ポケモンチャンピオンズでは,個体値(生まれつきの能力)が廃止されている。

これにより,全てのポケモン実数値が個体値31相当として扱われるようになった。

個体値廃止の影響は大きく,特殊特化のアタッカー全員がイカサマのダメージが増えてしまったり,トリックルームで下から殴る際に先制できる相手が減るという事態が発生している。

今回は,もし禁止級伝説がチャンピオンズに実装された際,個体値廃止の影響がどれほどのものになるかを考察する。


①A個体値0の廃止とイカサマについて

チャンピオンズではイカサマの基礎威力は95のままであり,仕様は特に変更はないと思われる。

禁止級伝説では,イベルタルが主な使い手となる。

他にはミュウツーや黒バドレックスも覚えるが,こちらは採用機会は非常に少ない。

幻では,アルセウス,ミュウ,ダークライ,フーパ,モモワロウが習得可能だが,こちらも採用率は高くない。


イベルタルが禁止伝説戦でメジャーポケモンの一角として扱われていることもあり,個体値廃止によりA実数値が高くなってしまうことの影響は大きいと考えられる。

しかし,イカサマが弱点となるポケモンは,A個体値が低かろうがそもそもダークオーラ込みのイカサマで一撃で落ちる(黒バドレックス,月食ネクロズマ,ウルトラネクロズマ,メガミュウツーY等),マルスケで1発は確実に耐える(ルギア),そもそも物理型が基本である(オリジンギラティナ,ソルガレオ,日食ネクロズマ,白バドレックス)というように,A個体値が高かろうが低かろうが大差ないケースが多い。

通常ミュウツーは,ステロ込みで臆病A31の場合は耐久無振りが75%の高乱数1発,A0の場合は同条件で6.25%の低乱数1発であるが,ステロを撒かれていなければ1発は耐える。

ルナアーラは,ファントムガード発動時は確定で耐えるが,ファントムガードが削れていると個体値に関係なく確定1発になる。

…と思いきや,HB特化の場合,A0であればイカサマを確定3発に抑える上,ステロダメージ込みの場合31.25%の確率で耐えることがあるため,A0が使えなくなった影響はより大きいと言える。


また,イカサマが弱点でなくとも無駄に攻撃が高い禁伝は多く,それらのポケモンは攻撃個体値を下げなければ無駄にイカサマのダメージが増えてしまう。

具体的には,ゲンシカイオーガ,通常ディアパル,レシラム,ホワイトキュレム等が挙げられる。


しかし,禁伝が全て解禁される環境で,イカサマイベルタルが最メジャーになるかと言われると難しいところである。

イベルタルの躍進が想定されるであろうダイマックスルールでは,ダイアークの追加効果から特殊型が優先されるため,イカサマを採用する技スペは基本的にはない。

物理型ダイマックスエースの場合は,ダイアーク最高火力のため採用の余地があるが,こちらも純粋な物理技として使える鬱憤晴らし(ダイマ時は威力が130で同じ)との競合になる。

ダイマックスがないルールでは,コライドンやミライドンに火力で押し切られるケースが増えるため,そもそもの採用率が下がると思われる。

ついでにその2匹にもイカサマは刺さらない(ミライドンには大した火力が出せず,コライドンには半減される。テラスタルが実装される場合は格闘タイプが消えた時にイカサマが刺さるようになるが)。

採用するなら黒バド受けになるが,その場合も黒バドの火力を下げられるバークアウトが優先されるだろう。

こればかりは実際に解禁されないと分からないが,少なくとも7世代ほどイカサマが飛び交う環境にならない可能性が高い。


このことから,A個体値0廃止の影響は,禁止伝説戦でイカサマイベルタルがどれほど流行するかにかかっていると言えるだろう。


②S個体値0の廃止とトリックルームについて

チャンピオンズでもトリックルーム(通称トリル)は続投。

禁止級伝説では,日食及び月食ネクロズマ,白バドレックスが主な使い手となる。

トリル始動要員としてルナアーラ,ソルガレオ,ディアルガ,パルキア等が使われる場合もある。

幻ではエスパータイプのポケモンは大体使える。

その他,マギアナやディアンシーがトリル始動要員として優秀。

メルメタルは自力でトリルを覚えないが,S34と幻のポケモンでは最も遅いため,トリル下で使われるケースが多い。


トリル軸で使う場合,トリル下でできるだけ多くのポケモンの上を取るために,基本的にはS個体値0が必須となる。

このことから,S個体値0廃止はトリル戦術をメインとするポケモンには致命的な弱体化と言える。

…と思われたが,「禁止伝説および幻限定の対戦」においては,実は大きな影響はない。


禁止級伝説は,素早さラインが決まっているため,個体値の変化によってトリル下での有利不利が変わるケースは殆どない。

特にトリルエースとして使われやすいネクロズマ,白バドレックス,メルメタルは,素早さ種族値に大きな差があり,素早さ関係は個体値によって変わらない。

個体値が廃止されたことで下降補正無振りの実数値がポケモン毎に固定されているため,トリル下での有利不利が変わることはない。

仮に個体値が実装されたとしても,意地S個体値31の白バドレックス(実数値70)を,S0勇敢日食ネクロズマ(実数値73)はトリル下で上から殴ることはできない。

S種族値が高い中速トリルの場合は多少S個体値の影響は出るものの,トリルをメインとして使うポケモンにとっては,「禁止伝説戦においては」これまでと変わらずトリルエースとして活躍できる。


もっとも,一般ポケモンが共存する環境においては,素早さラインが近いポケモンが激増し,S0使用不可の影響がモロに出てしまうため,この仕様は大きな改悪となってしまうのだが。

それでも,上述の理由から禁止伝説戦でS個体値0が廃止されてもそこまで困らない状況になったのは不思議な話である。


◯総評

今後の対戦環境の変遷に左右されるものの,少なくとも「禁止級伝説戦」では(9世代までの仕様であれば),個体値廃止は環境を激変させるほどの影響を及ぼすとは言い難いと考えられる。

チャンピオンズのカジュアルバトルで,今後禁止級伝説6体編成が可能になるのであれば,多少戦術の幅が狭まる可能性はあるものの,今までと変わらず禁止級伝説戦を楽しむことができると考えられる。

(一般ポケモンとの対戦ではS0個体を使えない弊害が出るのはどうしても引っかかってしまう部分ではあるが…)


ただし,現状ではカジュアルバトルとランクマッチのルールは同じであり,これが続く場合は禁止級伝説6体編成を組むこと自体が今後不可能になる可能性が極めて高い。

10世代以降に禁止級伝説6体編成で戦える場が設けられることを祈るばかりである…。