劇団チョコレートケーキ『治天ノ君』 | 新・法水堂

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演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

劇団チョコレートケーキ 第三十一回公演

『治天ノ君』

 

 

【東京公演】

2019年10月3日(木)~14日(月・祝)

東京芸術劇場シアターイースト

 

脚本:古川健(劇団チョコレートケーキ)

演出:日澤雄介(劇団チョコレートケーキ)

 

舞台美術:鎌田朋子  照明:松本大介(松本デザイン室)

音響:佐久間修一(POCO)  音楽:加藤史崇
衣装:藤田友  ヘアメイク:赤坂街子
演出助手:和田沙緒理  演出部:石塚貴恵

舞台監督:本郷剛史  宣伝美術:R-design
写真:池村隆司  撮影:神之門隆広(tran.cs)
Web:ナガヤマドネルケバブ

キャスティング協力:吉川敏詞(ai-ou!)

制作:菅野佐知子(劇団チョコレートケーキ)

制作協力:塩田友克/トム・プロジェクト

 

出演:

西尾友樹[劇団チョコレートケーキ](大正天皇嘉仁)

松本紀保(貞明皇后節子)

谷仲恵輔[JACROW](明治天皇睦仁)

浅井伸治[劇団チョコレートケーキ](昭和天皇裕仁)
菊池豪[Peachboys](教育係・有栖川宮威仁)

青木柳葉魚[タテヨコ企画](原敬)

吉田テツタ(宮内大臣・牧野伸顕)

佐瀬弘幸[SASENCOMMUN](大隈重信)

岡本篤[劇団チョコレートケーキ](侍従武官・四竃孝輔)

 

STORY

激動の明治・昭和に挟まれた『大正時代』。
そこに君臨していた男の記憶は現代からは既に遠い。
暗君であったと語られる悲劇の帝王、大正天皇嘉仁。
しかし、その僅かな足跡は、人間らしい苦悩と喜びの交じり合った生涯が確かにそこにあったことを物語る。
明治天皇の唯一の皇子でありながら、家族的な愛情に恵まれなかった少年時代。
父との軋轢を乗り越え、自我を確立した皇太子時代。
そして帝王としてあまりに寂しいその引退とその死。

今や語られることのない、忘れられた天皇のその人生、その愛とは?【公式サイトより】

                                        
2013年に駅前劇場、2016年にシアタートラムで上演された作品の三演。キャストは再演時と同じ。
 
確かに大正という時代は15年しかなく、明治や昭和に比べると地味な存在。現在、《ビッグコミックオリジナル》に連載中の『昭和天皇物語』を読んでいても大正天皇は病弱な人というイメージしかなかったが、本作でかなり名誉回復されたのではないだろうか。
 
大正天皇は「人前では父と呼ぶな」という明治天皇とは違い、二人でいるときは節子皇后に名前で呼ばせるなど、リベラルな人物。
ところが、息子の昭和天皇は祖父に憧れ、明治天皇の誕生日(11月3日)を明治節とする。日露戦争・日清戦争に勝利して大国の仲間入りをした明治の再来とばかりに軍国主義に走り、後の悲劇を招いたことは万人の知る通り。
そう考えると、昭仁上皇が平和を愛し、人々に寄り添った活動をされていたのもその反動と言えなくもない。ことほどさように父親は反面教師にされていくのね。ま、現在の天皇は上皇の路線を受け継いでいくのだろうけど、現政権が明治や昭和のような時代を目指しているからねぇ……。
とりあえずこれからは、大正天皇の誕生日(8月31日)を心の中で「大正の日」として祝うことにしよう(笑)。
 
キャストはみんなよかったけど、松本紀保さんが最後に大正天皇について語るくだりは涙を誘われた。
他には岡本篤さん、吉田テツタさんが印象に残った。
 
上演時間約2時間22分。
アフターアクトでは、大千穐楽ということもあってか、岡本篤さん(ただし役どころは四竃孝輔の息子)、西尾友樹さん(谷仲恵輔さんも声と一瞬出演)、浅井伸治さん(赤ん坊とともに登場)と劇団チョコレートケーキの劇団員がそれぞれ10分ほどの一人芝居を上演。