンの息子オルン)、クリストビョルグ・キェル(カートリン)、ソルステイン・グンナルソン(ホルベルク・ヨンソン)、テオドール・ユーリウソン(受刑者エットリデ)、ソルン・マグネア・マグヌスドッティル(コルブルンの姉エーリン)、グドゥムンダ・エリアスドッティル(グレータルの母テオドラ)、エルマ・リサ・グンナルスドッティル(オルンの妻グンヌル)、ラフンヒルデュル・ロサ・アトラドッティル(娘コーラ)、ヨン・シグルブヨルンソン(カートリンの夫アルベルト)、エイヴィンデュル・エーレンドソン(元警官ルーナル)

 

STORY

レイキャビクのノルデュルミリ(北の湿地)にあるアパートで老人の死体が発見された。被害者ホルベルクの部屋から墓の写真を見つけた捜査官エーリンデュルは、かつてコルブルンという女性がホルベルクからレイプされ、産んだ娘ウイドルが脳腫瘍の一種・神経線維腫症で亡くなっていたことを突き止める。ホルベルクの仲間エットリデと面会したエーリンデュルは、コルブルンの他にもレイプの被害に遭った女性がいる可能性を知り、シグルデュルとエリンボルクに聞き込み調査を続けさせる。やがてカートリンという女性がホルベルクと関係を持ち、子供を産んでいたことが判明。息子オルンは娘のコーラを神経線維腫症で亡くしており、勤務先のアイスランド遺伝子研究所のデータを不正利用して自分が両親の実の息子ではないことを知り、真相を母親に問い詰めていた。

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原作小説を読んですぐさまAmazon Primeビデオにて観賞。

日本では《トーキョーノーザンライツフェスティバル2015》にて上映されたのみ。

 

小説では想像するしかなかったアイスランドの風景が、この作品のトーンと見事に調和している。

『湿地』というタイトルだけあって、じめじめした空気感が漂うが、中でも強烈なのは臭い。もちろん本当に臭ってくるわけではないが、映像からその悪臭のほどが伝わってくる(特にグレータルの死体を床下から引き上げるシーンは、ネズミまで出てきて臭さ倍増)。

長篇を90分ちょっとにまとめた手腕はなかなかのものだった。

 

原作との相違点としては、原作ではカートリンもレイプ被害者だったが、映画では夫の不在による寂しさを埋めるため、いわば合意のもとでホルベルクと関係を持ったことになっている。また、その背後にルーナルがいて、悪徳警官ぶりを強調している。

息子の名前もエイナルからオルンに変更されているけど、何か意味でもあるんだろうか。

あと、エリンボルク(原作の表記はエーリンボルク)はもっと若い女性をイメージしていたよ…。