映画/ザ・ユナイテッド・ステイツ VS ビリー・ホリデイ(2021) | 心を湛(しずか)にゆるがせて

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2024/5/14観:DVD鑑賞

『The United States vs. Billie Holiday ─ 合衆国 対 ビリー・ホリデイ』

2021年 アメリカ映画 131分

原作・EP./ヨハン・ハリ「麻薬と人間 100年の物語」

監督・製作/リー・ダニエルズ

脚本/スーザン=ロリ・パークス

音楽/クリス・バワーズ

撮影/アンドリュー・ダン

【キャスト】

ビリー・ホリデイ(歌手)/アンドラ・デイ

ジミー・フレッチャー(捜査官)/トラヴァンテ・ローズ

アンスリンガー(麻薬捜査局長官)/ギャレット・ヘドランド

【あらすじ】1940年代、人種差別が色濃く残るアメリカで人気を博したアフリカ系女性シンガー、ビリー・ホリデイ。「私のステージでは白人と黒人を分けたくない」と考えるホリデイをよく思わないFBIは、彼女は国民を惑わす歌で黒人リンチを告発し、黒人の反乱を助長しているとしてホリデイのヒット曲『奇妙な果実』を歌わせない様に公演活動を妨害。私生活まで罠を仕組まれるも、ホリデイは力強い歌声でステージに立ち続けようとする…(MW.参照)

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5月13日NHKGにて放送『映像の世紀バタフライエフェクト・奇妙な果実 怒りと悲しみのバトン』を観て この映画を絶対に観なくては!とレンタル店にダッシュしたのでした。

おらが村でも劇場公開されるも非常に短い期間で行く時間を作れず涙を呑んだ映画です。

 

ビリー・ホリデイの名前も生涯も以前のドキュメント番組で観てざっとは知っており

有名な歌『奇妙な果実』も、歌詞が意味する背景も一応は知っていました。

ご存知の方も多いと思いますが、『Strange Fruit(奇妙な果実)』とは

白人のリンチによって殺害された黒人が木に吊るされた姿を意味します。

 

映画は、まだまだ黒人差別が激しくリンチも半ば大っぴらに行われていた時代、

ビリー・ホリデイが黒人ながら歌手として人気を博した頃から晩年まで

とにかく『奇妙な果実』を歌わせたくない米国当局がビリーを迫害するというもの。

会場には予め警官が待機し、ビリーが『奇妙な果実』を歌い出すと

ダーッと逮捕する為にステージになだれ込む。まるで何処かの社会主義国と同じ。

そんなビリー・ホリデイの舞台は白人達も大勢詰めかけてたので支持されていたのに。

 

ただ、残念な事にビリー・ホリデイもアーティストあるあるで麻薬常習者であり

そこが弱点と目を付けた麻薬捜査局が、黒人の捜査官に潜入させますが、

おとり捜査官のジミーはビリーを愛するようになり捜査局の方針に反抗します。

その辺は若干フィクションも織り込まれているではないかと感じましたが、

一応ジミーは実在の人物らしい。当時の黒人としては裕福な家庭に育ち教育を受け

正しい事を行いたいと捜査官に成ったのに捜査対象が黒人ばかりであり

白人上司の差別的な態度に不満を覚えてくようになったのでした。

この辺りのジミーの葛藤は見ていて実に辛いし、何とかビリーを立ち直らせて欲しい

と思ってしまいます。が!どこまでが事実だったのかなあ?

 

こういう映画でのおぞましい人種差別、犯罪行為は幾度も様々な作品で訴えられ

日本でも度々 話題になるものの、今でも昔よりはマシという程度だと痛感します。

現在よりもっと厳しい状況で闘わねばならなかったビリー・ホリデイの立場を思うと

安易な事は言えないけれど、やはり麻薬や飲酒に逃げないで欲しかった。

彼女を食い物にする男達(黒人のミュージシャンだったりギャングだったり)に

頼らないで生きて欲しかったと思うのですが、それこそ女性の立場も弱かった時代で

彼女が背負う重荷はノホホンと生きている現代の私などの想像を超えています。

若くして麻薬やアルコール依存の為に亡くなったのが本当に残念で悔しいです。

 

『奇妙な果実』という歌も、それを歌ったビリー・ホリデイの物語も

辛く悲しく見ていてやりきれない思いに捉われますが

これも知っておかねばならない物語だと思います。多くの方に観て欲しい映画です。

 

☆Billie Holiday(1915~1959)

アメリカ合衆国のジャス歌手。その歌声は永遠のもの!