以前の記事で紹介した禁止級キャラランクについて,前回解説しなかったBランク(技や数値が優秀で独自の役割を持つが,癖が強く扱いが難しい)の禁止級伝説について解説する。


禁止級キャラランク

前編はこちら




ザマゼンタ

タイプ 格闘(歴戦の勇者)/格闘,鋼(盾の王)

特性 不屈の盾(最初に登場した時のみ防御1段階上昇)

種族値(勇者) H92 A120 B115 C80 D115 S138 T660

種族値(盾王) H92 A120 B140 C80 D140 S128 T700

専用技 巨獣弾(威力命中100PP5,盾の王時にアイアンヘッドがこの技に変化)

*盾の王は持ち物が朽ちた盾固定


第8世代のパッケージ伝説。

前作では最も不遇な禁止級伝説とされていたにもかかわらず,ザシアンの巻き添えを喰らう形で特性も種族値も弱体化されてしまった。

しかし,新たにボディプレスを習得。鉄壁ボディプレスのコンボが可能になり,使い勝手が大きく向上。

並の物理アタッカーを対面で起点にしていく強力な要塞アタッカーとして活躍できるようになった。

鉄壁を積むだけで耐久力も遂行力も一気に上がるため,耐久型の中でもかなり使いやすい。

その他,ヘビーボンバーや吠える等,使い勝手の良い技を習得した。

歴戦の勇者は,地面や格闘,炎が弱点にならず,コライドンやミライドンの上から壁貼りができる点が評価されている。


とはいえ,ザマゼンタの強さはボディプレスに強く依存しており,ボディプレスが通らない相手には非常に弱いという欠点がある。

このため,ゴーストタイプや特性天然で止まりやすく,対策自体は容易。(ただしハバタクカミやミミッキュはヘビーボンバーで普通に吹き飛ぶため,ゴーストタイプだからといって対策にはならないポケモンもいることには注意)

具体的には,黒バドレックスのアンコール,ルギアやホウオウの吹き飛ばし,ルナアーラで要塞化等が挙げられる。

一般枠でもサーフゴーやヘイラッシャ,ラウドボーン等で簡単に止めることができる。何ならコライドン対策の物理受けがそのまま通用してしまう。


HOME解禁当時はザマゼンタを対処できるメジャーポケモンは多くなく,ザマゼンタのボディプレスで圧殺できる場面が多かった。

しかし,現在では禁伝含めボディプレスに耐性があるポケモンが増えたため,やや動きづらくなってしまっている。

性能自体は強力な部類なので,得意な相手に絞って選出すれば十分活躍できるだろう。


鉄壁ボディプレスザマゼンタはこちら




ギラティナ(オリジンフォルム)

タイプ ゴースト,ドラゴン

特性 浮遊(地面技無効)

種族値 H150 A120 B100 C120 D100 S90 T680

専用技 シャドーダイブ(威力120命中100PP5,2ターン目に攻撃,技使用後は相手の攻撃は当たらない※,相手の守りを無視して攻撃

持ち物は大白金玉で固定


※技使用後→1ターン目にギラティナが先攻の場合はそのターン,後攻の場合は次のターンに相手の攻撃が失敗する。相手に影響を及ぼす変化技も同様に失敗する。


4世代の第3伝説枠で,プラチナのパッケージを飾るポケモン。

不遇な禁伝と言えばこのポケモンを挙げるプレイヤー(特に8世代プレイヤー)は多いことだろう。

中途半端な火力に加えて持ち物固定であることが,不遇と言われていた大きな理由だろう。


しかし,今作では立場が大きく改善された。

その理由は,テラスタルによる耐性変化と浮遊の相性の良さである。

特に浮遊+鋼テラスが非常に優秀で,元の弱点を補えるだけでなく,鋼タイプの弱点のうち地面を無効にできる点が極めて優秀。

テラスして瞑想+身代わりで耐久と遂行力を高める動きは対一般においてかなり強力で,特に霊獣ランドロスやガチグマに強い。

また,DLC後編で呪いを習得。苦手な相手への削りに有効な他,不一致テラスと合わせて物理方面への積み技としても使える。下がった素早さは影打ちで補うこともできる。

今までギラティナは物理の積み技がなく火力不足に悩まされてきたが,物理に関しては火力不足を補うことができるようになった。

こちらは炎テラスとの相性が良い。パオジアンやザシアンといった強力な物理アタッカーからの有効打を消すことができるほか,火傷が無効になるためホウオウ等の火傷をメインに戦うポケモンに対して非常に強く出られる。


また,今までは微妙とされてきた両刀配分が対ヘイラッシャで有効活用できるようになったことで,物理ベースの両刀型が使いやすくなっている。

特攻無振りでも大白金玉の補正が乗れば流星群でH振りヘイラッシャを確定2発で沈める。

テラスタルで耐性を変えられても,呪いの削りやポルターガイストの削りで圧をかけられる。

また,同時に組まれやすいサポート寄りのディンルーやランドロスに対しても,地震や地割れを無効にできることから強めに出られる。

このことから,特定の禁伝との殴り合いに強く,地割れ無効で天然にも隙を見せづらいという点が大きく評価されており,補完枠として禁伝PTにも採用しやすくなっている。


と,第8世代までと比べると,新システムとの噛み合いの良さから劇的に強化されたと言えるが,流石に最上位禁伝に比べると見劣りするのも事実。

・AC120による火力不足を完全に克服できない(特に特殊方面)

・積み技が前提となる型では,挑発やアンコール,吠えるに弱い

・持ち物固定なため,安定した回復ソースがない

・特殊ベースの場合は禁伝に役割対象が少ない。物理ベースの場合でも超火力特殊禁伝相手に隙を見せてしまうことがある

・呪いとテラス鈍いの使い分けがかなりシビア

・技枠が足りず,採用する技次第では隙を見せる相手も出てくる


今作ではテラスタルによる恩恵を強く受けており,禁伝PTの補完枠として採用しやすい,かなり強力な禁止級と言える。

しかし,火力増強が積み技頼りであることや,テラスタルのタイミングや呪いの使い分けがかなりシビアであることから,扱いが難しい禁止級である。

とはいえ,8世代以前に比べれば大躍進を遂げたのは事実である。

禁伝PTにもスタメンで採用する価値が出てきたことから,今が最盛期と言っても過言ではないだろう。


鋼テラス瞑想型はこちら


炎テラス呪い型はこちら




ルギア

タイプ エスパー,飛行

特性 プレッシャー(自分に使う技PPを2減らす)/マルチスケイル(HP満タンの時受けるダメージを半分にする)

種族値 H106 A90 B130 C90 D154 S110 T680

専用技 エアロブラスト(威力100命中95PP5,急所率+1)


第2世代のパッケージ伝説。
夢特性のマルチスケイルが非常に強力で,殆どの攻撃技を1回は確実に耐えてしまう。
耐久の高さを活かし,瞑想と自己再生で要塞化する型がメジャー。
今作ではサイコノイズを覚えたため,耐久型同士の殴り合いに強くなった。
元の微妙な耐性も,テラスタルで補うことが可能になった。
吹き飛ばしや凍える風,冷や水等で起点回避やサポートも可能。
耐久の高さを存分に活かした禁止級と言える。

最大の欠点は深刻な火力不足。
ギラティナ以上に火力が低く,瞑想があっても遂行力が著しく低い。
このため,どうしても長期間居座る立ち回りになってしまい,追加効果や毒毒,一撃技等の餌食になりやすい。
火力が低いせいで,吠えるや吹き飛ばし持ちに後投げされてそのまま流されることも多い(この戦術がルギアの最大の天敵にして一番の対策である)。

更に追い討ちをかけるように,ルギア自身も電磁波没収,自己再生PP減少という弱体化を受けてしまい,単体性能も落ちてしまっている。
アンコールをはじめとした耐久型に強い戦術の増加も痛い。

とはいえ,一度瞑想を積みきってしまえば特殊での突破は不可能になる等,マルチスケイルを活かした耐久性能の高さは健在であり,テラスタルによって苦手な相手すら詰ませることができるようになっている。
無対策の相手を一瞬で追い込む力がある,十分強力な禁止級の一角である。

型サンプル
瞑想型
図太いH220B236S52 フェアリーor毒テラス 食べ残し,隠密マント,アッキの実等
サイコノイズ,エアスラッシュor大地の力,瞑想,自己再生

ルギアのオーソドックスな瞑想型。
サイコノイズと瞑想による殴り合い性能の高さが魅力。
定番のアッキの実や食べ残しも強いが,追加効果をシャットアウトできる隠密マントも有用。

対コライドン型
図太いHB フェアリーor水テラス アッキの実
エアロブラスト,冷や水,吹き飛ばし,自己再生

アッキの実で物理防御を上げ,コライドンを受ける。
起点回避の吹き飛ばしを覚える点でルナアーラより優秀だが,晴れで回復量は増えない。
炎技を意識するなら水テラス,スケイルショットを意識するならフェアリーテラスを採用。
コライドン以外には強い相手が少ない上に,コライドンが鉢巻型だと普通にゴリ押される可能性がある。



バドレックス(白馬乗の姿)

タイプ エスパー,氷

特性 人馬一体(相手にきのみを食べさせず,相手を倒すと攻撃が上がる)

種族値 H100 A165 B150 C85 D130 S50 T680

専用技 ブリザードランス(威力120命中100PP5,全体攻撃)


第8世代のDLC伝説であるバドレックスが,ブリザポスと合体した姿。

種族値配分の無駄が非常に少なく,単体数値としては禁止級トップクラス。

素早さの低さから,トリックルームでの運用が主流となっている。高い耐久で相手の攻撃を耐え,トリル展開をし,一貫性の高い氷技で相手を串刺しにする。

技範囲も優秀で,補完に優れた10万馬力をはじめ様々な技を覚える。

耐性は劣悪だが,今作ではテラスタルによる耐性変更で補えるようになった。

テラスタルで耐性を変えた上でトリルを発動させれば,特性も相まって手がつけられなくなってしまう。


単体性能だけで言えばAランクに匹敵する実力を持つが,実際はそこまで多く使われているわけではない。

その最大の理由は,黒バドレックスの存在である。

種族値傾向や戦術は全く異なるものの,あちらの方が汎用性が遥かに高く,戦術も豊富で使いやすい。

そして両方とも同じポケモンであるためPTで共存できない上に,絆の手綱が使えるバドレックスは合体するポケモンに関係なく1ロムで1匹のみであり,育成するにも合体をいちいち解く必要があり,手間がかかる。

このため,鈍足アタッカー一辺倒になりがちな白バドレックスよりも,型の豊富さや使いやすさで大きく勝る黒バドレックスの方が優先して採用されやすい。

また,元タイプが攻撃面でもあまりよろしくなく,サブウェポンの地面や格闘等を一致技として扱えないのも難点。

白の嘶きで攻撃を上げても,サブウェポン読みの交代やテラス変更を決められるとあっさりトリルターンを稼がれてしまうため,技選択には常に気を遣う必要がある。

能力上昇物理アタッカーの宿命として,ヘイラッシャにも非常に弱い。

当然元の耐性も劣悪であるため,最大限活躍させるにはテラスタルか味方のサポートが必要となってしまう。


非常に高い数値を持つものの,戦術がどうしても鈍足トリルアタッカーに固定されがちである点と,黒バドレックスに枠を取られてしまう点がかなり痛い。

ただ,ポテンシャルは非常に高く,黒バドを採用できない点を除けばトップクラスの戦闘力を誇るため,自身の強みを上手く活かして全抜きを狙っていきたい。


トリル白バドレックスはこちら


以上がBランクの禁止級伝説の解説である。

競合相手や数値,技の物足りなさから上位禁伝と比べると一段劣るものの,禁伝PTにおいて重要な要素を兼ね備えており,採用価値は十分にある禁止級と言えるだろう。