横浜市の学力・学習状況調査の結果が返却されたと、多くの生徒が結果を持ってきて見せてくれました。
かなりな数の子どもたちが「活用」部分での正答率が低いですね。
最近のテストの傾向ですが、国語などでも図表を用いた問題の出題が多く、まずは問題や資料を整理する力が求められています。
国語に関して言えば、従来は、いわゆる「読解問題」が中心で、漢字や文法(ことばのきまり)など以外は、ほとんどが長めの文章を読んでその内容に関する問題を解くというのが定番でした。
2000年あたりからOECD-PISAが実施され、平成19年からは全国でも学力・学習状況調査が行われています。
学力低下問題などもずいぶんと前から指摘されていますから、細かい調査は必要なのでしょう。
ただ、やはりテストからみには敏感に反応してしまいます。
以前から僕は勉強が「テストのための学習」になりすぎていないか、という問題意識を持っていて、そういった趣旨の発信を続けています。
大学院でも同テーマを中心に研究をしていたので、テストについてはいろいろと思うところがあるのです。
上にあげたOECD-PISAなどは国際的な学力調査で、このテストが注目されたのは2003年。
日本の成績、特に「読解力(正確にはReading-Literacy)」の順位が低下したとき。
「PISAショック」などといって社会的なニュースになりました。
それ以降は結果が新聞の一面をかざるほどにメジャーなニューストピックにもなっています。
その影響も受ける形で全国学力・学習状況調査が復活しました。
最近では、そうした新しい流れのテストが意識され、教室の中でも「活用」や「活動」などが重視される傾向にあります。
従来の知識暗記型の学習ではこれからの時代を生きる力としては不十分だという理由でしょう。
それ自体は何の異論もないのですが、一方でテストがあり過ぎはしないか、という印象を持っています。
もちろん学習状況を把握するにはこまめにテストをせざるを得ません。
しかし、そのテストも、単に成績を付けるためとか、テストがあるから勉強しろ、という扱われ方になってしまっては、いったい何のための勉強なのか、何のためのテストなのか、本来の目的がわからなくなってしまいます。
さらに、中学・高校の定期テストも同じですが、テストを実施したあとの指導者側の在り方は大いに問題があるように感じます。
定期テストだけでなく、夏休みの宿題とか課題提出についても、本当に意義のあるものになっているのか大いに疑問であります。
分かりやすい例でいえば、ノート提出。
近年、学習評価の仕方が変わり、いわゆる「関心・意欲・態度」の部分が重視されてきています。
その観点別評価の基準として、提出物やノート点などがあてられています。
それ自体はまぁ良いとしても、そのやり方ですよね。
どんなノートが良いのか、その子にとってどう使うのと学習効果があがるのか、そのあたりの本質的なことはさておき、形式的に、単に「見栄えが良い」とか、色が使われているとか、そんなレベルで評価がされているのだとしたら(現にそんな印象の先生もいます)、それって本当に意味があることなのでしょうか?
そうした肝心な指導とか、成長やレベルアップへの気付きを与えることなく、単に形式的にテストや提出をしていて、いったいどんな意味があるのでしょうか。
いやいや、それならそもそも先生の仕事って何なのでしょうか。
今回の学力調査も、もちろん生徒本人に対して「これからの学習に活かしましょう」ってことなんだろうけど、同時に指導者側に対しても、「これからの指導に活かしましょう」ってことであるはずです。
多くの場合、テストの結果は生徒が努力をしなかったと、本人の責任にされておわります。
もちろん、本人が努力すべきことです。
ただ、本人が間違った方向に努力していたり、先生の指導の在り方で正しく学習が進んでいなかったという場合は、どうなるのでしょうか。
それでも良くなかった結果はすべて「本人の努力が足りなかったせい」にしてしまって良いのでしょうか。
教育評価という観点で考えれば、テストは生徒だけでなく教員側の反省材料とすべきものです。
どうも日本の学校教育現場では、その点が軽く扱われている印象を受けてしまいます。
頑張っている先生、テスト結果をきちんと次回の授業に活かしている先生には、ごめんなさい。
でも、僕のところに来る生徒は、みんな言います。
「テストが終わったらその学習は終わり」としているのは、生徒だけではなく、先生も同じだと。
年間カリキュラムの問題や学校行事などの問題もありますから、そうそう一つのことに時間を費やせないという現実も分かります。
それなら、単に儀式化してしまっているテストはこの際やらないくらいの英断を求めます。
テストを受ける時間を学習に、生徒それぞれの課題・弱点克服の時間に使いましょうよ。
ま、それがおいそれとできないってことも分かるので、ちょっとむなしいですが… 苦笑
