以前の記事で紹介した禁止級キャラランクについて,今回はBランク,技や数値が優秀で独自の役割を持つが,癖が強く扱いが難しい禁止級伝説について解説する。

数が多いため,前編と後編に分けて解説する。


禁止級キャラランク


Cランク(D〜Eランクはこの記事のリンクにあります)




グラードン

タイプ 地面

特性 日照り(天気を晴れにする)

種族値 H100 A150 B140 C100 D90 S90 T670

専用技 断崖の剣(威力120命中85PP10,全体攻撃)


第3世代のパッケージ伝説。

SVに内定している禁止級で唯一の地面タイプ。


耐性はそこまで優秀ではないものの,弱点となるタイプにに高火力の技が少なく,自身の防御の高さもあって居座り性能が高い。

このため,ステルスロック,吠える,電磁波,鬼火,岩石封じ等を覚えさせた起点作成型が使いやすく,禁伝PTではこの型が主流となっている。

新たな日照り要因としてコライドンが登場したが,元のタイプの違いとサポート技の豊富さから差別化は不用。

こちらは禁止級に一貫しやすい地面アタッカーとしての活躍も期待できる。


起点型としてはアルセウスに次ぐ汎用性を持つものの,禁伝PTでは無視できない大きな欠点を抱えている。

それは,コライドンの晴れターンとの噛み合いの悪さである。

グラードンのサポートから全抜きアタッカーに繋ぐのは禁伝PTでもよく使われる戦術ではあるが,その中でもコライドンは晴れが重要視されるポケモンであり,グラードンの居座りが中途半端に晴れターンを潰してしまうのである。

前述の通りグラードンは居座りに向いているが,逆に言えば短いターンで退場することはできず,かと言って5ターン以上生き残れるほどの耐久は持ち合わせていない。

このため,グラードンが退場する時には晴れの残りターンが足りず,コライドンの制圧力が落ちてしまうことになってしまう。

この欠点をうまく補うことができれば起点役としてはトップクラスと言えたのだが,技や持ち物でも補いきれず,中々厳しい立ち位置にある。

逆に言えば,コライドンと組ませることに拘らなければ起点役として活躍が見込めるだろう。

チョッキやスカーフを持たせて,ミライドンやザシアンに強いアタッカーとして採用するのも手。

禁伝の中でも型はかなり多いため,努力値や持ち物を上手くカスタマイズできれば相手を大きく撹乱することができるだろう。


鬼火ステロ型はこちら



ディアルガ(通常)

タイプ 鋼,ドラゴン

特性 プレッシャー(自分に使う技PPを2減らす)/テレパシー(味方からの攻撃を受けない,ダブル専用)

種族値 H100 A120 B120 C150 D100 S90 T680

専用技 時の咆哮(威力150命中90PP5,反動で次のターンは動けない)


第4世代のパッケージ伝説。

耐性が優秀で,ステルスロック,吠える,電磁波を覚えることから,起点作成としての採用が主。

今作ではトリックを習得し,拘りトリックや後攻の尻尾トリックも可能となり,型の幅が広がった。

突撃チョッキを持たせれば,ミライドン等の特殊アタッカーに強いアタッカーとしても運用可能。


耐性が優秀な一方,弱点が地面,格闘とメジャーで,行動する前に上から倒されるケースも少なくない。

特に地面タイプの一般枠に禁止級に強いポケモンが多く,火力アイテムを持たせた地面技を耐えることが難しい。風船や半減実で上手くカバーしたいところ。

一応テラスタルでも補うことは可能だが,起点役にテラスタルを切る動きは強くない。

鬼火や投げつけるを覚えないため,マルチスケイルや気合いの襷を剥がしながら状態異常にできない点も痛い。

また,純粋なドラゴン特殊アタッカーとしてミライドンの壁が厚い。耐性はこちらが優れているが,あちらと地面弱点が被っている上に火力も劣るため,アタッカーとしては明確に劣ってしまう。


他のインフレ禁伝に比べると明確に数値不足を感じる場面も多いが,禁伝PTでは貴重な起点要員として活躍が期待できるだろう。


HD起点作成ディアルガはこちら



日食ネクロズマ

タイプ エスパー,鋼

特性 プリズムアーマー(抜群技の威力を3/4で受ける,特性貫通の効果を無視する)

種族値 H97 A157 B127 C113 D109 S77 T680

専用技 フォトンゲイザー(威力命中100PP5,相手の特性を無視して攻撃,攻撃が高いと物理技,特攻が高いと特殊技になる)

プリズムレーザー(威力160命中100PP10,反動で次のターンは動けない)

ソルガレオの専用技,メテオドライブも習得可能


7世代の第3伝説枠のネクロズマが,ソルガレオと合体した姿。

タイプと特性が非常に噛み合っており,強力な禁止級と評価されることが多い。

特に,前作はダイマックスとの相性が良く,禁止級でも上位クラスの実力を持っていた。

タイプ上ザシアンに強く,高い防御と特性が相まって,あらゆるザシアンを受けることができる。

前作から習得した竜の舞を活かしたアタッカー運用も強力。陽気最速ベースならコライドンやミライドンを抜き去ることができる。

素早さは禁伝の中でもかなり遅いが,それを逆手に取ったトリックルーム運用も可能。


しかし,今作では,電磁波,コスモパワー,ボディパージ等,多くの技を没収される弱体化を受けた。特に電磁波は技マシンに残っているにもかかわらず習得不可となってしまった。

また,ダイマックスの廃止により実質的な火力,耐久が低下し,環境上位の悪や地面に押し切られる危険性が増加した。一致技も威力が100止まりであり,弱点を突かなければ余裕で耐えられてしまう。

さらに,自身の耐久を持ってしても耐えきれない超火力を持つコライドン,ミライドンの登場が痛い。


特性が強力で技も優秀なものが揃っているが,環境的に苦手な相手が増えてしまい,前作ほどの勢いはない。

しかし,ザシアン受けとしての役割は健在で,竜舞アタッカーとしても悪くない性能を持つ。

元のスペックは優秀であるため,役割をしっかり決めれば十分な活躍が見込めるだろう。


ゴツメ日食ネクロズマはこちら





ムゲンダイナ

タイプ 毒,ドラゴン

特性 プレッシャー(自分に使う技PPを2減らす)

種族値 H140 A85 B95 C145 D95 S130 T690

専用技 ダイマックス砲(威力命中100PP5,アンコール無効)


8世代の第3伝説枠。

高い耐久に加えてコスモパワーや毒毒,毒菱,自己再生を覚えることから,耐久型として使われることが多い。今作で炎の渦を覚え,更に強化された。

火力もそれなりに高く,アタッカーとしても使える。

耐性もなかなか優秀であり,受けループやサイクル構築に組み込みやすい。特に毒菱を回収できる点が優秀。

種族値に無駄がなく,技もアタッカー,耐久型ともに不足なく揃っていることから,非常に強力な禁止級と評価されることが多い。「(数値だけ見れば)速くて火力のある特殊アルセウス」と言えばそのスペックの高さがわかるだろう。


だが,禁止級最強格の実力を持っているかと言うとそうではなく,以下の理由から個人的にはかなり扱いが難しい禁止級であると考えている。

・今作で耐久型に強い戦術が増加。アンコール,一撃技,強制交代技,拘りトリック等

・デバフ技のマジカルフレイム没収により,サイクル性能が激減

・露骨な素早さ種族値で上から一致弱点を突いてくるコライドン,ミライドンの登場。特にミライドンは特殊ドラゴンアタッカーとしての役割も奪っている

・炎の渦採用の場合,遂行力が著しく低く,急所等で競り負ける可能性がある

・自己再生のPP減少により居座り続けることが難しくなる

・不一致テラスした場合,黒いヘドロでHPが減ってしまう

・弱点が一貫しないテラスタイプが少ない


今作では耐久戦術が全体的に弱体化されており,ムゲンダイナはその影響を大きく受けてしまっている。

耐久戦術で無対策の相手を詰ませる性能は健在だが,対策となる戦術も多く,適当に採用してもそのポテンシャルを引き出すことは難しいのが現状である。

数値は非常に優秀なため,組ませる相手やPTにおける役割をしっかり定めて運用すれば活躍できるだろう。


型サンプル

残飯コスモパワー耐久型

臆病H204B52C4D68S180  水orフェアリーテラス

炎の渦or火炎放射,毒毒,コスモパワー,自己再生


毒毒とコスモパワーで相手を詰ませる,ムゲンダイナの基本の型。

素早さは最速120族抜き。

仮想敵に応じて,努力値をカスタマイズすると良い。


毒菱サイクル型

穏やかH204D148S156 フェアリーテラス 食べ残し

ダイマックス砲,火炎放射,毒菱,自己再生

毒菱を撒いてサイクルを回す型。

素早さは最速ガブリアス抜きだが,仮想敵に合わせて調整の余地あり。

ホウオウや日食ネクロズマ,フェアリーアルセウスと好相性。


後編はこちら