劇団子供鉅人『不発する惑星』 | 新・法水堂

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演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

劇団子供鉅人 本公演ニューカウントvol.10

『不発する惑星』

【東京公演】

2019年10月15日(火)~21日(月)

原宿 VACANT

 

脚本・演出・美術:益山貴司

音楽:oono yuuki

 

舞台監督:伊藤新、北方こだち、若旦那家康

照明:林之弘(株)六工房  照明操作:高橋翔太郎

音響:GxBxC(法人)  音響オペ:廣岡美祐

衣装:田中迅人、キキ花香  ヘアメイク:益山寛司

演出助手:内藤恵  美術部:黒川花

フライヤーデザイン:奥山太貴  ツールデザイン:河村真由美

WEB:広垣友里絵  フライヤー写真:高木陽春

舞台写真:橋本大和(ソラリス)、中島花子  映像:稲川悟史

制作:新藤江里子、倉本真見

制作協力:岩木すず(トイネスト・パーク)

制作部:越慶次郎、大迫千聡、中島花子

 

出演:

益山寛司(エロ漫画家・タイチ/工事現場作業員)

うらじぬの(主婦・タマキ/工事現場作業員/バレーボール・アナウンサー/ラーメン店オーナー/バンドマン・リーダーの母)

ミネユキ(リンコ/工事現場作業員)

益山貴司(リンコの父/バレーボール主審)

億なつき(タイチの妹・マリコ/工事現場作業員)

山西竜矢(トミオ/工事現場作業員)

地道元春(マリコの祖父/バンドマン/工事現場作業員)

影山徹(バンドマン・リーダー/「バックドラフト」編集長・エコダ/工事現場作業員)

益山U☆G(バンドマン・ボーイ/バレーボール対戦相手/工事現場作業員)

 

STORY

オリンピック開催予定地の工事現場で働くエロ漫画家タイチ。「輝かしい日本の未来」のために働きながら自分の未来が見えない彼は、世田谷の裏ミニコミ紙「バックドラフト」に実録不倫漫画「不発する愛情」を連載していた。そんな彼は隣人の主婦、タマキに思いを寄せ、赤いブラジャーをプレゼントして駆け落ちを迫る。一方、工事現場監督は3日前に妻を亡くし、口の利けない娘リンコとの暮らしを始めるが、忙しさにかまけて手話を覚えてこなかった彼は娘の言いたいことが理解できずに苛立ちを募らせる。タイチの妹マリコはかつてバレーボールの選手だったが、認知症を患った祖父のためにオリンピックの夢を断念。出会い系アプリで知り合ったトミオを家に招くが、祖父が家にいることを知ったトミオは帰ろうとする。そしてバンドマン3人組は、メジャーデビューを目指して路上ライブを重ねる。「バックドラフト」廃刊が決まり、工事現場で働き続けるタイチ。そんなある日、工事現場で不発弾が発見される。自分の責任が問われることを恐れた現場監督は、バイトのタイチに埋め直しを迫るのだった。

                                        

劇団子供鉅人、久々の大阪・東京本公演。

 

タイトルにある「不発する」は言葉としては変なのだけど、この作品で描かれている人物たちを形容するにはなぜだかしっくりくる(ウォン・カーウァイ監督『恋する惑星』からの発想だと推測されるけど、真偽のほどは不明)。

登場人物のほとんどは現状には満足していないわけだが、その不満というのはほんの些細なことが原因なのかも知れない。とりわけ口の利けないリンコの言いたいことが分からない現場監督の男は自分が手話で悪口を言われていると思い込むが、娘は単に「お父さん、おはよう」と伝えていただと判るのはその最たる例。

不発する想いを土の中に埋め込まず、爆発させられるかどうかはその人次第(不発弾は爆発させてもらっては困るけど。笑)。

 

子供鉅人は何作も観ているけど、お気に入りのキキ花香さんが出ていない作品は初めてかも。

その代わり(?)、ドラマ『フルーツ宅配便』で注目を集めたうらじぬのさんが大活躍。最後、全員がバンドの一員となって演奏する際にはドラムを担当。

うらじぬのさんだけではなく、キャスト全員が全力投球なところがいい。益山貴司さんがMCを務めてキャストを紹介するくだりが3回あったけど、どことなくつかこうへい作品を思い出した。

 

上演時間約1時間40分。