概念フレームワークは前文と本文からなる。本文の構成は次のようになっている。
1章:財務報告の目的
2章:会計情報の質的特性
3章:財務諸表の構成要素
4章:財務諸表における認識と測定

ここで重要なのは1章の財務報告の目的。概念フレームワークでは財務報告の目的を投資家への情報提供としている。2章、3章、4章は「財務報告の目的」を達成する為について書かれた内容となっている。

ということで今回から見ていくのは4章の財務諸表における認識と測定について。いつ認識を行い、いつ測定を行うのが投資家への情報提供といった観点から最も有用なのかという内容。何を認識し、何を測定するのかと言えば、3章の「財務諸表の構成要素」である。財務諸表の構成要素とは、投資のポジションに関連する資産、負債、純資産、株主資本と、投資の成果に関連する包括利益、純利益、収益、費用の8つを指す。
これらを認識し測定するとは、タイミングと計上額をどのようにするか、といった問題である。

・財務諸表における認識の意義:構成要素を財務諸表の本体に計上すること
構成要素、即ち資産や負債などを本体(注記ではないと言う意味)、つまりBSやPLに計上することを「認識」という。

・財務諸表における測定の意義:財務諸表に計上される諸項目に貨幣額を割り当てること


ということで、順番としてはまず認識=FSに計上することとなった上で、測定=貨幣額を幾らとするかの問題になる。したがってまずは認識について。

FSにおいて構成要素を認識する為には、当然だがその対象が構成要素の定義を満たすことが求められる。例えば資産として認識する為には、対象が資産という構成要素の定義(=過去の取引または事象の結果として、報告主体が支配している経済的資源)を満たしていなければならない。これは言うならば前提であって、「認識」の為にはこれをクリアした上で認識に関する制約条件をさらにクリアする必要がある。

ここまで、「認識」の為には
?構成要素の定義を満たす
?認識に関する制約条件をクリアする
必要がある。ということで次回、「認識に関する制約条件」についてみていく。

(※ひとつだけ例外として、『構成要素の定義を満たすものの、本文1章の財務報告の目的にそぐわないものとして計上が認められない資産=自己創設のれん』がある)
デリバティブやヘッジについて完全に忘却しているので一から復習。

デリバティブは「派生金融商品」または「派生現物商品」とも呼ばれる。どこから派生したのかと言えば原資産、すなわち株式・金利・為替などからの派生である。


デリバティブを類別すると?先物取引(先渡取引)、?オプション取引、?スワップ取引に分けられる。ひとつずつ追っていこう。

・先物取引
まずは買い建てについて見ていく。
1年後に小麦100kgを10,000円で買う契約を結んだとしよう(相場は知らないので金額は適当です)。天候等の影響で小麦の収穫量は変動するため需給バランスも変動し、結果として小麦の価格も常に変動している。あるいは小麦を生産している国の政策にも影響されるかもしれない。
こうした将来的な価格変動のリスクを契約によって固定する。つまりこの契約は1年後に小麦100kgが15,000円や20,000円になる可能性を感じ取ったゆえの契約である。仮に将来的に高い確率で相場が急落すると買い手が予測したならばこうした契約は結ばないだろう。裏を返せば、売り手は1年後の小麦100kgが10,000円を下ると考えたからこそ契約を結んでいるはずである。先物取引はこうした1対1のある種ギャンブルのような要素がある。ただしこのような相対取引は先渡取引と呼ばれ、そうではなく市場を介した取引は先物取引と呼ばれる。

さて、先物に限らずオプションやスワップなどデリバティブ全般に渡る前提として、差金決済(純額決済)の存在がある。上の例で言えば、契約に基づき10,000円で購入した小麦100kgはただちに売却されるという前提である。この小麦を原料として自社で食料品に加工するような場合は単純な前払金や仕入の会計処理であるからだ(先物は契約時に一定の証拠金などが必要となる)。この場合扱っている商品は小麦だが、実質的に買い手が小麦を必要としているわけではない。これが「派生商品」、いわゆるデリバティブと呼ばれるゆえんである(この場合は派生現物商品)。

このように、買い手は約定の金額でもって小麦を購入するものの、実際はその権利のみであり現物を手にすることはない。さらに決済時点の相場でもって売却されることになる。契約から1年後に10,000円で購入した小麦100kgは、購入時点の相場でもって決済されるのである。相場が8,000円ならば10,000円で購入した小麦を8,000円で売らなければならないし、相場が13,000円ならば10,000円で購入した小麦を13,000円で売ることができる(というか必ず売る仕組み)。こうしてみると、決済の時点で小麦100kgは投資のリスクから解放されていることが分かる。つまり損益計上を行うことになる。

さらにもうひとつの損益計上のタイミングが決算日である。これは約定から限月までが決算日をまたぐようなケース。限月とは最終日、先物を決算しなければならないと定められた期限のことである。上では「1年後」と予めある特定の1日を決済日としていたが、実際は債権先物などでは3,6,9,12月が限月として設定されている。この最終日までに先物を(買い建てている場合は)売らなければならないといったシステムである。さてこのような状況は売買目的有価証券と同一と言える。すなわち、売却の想定された商品が、売却にかかる制約もなく、単一の市場で、(最終日までであれば)いかなるタイミングでも売却できる状態である。これは相場の変動が投資の結果であり、常に相場でもって売買を繰り返していると捉えることができる。そうであるならば、やはりこの先物についても決算日での損益計上は必須となる。
派生金融(現物)商品とも呼ばれるデリバティブ取引には先物、オプション、スワップなどの種類がある。前回は先物取引を決済した場合、あるいは先物を抱えたまま決算を迎えた場合に「損益計上」することについて見た。今回は具体的な数字や仕訳について見る。


・当社はH22年3月1日に債券先物(額面10000、限月H23年6月30日)を額面100につき112で買い建て、委託証拠金800を支払った。

まず「債券」とは社債、国債、地方債などを指す。
「限月」とは満期日だが、この日以前にマーケットで売買することもできる(というか先物取引なので満期償還などの話ではない)。
「買い建て」とは「買予約」のこと。当社は限月までの期間内に、上の債券を100×112で買うことができる契約を交わしたということだ。もちろん買った瞬間の相場でもって反対決済される。つまり相場が112を上回っていれば利益が、下回っていれば損失が計上される。
最後に「委託証拠金」。これ自体は特に計算の必要などもなく、先物取引を契約した段階で証券会社に支払われる保険金のようなもの。これは一連の取引が終了した段階で全額返還される。
とりあえずは買い建ての予約をした時点で減少した現金預金についての仕訳。

(借)先物取引証拠金 800 (貸)現金預金 800

のちに800を受け取る権利なので資産として見れば問題ないと思われる。


・決算日における上の債券先物価格は額面100につき109であった。債券先物の評価差額は切放方式により処理する。

繰り返すが先物では「決算時」と「決済時」に損益が計上される(というか日々投資のリスクから解放されていると捉える)。ここでは相場が109なので、仮に決済を行うならば100×112=11200で購入したものを直ちに100×109=10900で売却することを意味する。

(借)債券先物損益 300 (貸)債券先物 300

損益いずれの場合でも相手勘定として(資産または負債として)債券先物が計上される。また評価損益は切放方式なので、翌期首に戻しいれることはしない。

・H22年5月31日に反対売買による差金決済を行い、委託証拠金とともに受け取った。この日の債券先物価格は額面100につき107であった。

文中に「受け取った」とあるが損失である。この差金決済は言い換えれば11200で10700を買ったようなものなので500の損失が計上される。だたしこの損失のうちの300については前期末に計上済みであるため、決済時に計上される損失は残額の200となる。

(借)債券先物損益 200、 債券先物 300、 現金預金 300 (貸)委託証拠金 800

※訂正
委託証拠金の返還は先物とは別個の取引なので、正しい仕訳は以下の2本に分かれる。

(借)現金預金 800 (貸)委託証拠金 800
(借)債券先物損益 200 債券先物 300 (貸) 現金預金 500