以前の記事で紹介した禁止級キャラランクについて,前回解説しなかったBランク(技や数値が優秀で独自の役割を持つが,癖が強く扱いが難しい)の禁止級伝説について解説する。


禁止級キャラランク


前編はこちら



バドレックス(白馬乗の姿)

タイプ エスパー,氷

特性 人馬一体(相手にきのみを食べさせず,相手を倒すと攻撃が上がる)

種族値 H100 A165 B150 C85 D130 S50 T680

専用技 ブリザードランス(威力120命中100PP5,全体攻撃)


第8世代のDLC伝説であるバドレックスが,ブリザポスと合体した姿。

種族値配分の無駄が非常に少なく,単体数値としては禁止級トップクラス。

素早さの低さから,トリックルームでの運用が主流となっている。高い耐久で相手の攻撃を耐え,トリル展開をし,一貫性の高い氷技で相手を串刺しにする。

技範囲も優秀で,補完に優れた10万馬力をはじめ様々な技を覚える。

耐性は劣悪だが,今作ではテラスタルによる耐性変更で補えるようになった。

テラスタルで耐性を変えた上でトリルを発動させれば,特性も相まって手がつけられなくなってしまう。


単体性能だけで言えばAランクにも引けを取らない実力を持つが,実際はそこまで多く使われているわけではない。

その最大の理由は,黒バドレックスの存在である。

種族値傾向や戦術は全く異なるものの,あちらの方が汎用性が遥かに高く,戦術も豊富で使いやすい。

そして両方とも同じポケモンであるためPTで共存できない上に,絆の手綱が使えるバドレックスは合体するポケモンに関係なく1ロムで1匹のみであり,育成するにも合体をいちいち解く必要があり,手間がかかる。

このため,鈍足アタッカー一辺倒になりがちな白バドレックスよりも,型の豊富さや使いやすさで大きく勝る黒バドレックスの方が優先して採用されやすい。

また,元タイプが攻撃面でもあまりよろしくなく,サブウェポンの地面や格闘等を一致技として扱えないのも難点。

白の嘶きで攻撃を上げても,サブウェポン読みの交代やテラス変更を決められるとあっさりトリルターンを稼がれてしまうため,技選択には常に気を遣う必要がある。

当然元の耐性も劣悪であるため,最大限活躍させるにはテラスタルか味方のサポートが必要となってしまう。


非常に高い数値を持つものの,戦術がどうしても鈍足トリルアタッカーに固定されがちである点と,黒バドレックスに枠を取られてしまう点がかなり痛い。

ただ,ポテンシャルは非常に高いので活躍させるのは難しくない。

黒バドを採用できないデメリットを考慮した上で,PTでの役割を決めると良いだろう。


トリル白バドレックスはこちら




ザマゼンタ

タイプ 格闘(歴戦の勇者)/格闘,鋼(盾の王)

特性 不屈の盾(最初に登場した時のみ防御1段階上昇)

種族値(勇者) H92 A120 B115 C80 D115 S138 T660

種族値(盾王) H92 A120 B140 C80 D140 S128 T700

専用技 巨獣弾(威力命中100PP5,盾の王時にアイアンヘッドがこの技に変化)

*盾の王は持ち物が朽ちた盾固定


第8世代のパッケージ伝説。

前作では最も不遇な禁止級伝説とされていたにもかかわらず,ザシアンの巻き添えを喰らう形で特性も種族値も弱体化されてしまった。

しかし,新たにボディプレスを習得。鉄壁ボディプレスのコンボが可能になり,使い勝手が大きく向上。

並の物理アタッカーを対面で起点にしていく強力な要塞アタッカーとして活躍できるようになった。

鉄壁を積むだけで耐久力も遂行力も一気に上がるため,耐久型の中でもかなり使いやすい。

その他,ヘビーボンバーや吠える等,使い勝手の良い技を習得した。

歴戦の勇者は,地面や格闘,炎が弱点にならず,コライドンやミライドンの上から壁貼りができる点が評価されている。


とはいえ,ザマゼンタの強さはボディプレスに強く依存しており,ボディプレスが通らない相手には非常に弱いという欠点がある。

このため,対策自体は容易。(ただしハバタクカミやミミッキュはヘビーボンバーで普通に吹き飛ぶため,ゴーストタイプだからといって対策にはならないポケモンもいることには注意)

具体的には,黒バドレックスのアンコール,ルギアやホウオウの吹き飛ばし,ルナアーラで要塞化等が挙げられる。

一般枠でもサーフゴーや天然組(ヘイラッシャ等)で簡単に止めることができる。何ならコライドン対策の物理受けがそのまま通用してしまう。


HOME解禁当時はザマゼンタを対処できるメジャーポケモンは多くなく,ザマゼンタのボディプレスで圧殺できる場面が多かった。

しかし,現在では禁伝含めボディプレスに耐性があるポケモンが増えたため,やや動きづらくなってしまっている。

性能自体は強力な部類なので,得意な相手に絞って選出すれば十分活躍できるだろう。


鉄壁ボディプレスザマゼンタはこちら






テラパゴス

タイプ ノーマル

特性 テラスシェル(テラスタルフォルム専用,HP満タンの時全ての攻撃技を効果今ひとつにする)/ゼロフォーミング(テラスタルした時に,発生している天気,フィールドを掻き消す)

種族値(テラスタルフォルム) H95 A95 B110 C105 D110 S85 T600

種族値(ステラフォルム) H160 A105 B110 C130 D110 S85 T700

(ノーマルフォルム H90 A65 B85 C65 D85 S60 T450 この姿で戦うことはないが,ボックスではこの種族値で表示される)

専用技 テラクラスター(威力120命中100PP5,ステラフォルムの時はステラタイプかつ全体攻撃となり,自分の攻撃が高ければ物理技に,特攻が高ければ特殊技となる。通常時は特殊ノーマル技)

*テラスタイプはステラ固定


第9世代のDLC伝説。

ノーマル単という,幻を除く禁止級では唯一のタイプを持つ。

テラスタルフォルムは,HPが満タンの時に相手の技を全て半減にするという非常に強力な特性を持つ。

これにより,ほぼ全ての攻撃を1発耐えることができるため,レッドカードを持たせて相手を強制的に流すことができる。

元の火力は低いものの,毒毒,ステルスロック,吠えるを覚えることから,起点作成に向いている。

元タイプが地面弱点でない点も優秀で,受け出し性能も高め。

更に禁止級で唯一高速スピンを覚えるため,相手の毒菱やステルスロック,ねばねばネット等を弾き飛ばすという芸当もできる。

このことから,起点作成要員としてかなり優秀と言える。


ステラフォルムは,各技の威力上昇が制限なく続く点が特徴。

元の火力こそ禁止級ではかなり低い部類だが,弱点サブウェポンの火力は馬鹿にできない。

また,悪の波動やマジカルシャイン等,禁止級上位ポケモンにピンポイントで弱点を突ける技を持つ。

専用技のテラクラスターは火力ダウンがないため,相手のテラス受けを抑制しつつ攻めていける。

加えて下の耐久種族値が非常に高いため,瞑想で要塞化することも可能。


しかし,このポケモンは,両フォルム共に性能が抑えられている部分が多く,非常に癖が強い。

◯テラスタルフォルム

・火力が非常に低い

・元の種族値が低く,あまり使わない攻撃種族値が高めになっている

・電磁波や鬼火,凍える風や岩石封じといった優秀なサポート技を覚えない

・自己再生等の高速再生技を一切覚えず,回復手段が眠るのみ

・高速スピン1ウェポンの場合挑発持ちのゴーストタイプで止まる

・ステルスロックや挑発に弱い

◯ステラフォルム

・ステラの倍率が低く,テラクラスターの火力がかなり低い(実質タイプ一致威力96の技であり,テラス前のテラクラスターよりも火力が低い)

・高威力の特殊サブウェポン(大文字や雷等)を覚えないため,火力が足りない

・高速再生技を覚えず高い耐久種族値を活かせない

・特性がテラスタルした瞬間しか発動しないため,実質特性なしで戦うのと同じになってしまう。本来コライドンやミライドンを返り討ちにすることを想定していたと考えられるが,対策としては機能していない

・アタッカー運用するならテラスタルを切らざるを得ないため,PTの柔軟性が下がる。それでいて圧倒的な殲滅力を誇るわけでもない


アタッカー運用は火力の低さから,正直力不足と言わざるを得ない。

毒菱で多少サポートがあれば活躍の余地はあるだろうか。

やはり,どんな攻撃も一発耐える,流し件起点作成要員として使うのが良いだろう。

全体的に惜しい部分はあるが,耐久の高さを活かしたサポーターとして一線級の実力を持つ禁止級である。


起点作成テラパゴスはこちら



ルギア

タイプ エスパー,飛行

特性 プレッシャー(自分に使う技PPを2減らす)/マルチスケイル(HP満タンの時受けるダメージを半分にする)

種族値 H106 A90 B130 C90 D154 S110 T680

専用技 エアロブラスト(威力100命中95PP5,急所率+1)


第2世代のパッケージ伝説。
夢特性のマルチスケイルが非常に強力で,殆どの攻撃技を1回は確実に耐えてしまう。
耐久の高さを活かし,瞑想と自己再生で要塞化する型がメジャー。
今作ではサイコノイズを覚えたため,耐久型同士の殴り合いに強くなった。
元の微妙な耐性も,テラスタルで補うことが可能になった。
吹き飛ばしや凍える風,冷や水等で起点回避やサポートも可能。
耐久の高さを存分に活かした禁止級と言える。

最大の欠点は深刻な火力不足。
ギラティナ以上に火力が低く,瞑想があっても遂行力が著しく低い。
このため,どうしても長期間居座る立ち回りになってしまい,追加効果や毒毒,一撃技等の餌食になりやすい。
火力が低いせいで,吠えるや吹き飛ばし持ちに後投げされてそのまま流されることも多い。

更に追い討ちをかけるように,ルギア自身も電磁波没収,自己再生PP減少という弱体化を受けてしまい,単体性能も落ちてしまっている。
アンコールをはじめとした耐久型に強い戦術の増加も痛い。

とはいえ,一度瞑想を積みきってしまえば特殊での突破は不可能になる等,マルチスケイルを活かした耐久性能の高さは健在であり,テラスタルによって苦手な相手すら詰ませることができるようになっている。
無対策の相手を一瞬で追い込む力がある,十分強力な禁止級の一角である。

型サンプル
瞑想型
H220B236S52 フェアリーor毒テラス 食べ残し,隠密マント,アッキの実等
サイコノイズ,エアスラッシュor大地の力,瞑想,自己再生

ルギアのオーソドックスな瞑想型。
サイコノイズと瞑想による殴り合い性能の高さが魅力。
定番のアッキの実や食べ残しも強いが,追加効果をシャットアウトできる隠密マントも有用。


ブラックキュレム

特性 テラボルテージ(特性貫通して攻撃)

種族値 H125 A170 B100 C120 D90 S95 T700

専用技 フリーズボルト(威力140命中90,2ターン目に攻撃,30%で相手を麻痺にする)

ゼクロムの専用技,クロスサンダーも習得可能


5世代の第3伝説枠のキュレムが,ゼクロムと合体した姿。

かつてはまともな物理氷技がなく最弱禁伝とされていたが,前作で氷柱針を習得し氷技の使い勝手が上昇。
更に竜の舞を習得し,強力な中速氷物理アタッカーに変貌した。
今作でも氷柱針,竜の舞は引き続き使える。
テラスタルと相性が良く,微妙な耐性を補ったり,技範囲を増やしたりできる。
トリックルームのターン制限に縛られない点が白バドレックスより優秀。

最大の強化点はいかさまダイスの登場である。
連続技を主体とするブラックキュレムにとっては最高のアイテムであり,威力120〜125の一致氷技を連打できるようになった。
癖が強いドラゴン連続技のスケイルショットも,気軽に採用しやすくなった。
更に,特性のおかげで一般ポケモンの天然組の後出しも許さず負荷を与えられる。
これにより,禁止級最強クラスの竜舞アタッカーとして大出世を果たしたと言えるだろう。

難点は,強力な型がいかさまダイス型に限定されることである。
ブラックキュレムを見た瞬間に竜舞いかさまダイス型を警戒される。
このため,挑発や吠えるに弱いという欠点がある。
状態異常を無効にする手段も非常に少ない。
スケイルショットの技外しや防御ダウンが負け筋に繋がるケースも多い。
持久力のブリジュラスに起点にされることも。
型が限定されている以上,対策されやすいのである。

しかし,型こそ限定されているものの,テラスタイプのカスタマイズ性は高いため,対策のされやすさはある程度カバー可能。(耐性が優秀なテラスタイプは弱点が一貫しやすいという欠点もあるが)
テラスタルでダメージを抑えた上で一度竜舞を積んでしまえば,受けポケモンですら一掃する制圧力を誇る。
BW禁伝ではダントツで最強と言え,禁止級全体で見ても強力な部類になったと言えるだろう。

竜舞🎲ブラックキュレムはこちら


以上がBランクの禁止級伝説の解説である。

競合相手や数値,技の物足りなさから上位禁伝と比べると一段劣るものの,禁伝PTにおいて重要な要素を兼ね備えており,採用価値は十分にある禁止級と言えるだろう。