ぬめらん | レさんのブログ改めジャンク・エッセイ

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活字中毒の方、ヒマ潰してみませんか?

 先週の土曜日、久しぶりにJR博多駅近辺で飲んだ。12月の博多駅周辺に出かけるなど数年ぶりのことである。

 指定時間より少しバスを降りた僕は、筑紫口の都ホテル前の居酒屋が作った屋外喫煙所に入った。確かに人出は増えている。そこここから中国語(おそらく)も聞こえる。しかし、流行り病前、年末の博多駅周辺は、もっと混んでいたような気がした。注意して歩かないと、人なみに押し返そうなくらいに。今は、いくつもの紫煙がその間を埋めていく。

 

 酒宴は賑々しく進み、居酒屋を出た僕たちは同じビルの上の階のカラオケでまた騒ぎ歌った。あちこちで笑いや泣き声が聞こえた。僕も適当に歌いながら(相変わらずのやかましい歌たちを、だ)そんなみんなを見ていた。次々と酒や料理が運ばれジョッキや皿が空いていった。

 

 それから河岸を変えよう、ということになり僕たちは深夜の街に繰り出したのである。

 JR博多駅はもう扉を閉ざしていて、冷えびえとした灯りがコンコースを照らしている。昔はここに寄るべなき人々がダンボールや新聞紙をまとって寝ていたこともあった。僕たちは、わらわらと陽気なゾンビのようにグリーンホテルの横を抜けて大博通りから一本入った道を歩いた。こんな時間に集団で移動するなど何年ぶりだろうか。12月にしては暖かい夜だった。月や街頭や看板やネオンがアスファルトを光らせている。アスファルトはなめくじの背中だ。ただし、その光だけは冬を主張している。

 

 午前二時。陽光の紫色があたりを染めるまでには、まだ時間がある。酔生夢死までもう少し。ウィスキーロードがたどり着く先はどこだい。