アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場(2015) | 心を湛(しずか)にゆるがせて

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2017(3)2017/1/20観  於・シネプレックス小倉

Eye in the Sky ─ 空の目

2015年  イギリス映画  102分
監督/ギャヴィン・フッド(『ツォツィ(2005)』)
脚本/ガイ・ヒバート
EP./クローディア・ブルームヒューバー 他
撮影/ザリス・ハンバーラウコス
編集/ミーガン・ギル
美術/ジョニー・ブリート
音楽/ポール・ヘプカー
衣装/ライ・フィリップ
【キャスト】
パウエル(英国軍大佐)/ヘレン・ミレン
ベンソン/アラン・リックマン
ワッツ/アーロン・ポール
ガーション/フィービー・フォックス
ノースマン(英国政治家)/モニカ・ドラン
ジャマ/バーカッド・アブディ
ウィレット(英国外相)/イアン・グレン
ウッデール(英国政治家)/ジェレミー・ノーサム
マザーソン(英国政治家)/リチャード・マケイブ
ウォルシュ(ワッツとガーションの上官)/ギャヴィン・フッド
アリア(パン売りの少女)/アイシャ・タコウ
アリアの母/ファイサ・ハッサン
アリアの父/アーマ^ン・ハッギオ
サジク軍曹/バブ・シーセイ
アル・ハディ(スーザン・ダンフォード/攻撃対象)/レックス・キング

イギリス、ロンドン。軍の諜報機関の将校キャサリン・パウエル大佐は、国防相のフランク・ベンソン中将と協力して、アメリカ軍の最新鋭のドローン偵察機を使い、英米合同テロリスト捕獲作戦を指揮している。上空6000メートルを飛んでいる空の目であるリーパー無人航空機が、ケニア・ナイロビの隠れ家に潜んでいるアル・シャバブの凶悪なテロリストたちをつきとめる。その映像が、イギリス、アメリカ、ケニアの司令官たちがいる会議室のスクリーンに映しだされるが、彼らが大規模な自爆テロを決行しようとしていることが発覚し、任務は殺害作戦へとエスカレートする。アメリカ、ネバダ州。米軍基地では、新人のドローン・パイロットのスティーブ・ワッツが、パウエル大佐からの指令を受け、強力なヘルファイアミサイルの発射準備に入る。だが、破壊準備に入ったその時、殺傷圏内にパン売りの幼い少女がいることがわかる。予期せぬ民間人の巻き添え被害の可能性が生じたため、軍人や政治家たちの間で議論が勃発し、少女の命の行方がたらい回しにされる。キャサリンは、少女を犠牲にしてでもテロリスト殺害を優先しようとするが――(公式サイトより)。

「世界一安全な戦場」という副題は付けなくてもいいように思えたが、反戦メッセージの意図だろうか。

それはさておき、観逃さずにはいられなかった作品ゆえ、少々無理をしての鑑賞だったが観て良かった。いや、観終わって爽快という訳ではない。戦争の傍観者である全ての人が「世界一安全な」場所で、好き勝手を述べているとつくづく考えた。

パソコン画像を見ながら、其々ベース、または会議室でテロリストへの攻撃司令を下す人々。軍人は任務を遂行することを重要視し、政治家は責任と支持率を気にする。今や YouTubeでテロリストの声明を万人が見られる時代、感情のままに起こった事を糾弾する一般市民も無数。故に、政治家の一人が「自爆テロが市場で何十万もの犠牲者を出したら我々の勝ち、パン売りの少女一人を犠牲にして作戦を成功させたらテロリストの勝ち」と言い放つ。素人でもこの辺の心情は分からなくもない。

人間の感情は実にいい加減だ。頑是ない少女を巻き添えにするのは耐えられない。あのパン売りが屈強なおっさんだったら?冗談ではなくそう思った。少女以外にも攻撃目標の家の付近には関係ない人々がいるのに?分かり易く可愛い少女をあそこに配した監督は人情に訴え、観客もこれには抵抗できない。「可哀想だよ!攻撃を止めなよ!」と言いたくなる。じゃあテロリストを見逃し自爆させていいのか?いい訳ない!見事な堂々巡りだ。

攻撃を決行させる最高司令官(リックマン)に対し、女性政治家が涙を流しながら「あなたは安全な場所にいて指示だけ」と非難する(何で女に言わせるかな!女が言いそうな事だとでも?)。これには素直に賛同し難い。将軍からの指令を受ける大佐(ヘレン・ミレン)、彼女が命令を下しミサイルを発射するドローン・パイロット(彼等が一番トラウマを抱えるだろう)。全員 戦場にはいない戦争。表現し難い恐怖だ。

考えが上手くまとまらない。年数をおき観直す機会と勇気があっても、きっちりとした意見は言えないかも知れない。それが正直な思いです。