旅立つことば リービ英雄・温又柔トークイベント | 新・法水堂

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神保町ブックセンターにて『バイリンガル・エキサイトメント』(岩波書店)、『「国語」から旅立って』(新曜社)刊行記念、リービ英雄さんと温又柔さんのトークイベント「旅立つことば」へ。
法政大学大学院で師弟関係にあったお二人はともに母語ではない日本語で作品を発表している作家。最近はトークでしか温さんが会ってくれないとこぼすリービさん。笑
 
まずは新元号「令和」の出典が『万葉集』だったことから、リービさんが新聞やテレビからコメントを求められたという騒動について。令和の発案者が師匠の中西進さんだとされていることも知らずに対応していたとか。
 
ちなみに温さんのデビュー作「好去好来歌」も山上憶良の長歌から取られている。
以前、下北沢の本屋B&Bでのトークイベントで温さんが李良枝さん
の「由熙」が好きだと仰っていたけど、台湾版の「由熙」を書きたいということで小説を書き始めたとか。リービさんを通して李良枝さんに出会ったことの意義を強調されていたけど、作家・温又柔の誕生にはリービさんの存在が大きな役割を果たしたことを改めて感じた。
 
後は黒人作家ジェイムズ・ボールドウィンさんが「自分たちの言葉をそのまま書いてもいい」と言っていたことから、シスネロス、太宰治へと話が及び、「日本語は日本人だけのものじゃない」ということで見解が一致。
温さんが『ラストサムライ』の「サムライの遺伝子を受け継ぐすべての者たちへ」というキャッチコピーに抱いた違和感の話も興味深かった。
 
トーク後、自分が解説を書いたリービ英雄さんの『模範郷』(集英社文庫)をPRする温又柔さん。

 
その後、サイン会。温さんにはいつも名前の漢字を褒められるのだけど、「(その話をされるのが)3回目です」と言ったら、♥️を3つ書いてくれました。笑