映画/福田村事件(2023) | 心を湛(しずか)にゆるがせて

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2024/2/2観:小倉昭和館

『福田村事件(ふくだむらじけん)』  2023年 日本映画 137分

監督/森達也

脚本/佐伯俊道×井上淳一

企画・脚本/荒井晴彦

撮影/桑原正

音楽/鈴木慶一

【出演】井浦新、田中麗奈、永山瑛太、柄本明、ピエール瀧、水道橋博士、東出昌大

豊原功補、コムアイ 他

【あらすじ】「A」「FAKE」のドキュメンタリー監督・森達也による、関東大震災直後に起きた福田村事件を基にした群像劇。未曽有の大地震後、朝鮮人が襲ってくる等の流言飛語が飛び交い緊張が走る中、香川から福田村に来た行商団が朝鮮人と疑われ殺害される惨劇が起きる…。

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2022年8月11日の全焼から再建した小倉昭和館でほぼ3年ぶり映画を観ました。

 

先ず「福田村事件」とは「大正12年(1923年)9月6日、関東大震災の混乱及び流言飛語が生み出した社会不安の中で、香川県からの薬の行商団15名が千葉県福田村(現・野田市)三ツ堀で地元の福田村および田中村(現・柏市)其々の自警団に暴行、9名が殺害された事件(wiki参照)」。

 

事件に至るまで、軍国主義を高める同調圧力に追い詰められる村民たち、

日本統治下朝鮮での日本軍の行為を目撃した主人公夫妻(井浦新・田中麗奈)、

被差別部落出身者であったという行商の一団たち、

其々が当時の時勢に苦しむ様子がじわじわと描かれ、

それが一気に虐殺シーン勃発へと噴火する描写が凄い。

 

脚色された部分(主人公夫婦や、村民各自のエピソード)はあるものの、

100年前の空気、抑圧、差別と思いもせぬ当時の常識を再現。

行商団長(永山瑛太)がハンセン病者を騙すシーンも有りリアルです。

立場の弱い者は更に弱い者を苦しめる、人間の習性は今も昔も同じです。

 

感情的に扇動する者たち、良識を備えているけれど彼らを止める力が無い者たち、

どちらも悪いと思いましたが、自分があの騒動の中に身を置いた時「やめろ!」と

体を張れる自信はありません。せめて残酷な事実から目を逸らさないくらい。

本当にあった恐い話、生きた人間は怨霊より何百倍も恐いです。

それでもこういう事実を知っておくべきだと思い、鑑賞しました。