平成23年7月28日、厚生労働省より「生活衛生関係営業の振興に関する検討会第3次報告書」が公表された。
これは、全国の理美容師64万人のために、行政、学識者、業界代表者が検討会を開き、まとめたものである。
私見であるが、白書でもあるとも言えるこの第3次報告書は、匠の道を歩む64万人の「師」の尊厳や畏敬等の最も重要な「真実」を無視した、「師」の側面でしかない合理的価値や、表面的な時代の流れへの対処に留まらざるを得ないものであると捉えることしかできない。
物事の論理構造の在り方は、必ず、概念をかざし、根拠法を前提として、流れていく時間の中で原因と結果の追求をしていくものである。
憲法であれ、法律であれ、「第一条」は目的という根拠を開示するものである。「理容師法」「美容師法」の第一条項では、我々は理容師、美容師という「師」を頂きながら、社会にあって「頭髪を刈り込む、顔を剃る」「結髪と化粧」という作業の範囲を規定されているだけで、人権の確立ともいう努力目標、ふんばりどころとも言える「的」、人格や資質の向上を記されていない。
私たちは人間であり、職業を通じた人間形成を最優先とし、職業による利益や文化は、その次に大切なこととなる。16生活衛生業種及び、我々理容師、美容師の人権の確立を法律上で保護するために、私は、各法律の第一条に「資質の向上」という文言を挿入されることを強く望んでいる。
検討会では様々な論議がされているが、それは繁栄についてであり、繁栄をバックアップする組織の構造の大切さを言っているだけである。
私は、組織とは本来、自然界の摂理を踏まえた、ナチュラルな、納得のいくかたちを模索していくものだと考えており、自発的、貢献的な性格を中心としたボランタリーチェーン化(ボランタリーチェーンとは自己啓発も含むのである)がそのかたちであると捉えている。しかし、検討会では、組織とは同業者を束ねて、行政の方針にしたがう連絡機関であると捉えている感があった。そこでは人間としての資質の向上は問われない。したがって、今日の業界の志向は、社会の一般的な志向を超えて、普遍的な真実の志向を持つことを目指さない限り、道理として組織員は減少するのみである。
1966年より活動を始めている私共、SPC JAPANは、創設時より私の「イズム(主義)」とも言える習慣を常としてきた。「匠」になるための投資はしっかりとしてきた。人財を育成する立場になり、教育とはエデュケーション(本質を引き出す)である事を知悉している私は、人の持つ本質を引き出させて頂く事を最重要とするので、教育による代価を必要としない。ボランタリー意識を今日も随所で発揮している。
自己啓発を希求し、平凡人から非凡な人物へ向かう道筋は、「学習者」から「学究者」イズムへと変わる意識の改革であると言える。古い習慣にこだわり壁が破れないところから脱皮し、さらに意識が昇華すると、こだわることがなくなり、意識の幅が広くなるのである。やがて意識の覚醒状態も加味され、物事の法則性や公式化の発想、発言が溢れ出す歓喜を呼ぶのである。
ボランタリー意識は非常に心地よい。人格向上を希求しながら、繁栄が伴う。組織に参加することで、自発的に社会貢献的な多店舗繁栄を成し、人財育成の成功が産業の活性化を促すのである。
