映画/デルス・ウザーラ(1975) | 心を湛(しずか)にゆるがせて

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2023(35)2023/4/25観:DVD鑑賞

Дерсу Узала ─ デルス・ウザーラ 1975年 ソビエト連邦映画 141分

原作/ウラジミール・アルセーニエフ

監督・脚本/黒澤明

脚本/ユーリー・ナギービン

製作/ニコライ・シゾフ×松江陽一

音楽/イサーク・シュワルツ

撮影/中井朝一×ユーリー・ガントマン 他

編集/リュドミラ・フェイギノヴァ

【キャスト】

アルセーニエフ(地理学者、探検家)/ユーリー・ソローミン

デルス・ウザーラ(猟師)/マキシム・ムンズク

アルセーニエワ夫人/スヴェトラーナ・ダニエルチェンカ

【あらすじ】1902年から数回にわたって地誌調査のためにシベリアを探検したウラジミール・アルセーニエフの「シベリアの密林を行く」と「デルス・ウザーラ」を基にしたソ連映画。

1902年、地誌調査の為にコサック兵6名を率いてウスリー地方にやってきたアルセーニエフは初めてデルスに出会う。ゴリド人の猟師デルスは天然痘で家族全てを亡くし天涯狐独で家を持たず密林の中で自然と共に暮らしている。隊の案内人となったデルスは自然界で培った知識と知恵で一行の危機を救う。一次調査を終えウラジオストク戻るアルセーニエフと別れ再びタイガ(森林)へとも出って行く。5年後の1907年、再度ウスリー地方に探検したアルセーニエフはデルスと再会。その頃ウスリーはフンフーズと呼ばれる匪賊が徘徊。デルスとアルセーニエフは被害に遭った現地の民を助けながら任務を遂行するが、実はデルスは老いの為に視力に問題を抱え百発百中だった射撃も難しくなる。アルセーニエフの勧めで彼のハバロフスクの自宅に身を寄せるも、都会の生活に馴染めないデルスは気欝にとりつかれ森林に戻ることを希望。アルセーニエフは最新式の銃を渡し一月後の再会を約束し送り出す。しかし程なくデルスの死の報せが届く…。

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黒澤作品『生きる』を探しにTタヤへ行って

長年観たかった映画の方を思わず借りてしまいました。

漫画家ヤマザキマリ氏が大絶賛で自身の息子に「デルス」と名付けたとか。

 

黒澤は当初、デルス役を三船敏郎でいこうと考えていたそうですが

トヴァ人の俳優マキシム・ムンズクに決まって本当に良かったと思います。

リアルな姿に近いものが三船では伝わらなかったことでしょう。

純朴で物欲が無く人を疑う事もしない人物像と風貌が見事に一致していました。

 

もの凄く人が良さそうで強いとは思えないルックス(こら!)なのに

射撃は百発百中、自然の驚異には無敵、このギャップ萌え感が

三船敏郎では全く表現できなかったと思います。

アルセーニエフへの「隊長(カピタン)」という呼びかけが

何だか可愛くて敏捷なぬいぐるみに見えました(讃えてます!)

 

そんな無敵と思えたデルスでも老いには勝てなかった。

だが、自然を相手に生きて来た猟師に都会暮らしは獣より脅威でした。

精神が疲弊してゆくのには耐えられなかったんですね。

 

親友のカピタンから貰った新式の銃が仇となり

それを狙った強盗に殺されたという酷い最期には愕然としました。

アルセーニエフにはどれだけ衝撃だったことか。

せめて名もなき猟師だった友の事を後世に残す為に書き記した…

そのように思えてなりません。

アルセーニエフ(1872~1930)はこの名作映画を知らず残念です。

 

これまで黒澤作品で一番好きな映画は『七人の侍』でしたが

本作が私のクロサワ・ベストムービーに決定しました♪

 

デルス・ウザーラ(1849~1908)