ココ・アヴァン・シャネル(2009) | 心を湛(しずか)にゆるがせて

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2009/9/23観  於・Tジョイリバーウォーク

Coco avant Chenel ─ シャネルになる前のココ

2009年  フランス映画  110分
監督/アンヌ・フォンティーヌ
脚本/アンヌetカミーユ・フォンティーヌ
原作/エドモンド・シャルル・ルー
製作/キャロル・スコット他
撮影/クリストフ・ボ-カルヌ
編集/リュック・バルニエ
美術/オリヴィエ・ラド
音楽/アレクサンドル・デスプラ
衣装/カトリーヌ・ルテリエ
【キャスト】
ガブリエル・シャネル(後のデザイナー)/オドレイ・トトゥ
バルザン(資産家の軍人、シャネルの愛人)/ブノワ・ポールヴールド
カペル(イギリスの実業家)/アレッサンドロ・ニヴォラ
アドリエンヌ(シャネルの姉)/マリー・ジラン
エミリエンヌ(舞台女優)/エマニュエル・ドゥヴォス

貧困の為 父に孤児院へ捨てられたガブリエルは、18歳の時からお針子とキャバレーの歌手として働く。その頃のレパートリー「トロカデロでココを見たのは誰?」という歌にちなんで「ココ」という愛称で呼ばれるようになる。軍人のバルザンと親しくなり彼の屋敷に押し掛けるが、来客の際は姿を見せるなと言われ、召使い達も当然ながら敬意を払わない惨めな待遇だった。ガブリエルは次第に自身の才覚で起業する事に興味を持ち始める・・・。

世界的なファッション・デザイナーとして君臨する前の、ココ・シャネルを描いた作品。シアター鑑賞したっきりだったのをネット配信で再観。

誕生が1883年なので自活の頃(18歳)は1901年、シャネルが20世紀初頭の服装なのは当たり前だが、不思議な感覚。斬新でユニセックスなファッションを追及する下地は、これらクラシカルなスタイル。(英国で言うと)ヴィクトリアンな服装好きです♪

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現在では広く知られたシャネルの生い立ちや独り立ちするまでの苦労話。それを卑下する感覚は希薄になったけれど、本人の生きた時代は恥であっただろう。本人が虚言で自身の幼児期を語る様子で感じ取れる。孤児院で育ったのも、生家が貧困なのも本人の責任ではないので辛い事だ。

のし上がる為に女の武器を使った事は非難に相当するとは言えないけれど、シャネルは生涯を通じてその時々の資産家や権力者の愛人だった。第二次大戦中にはナチスの将校だったり戦後は英国の公爵だったりと、あまりにその武器を多用し過ぎるのが好きじゃない。でも彼女の世代の女は、結局いつか誰かの正妻になるのが当たり前とされていたので、意外に彼女もその範疇の考えを持ち続けたのかな?相手が常に大物って所が凄いのだけど。

それはさておき、この映画は若い頃のシャネルのお話。屈辱に満ちた暮らしの中で、不機嫌で不愛想な若い娘の抵抗が健気に見える。演じるオドレイ・トトゥの魅力によるのものだろう。対する愛人男性の態度たるや憤怒を覚えるが、これも時代の感覚で致し方ない。女を敬うなど、それも愛人として囲っている女をレディの様に扱う男は、逆にかなりの変わり者だったろう。それでもやっぱり腹立つ!少なくとも人に取られそうになったら嫉妬するくらいの気持ちを持ってるのに、どうして大事にしない?ま、シャネルも男を利用する腹づもりなのでお互い様かしら?

ラスト近くでシンボルマークのシャネル・スーツを纏ったココがスポットライトを浴びるが、やはり何処か少しだけ不愛想で寂し気な表情が印象に残る。