・概念フレームワークと会計基準
概念フレームワークは、会計基準の基礎にある前提や概念を体系化したものであるから、その記述内容はおのずから抽象的にならざると得ず、個別基準の設定・改廃に際しては、概念フレームワークのないように関する解釈が必要になる。そのため、概念フレームワークだけでは、個別の会計基準の具体的な内容を直接定めることはできない。
また、この討議資料の第1章で述べる財務報告の目的などは、当委員会の中心的な役割との関係上、原則として証券市場におけるディスクロージャー制度を念頭において記述されたものである点にも留意しなければならない。ここでは公開企業を中心とする証券市場への情報開示が前提とされている。ただし、証券市場への情報開示を前提とする概念フレームワークの下で開発された会計基準は、財務諸表の様々な利用者に取っても、有用でありうる。

(討議資料前文より)

概念フレームワークは具体的な会計基準ではない。会計基準を設定する際の基準、会計基準よりも上位の概念が概念フレームワークである。こうした基礎的前提や概念を先に規定したうえで、これに矛盾のないように会計基準を設定する方法を演繹法(演繹的アプローチ)と呼ぶ。これに対して、会計実務を観察し、その中からより一層一般的、共通的なものを抽出することにより会計基準を設定する方法を帰納的アプローチという。これらはトップダウンかボトムダウンの差と言い換えられるかもしれない。現行の、上位に位置する概念フレームワークをまず規定して、これに基づく会計基準の設定を行う方法。これは、概念フレームワーク単体では個別具体的な会計基準の設定はできないということでもある。概念フレームワーク自体が直接的に会計基準を設定するのではなく、個別に設定される会計基準が概念フレームワークと背馳のないように作られる。この順逆はまず理解しておきたい。
・概念フレームワークの役割

討議資料の前文に以下のような記述がある。

概念フレームワークは、企業会計(特に財務会計)の基礎にある前提や概念を体系化したものである。それは、会計基準の概念的な基礎を提供するものであり、それによって、会計基準に対する理解が深まり、その解釈についての予見可能性も高まるであろう。また、概念フレームワークは、財務諸表の利用者に資するものであり、利用者が会計基準を解釈する際に無用のコストが生じることを避けるという効果も有するであろう。
概念フレームワークは、将来の基準開発に指針を与える役割も有する為、既存の基礎的な前提や概念を要約するだけでなく、吟味と再検討を加えた結果が反映されている。したがって、概念フレームワークの内容には、現行の会計基準の一部を説明できないものが含まれていたり、いまだ基準化されていないものが含まれていたりする、しかし、概念フレームワークは個別具体的な会計基準の新設・改廃をただしに提案するものではない。
その役割は、あくまでも基本的な指針を提示することにある。


どういった目的で、どういった役割をもって財務会計が行われているのか。これについての最も根幹をなす部分の情報を提供しているのが概念フレームワークである。というように読める。これから先に新たな基準を設定するときに、もしくは既にある基準を改めるときに、概念フレームワークで体系化された指針が参考になる。
また、経済の実態が変化すれば、それを数値化した財務諸表の作成方法、つまり会計基準も変化せざるをえない。新たな分野で新たに開発された基準が、既存の基準と衝突しないよう、会計の基礎概念が概念フレームワークで体系化されている。

枕の部分『概念フレームワークは、企業会計の基礎にある前提や概念を体系化した』とある。これは、概念フレームワークが作られた時点で存在していた会計基準に共通して伏流するような会計の基礎概念を帰納的に抽出してまとめたものである、ということである(概念フレームワークに基づいて作成される会計基準は演繹的なアプローチに基づく)。概念フレームワークが公表された以降に開発される会計基準は、この基礎にある前提や概念に矛盾のないように作られる。ただし、概念フレームワークが作られた当時の会計基準が全て概念フレームワークの内容に背馳しないというわけではない。こうした内容を持つ会計基準に対して、概念フレームワークはこれをすぐさま、強制的に(憲法に反する法律がそうさせられるように)改正させられることはない。しかし、概念フレームワークを読んでいくことで、現行の会計基準の中で概念フレームワークと整合しないものは判別できる(らしい)。つまり、将来的に改訂が行われる会計基準についてある程度の予測が立つとも言える=『会計基準に対する理解が深まり、その解釈についての予見可能性も高まるであろう』。

・討議資料とは
日本における概念フレームワークは、諸外国のように正式に公表される概念フレームワークではなく、あくまでも「討議資料」に留められている。
現在はIASB(国際会計基準審議会)とFASB(米国財務会計基準審議会)が共通の概念フレームワークの策定に向けた共同作業が進められている。このタイミングで日本の概念フレームワークを正式に公表することは、日本の会計基準が独自路線を貫くように諸外国には映りかねない。そうではなく、日本は国際的な議論への参加、IASBやFASBの共通の概念フレームワーク策定に向けた共同プロジェクトへの積極的な参加を図ろうとしている。
仕切清算書とは受託者が作成し、委託者に送付する委託販売品についての報告書のようなもの。委託者の収益認識が仕切清算書到達基準であれば、これの到着をもって売買収益の記帳処理を行う。

仕切清算書の内容は、委託販売品の売上高、運賃、保管料、販売手数料の他に、受託者が当該積送品で荷為替を取り組んでいる場合、仕切清算書には「荷為替引受高」も記載される。運賃とは積送の際の運賃を受託者が負担した場合のもの、あるいは受託者が積送品を販売した際のもの。保管料はそのまま積送品の保管に係るコスト。販売手数料は受託者側の取り分。これらは受託者が委託者に代わって立替払いした費用であり『受託者立替諸掛』と呼ばれる。受託者立替諸掛は総じて委託者の負担すべき費用であるため、受託者は売上高から受託者立替諸掛を差し引いた金額を委託者に支払うことになる。また、受託者が積送品にかかる荷為替を引き受けているのであれば、これも控除した純額が委託者に支払われる。

例として、受託者が積送品を10,000で売上げ、運賃500、保管料500、販売手数料2000を負担し、これについての荷為替を5000引き受けている場合。

~仕切清算書~

売上高:10,000

支払運賃:500
保管料:500
販売手数料:2,000

合計3,000

荷為替引受高:5,000

手取高:2,000

このようになる。最終的に受託者が委託者に支払う金額が「手取高」の2,000であり、受託者の純粋な取り分(というか収益)は販売手数料の2,000となる。

さて、ここまで受託者視点から見てきたが、委託販売で重要なのは委託者側。仕切清算書が到達した受託者の認識する収益は、上の例で言えば「売上高10,000」だろうか。もしくは「手取高2,000」だろうか。結論から言えばこれらは選択適用である。

?受託者販売高基準(総額法)
委託者側では上の例で言えば10,000を収益として認識する。受託者立替諸掛費は販売費(営業費勘定)で処理する。

?委託者手取高基準(純額法)
委託者側では上の例で言えば2,000を収益として認識する。

ちなみに委託受託関係での販売を行っているのは、取次と書店や、アパレル業者とリサイクルショップなどの組み合わせがある。
次記事では積送品の記帳方法について見ていく。これも未着品と同じく、分記法、総記法、期末一括法、都度法などにより記帳される。