レッドトーチ・シアター『三人姉妹』 | 新・法水堂

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演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

東京芸術祭2019 芸劇オータムセレクション

レッドトーチ・シアター

『三人姉妹』

Три сестры

 

 

2019年10月18日(金)~20日(日)

東京芸術劇場プレイハウス

 

作:アントン・チェーホフ

演出:ティモフェイ・クリャービン

 

美術デザイン:オレグ・ゴロヴコ

照明デザイン:デニス・ソルンツェフ

演出助手:ナターリャ・ヤルシュキナ

手話指導:ガリーナ・ニシュチュク

聾文化監修:ヴェロニカ・コポソヴァ、タマラ・チャチュラ

 

出演:

イリヤ・ムジコ(オーリガの弟アンドレイ)

ワレリア・クルチニナ(アンドレイの妻ナターシャ)

イリーナ・クリヴォノス(長女オーリガ)

ダリア・イェメリャノワ(次女マーシャ)

リンダ・アフメジャノワ(三女イリーナ)

デニス・フランク(マーシャの夫クルィギン)

パヴェル・ポリャコフ(マーシャの不倫相手・ヴェルシーニン中佐)

アントン・ヴォイナロヴィッチ(男爵・トゥーゼンバフ中尉)

コンスタンティン・テレギン(ソリョーヌイ大尉)

アンドレイ・チェルニワ(軍医チェブトィキン)

アレクセイ・メズホフ(フェドーチク少尉)

セルゲイ・ボゴモロフ(ローデ少尉)

セルゲイ・ノヴィコフ(守衛フェラポント)

エレーナ・ドリネフスカヤ(使用人アンフィーサ)

 

STORY

プローゾロフ家の三人姉妹はモスクワ生まれだが、今は軍人だった父の赴任地で寂しい田舎暮らしをしている。長女オーリガは独身の中学教師。次女マーシャは地元の教師クルィギンと結婚している。三女イリーナは役所に勤め始めたばかり。エリート軍人であった父を失ってから1年、長男アンドレイは姉妹の望む職には就けず、その妻ナターシャは姉妹や使用人に辛く当たることも増え、特に繊細な長女オーリガは胸を痛めていた。姉妹の家に出入りするのは父親の仲間だった連隊の軍人たち。次女マーシャはその中の一人、雄弁で哲学的な言い回しを好むヴェルシーニンと逢瀬を重ねている。三女イリーナは二人の軍人、上流階級出身で爵位を持つトゥーゼンバフ、奇抜な言動で変人扱いされているソリョーヌイから求婚されていた。イリーナはモスクワへ戻る望みを込めて、トゥーゼンバフとの婚約を決める。モスクワへ帰ることは、三人姉妹に共通する大きな人生の望みだった――。【パンフレットより】

                                        

1920年に設立されたロシア・ノヴォシビルスクの州立アカデミードラマ劇場による来日公演。

 

日本でもたびたび上演されているチェーホフの四大戯曲の一つだが、本作が異色なのはほぼ全篇が手話(ロシア手話)で上演されているという点。

海外カンパニーの公演でいつも悩まされるのが字幕の存在。今回は舞台上方左側に日本語、右側に英語の字幕が表示されていたのだが、一幕でやや見づらかったので席の移動を申し出たところ、今度は前方過ぎて家具などが邪魔で奥の役者の動きが見えない。

特に三幕は火事が起き、全体的に照明を落とした暗い場面が続くため、役者が何をしているのかほとんど分からない状態での鑑賞となった。四幕になって再度移動したところはかなり見やすく、最初からここを案内してくれよ……とこぼしても後の祭り。

大体、劇場側が見づらい席を確認しておくのは基本中の基本だと思うし、今回のような公演だったら全席自由席でいいと思うんだけど(満員なんてありえないんだから。笑)。

 

評判がよかったし、役者はみんな魅力的だっただけに消化不良な鑑賞となってしまったが、ほぼ全篇手話という手法にもやや疑問が残る。

例えば四幕、イリーナとトゥーゼンバフの別れのシーンで2人が抱き合うのだが、トゥーゼンバフはその状態で手話をする。ん…? それって誰向けの手話なの?という素朴な疑問。

耳の聞こえない三人姉妹にも楽隊の音が響いて、これからも生きて行こうという活力にするというラストはよかったが、結局、手話も道具立てに過ぎなかったのかなと感じてしまった。

 

上演時間は約4時間8分(3回の休憩含む)。