沈黙 ─ サイレンス(2016) | 心を湛(しずか)にゆるがせて

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2017(4)2017/1/22観  於・シネプレックス小倉

Silence ─ 沈黙

2016年  アメリカ映画  159分
監督/マーティン・スコセッシ
(『ジョージ・ハリスン/リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールド』)
脚本/マーティン・スコセッシ×ジェイ・コックス
原作/遠藤周作
製作/ヴィットリオ・チェッキ・ゴーリ 他
撮影/ロドリゴ・プリエト
編集/セルマ・スクーンメイカー
音楽/キム・アレン・クルーゲ×キャスリン・クルーゲ
美術・衣装/ダンテ・フェレッティ
【キャスト】
ロドリゴ神父/アンドリュー・ガーフィールド
ガルペ神父/アダム・ドライバー
フェレイラ神父/リーアム・ニーソン
ヴァリャーノ神父/キアラン・ハインズ
キチジロー(五島の隠れ切支丹・吉次郎)/窪塚洋介
井上筑後守/イッセー尾形
通詞/浅野忠信
モキチ(トモギの隠れ切支丹)/塚本晋也
イチゾウ(同上、村のリーダー)/笈田ヨシ
モニカ(久保浦の春)/小松菜奈
ジュアン(久保浦の長吉)/加瀬亮
トモギの隠れ切支丹/PANTA松永拓野播田美保片桐はいり美知枝
五島の隠れ切支丹/三島ゆたか竹嶋康成
キチジローの家族/石坂友里佐藤怜洞口依子藤原季節累央
牢番/青木崇高
牢役人/AKIRA
僧侶/中村嘉葎雄

17世紀。江戸初期頃の日本では、幕府により厳しいキリシタン弾圧が行われていた。日本での布教活動に情熱を注いでいた高名な宣教師フェレイラが捕らえられ棄教したとの報に接した弟子ロドリゴとガルペは、日本人キチジローの手引きでマカオ経由で長崎に潜入。そこでは、想像を絶する光景が広がっていた。弾圧の目をかいくぐった隠れキリシタンたちの現状も目の当たりにする。幕府は一層取締りを強化、キチジローの裏切りに遭い、ロドリゴたちも捕らえられてしまう。頑なに信心を曲げないロドリゴに対し、長崎奉行は彼のために犠牲になる人々を突き付ける。信仰を貫くべきか、棄教し目の前の人々の命を守るべきか、追い詰められ自身の弱さを実感したロドリゴは選択を迫られる(MW.参考)。

原作にほぼ忠実な脚本だった。それもあってだろうか、長さを感じず最後まで作品の世界に没頭した。スコセッシが如何に原作に心酔しているかが伝わった。キャラクターのアレンジや小さな変更は有ったが、作品の世界を損なうものではない(原作の「じいさま(村のリーダー)」と「イチゾウ」をミックス等)。

原作に表現されたロドリゴ神父(後の岡田三右衛門)の行く末を、原作よりも肉付けし分かり易い解釈を加えたのは、スコセッシの思い入れ有り過ぎかも知れない。或いは、そうあって欲しいとか、ロドリゴ神父への労わりが働いた気がする。気持ちはとても分かるが、遠藤周作が書いたラスト(浅田次郎なども真似している手法!)が、読後感の深い感慨への演出効果大なので、映画では書き込み過ぎたなという印象が正直残る。但し、日本だけでなく外国でも上映される作品ゆえ明瞭な解釈が必要だとは思う。

また、これも世界配給なので仕方ないかなと思えたのは、クライマックスがタイトル通り静謐ながら重いシーンなのに、若干イモーショナル過多なシェイクスピア風になっちゃった。リーアム爺さんとガーフィールドの掛け合いは観応えあるんです、ホントに!原作通りのあのシーンを作ったら、きっと暗くて無駄な描写なさ過ぎて、リアクションで見る海外の観客には主人公の心の動きが読めないかも?(偏見でせうか?汗!)。

原作愛が深い故に、率直な細かい事を書いてしまったが、前述した通り原作の世界を全く壊していない。原作未読の方なら、先入観無く素晴らしい感動を得られると確信する。出来るだけ多くの方に映画館で観賞していただきたい!


※以下はライトにですがネタバレに繋がるので、知りたくない方スルーしてください。


















ロドリゴ神父が試練に打ち勝とうと繰り返しイメージするキリストの顔が、小説では映像が無いから最後のキチジローとの告解で「ああ!」と思える所なのだけど、映画はビジュアルで出てしまうので、どう見ても窪塚洋介の顔に見えてしまい、何だか示唆し過ぎてないか~?と思えてしまったのでした。