日本を元気にする会。
解党したみんなの党の議員さんが中心に起こした、比較的新しい党。
誠実な面と、ふざけた面が混在し、評価が難しいところ。
特徴としては、直接民主主義の一部導入、参議院改革(党議拘束無し)をあげています。
しかし問題も散見されるので、率直な感想を言えば、さほど遠くないうちに発展的解党が好ましい勢力だと思います。
この政党の根本的な問題としては、民意を掴む訴求力が無い事。(汗)
身も蓋も無い言い様ですが、将来性が感じられません。
その理由は様々ですが…まぁ 外から見て分かり難いのが一番かな。
興味の無い人を引っかけ、党員を増やすまでの導線が確立してない印象。
あとは、よく言われるけど直接民主主義がポピュリズムであるとの批判。
元気会なりに、そうならない配慮はあっただろうと思います。
しかし、わりと最悪な形で、批判の通りポピュリズム政党だったと言わざるを得ない事例がありました。
しかも衆愚に振り回されたのでなく、自ら煽ったんだよなぁ。(*´Д`)
安保法制絡み。
元気会主催のニコ生放送。
(ブロゴス記事)
http://blogos.com/article/121330/
(ニコ生・TSで見れるはず)
http://live.nicovideo.jp/watch/lv226740350
・宮家邦彦(法案賛成派) キャノングローバル研究所、元外交官
・柳澤協二(法案反対派) 元防衛省防衛研究所長、元内閣官房副長官
・松田公太(コーディネーター) 日本を元気にする会 代表
・山田太郎(討論国会議員) 日本を元気にする会 政調会長
・井上義行(討論国会議員) 日本を元気にする会 国会対策委員長
この面子で討論。
宮家氏と柳澤氏が、それぞれのエキスパート。
来場者2万人越えで、安倍総理の放送が1万弱、維新の放送が1万7000なので、数で言えば成功だったかもしれません。
何が問題だったか端的に言えば、違憲法案への誘導になってたこと。
番組では、あえて安全保障を中心に議論をして、合憲違憲論は両論を紹介するに留める程度。
法案の必要性があるか無いか、視聴者に中身を判断してもらおうとのコンセプトだったようです。
その狙いは分かるのだけど、アンケートが雑すぎて、結果として変な印象操作が起こってしまった。
最初と最後にアンケートを取り、議論を聴いた後は賛成が増えた構図。
賛成・反対の2択で、手続き論は問うてない。
(「改憲したら賛成」の選択肢が無い)
つまり、安全保障に有効であれば違憲でも通してしまえと誘導してた形になります。
ある意味、最悪のポピュリズム。
国政政党がそれを煽ってる時点で自民党よりも酷い生放送でした。
自民党は、合憲との立場ですからね。
そうじゃない違憲だとの評価は多く、私もその立場なのだけど、いちおう自民党は合憲と言い張ってる。
元気会の放送が酷かったのは、賛成派の宮家氏が 「米国では裁判所が同性婚を合憲と認めた」 「日本では憲法で明記されており違憲」 と、憲法に明記されたことは優先と認めているのに、集団的自衛権を問うてない砂川裁判を持ち出し安保を合憲と説明。
しかし先の宮家氏自身の言を当て嵌めれば、9条が優先し違憲となる。
ここを誰も突っ込まなかった…。
討論番組でありがちな、「堂々とした態度で言えば論理矛盾があっても、何故か勝ったような形になる」 の見本のような光景でした。
宮家氏自身の論理を当てれば 「違憲」 だったのだから。
「違憲でも国防に必要なら通してOK」 と印象付ける番組になっていたのは、残念としか言い様がありません。
安全保障の必要性が認められた場合、手続き論として改憲が必要となるなら、分かります。
というか、改憲論にならないとおかしい。
その文脈上で、音喜多都議のブログを見ると、輪をかけて酷い。
安保法制「強行採決」の中で、
ぶっちゃけ政治家たちが思っていること
http://otokitashun.com/blog/daily/8039/
さすがに、ツイッターで文句言った。
「若者の政治参加」 「直接民主制」 を標榜する政党の議員が、書く文章としても変。
彼の立場が明確でないことも突っ込みました。
すると次の日に、彼はデモを見に行っておりました。
デモ「だけ」では変わらない。
社会を変えたいなら、政治家になりませんか?
http://otokitashun.com/blog/daily/8050/
実は左派がわりと理詰めの面があり、国会等の議論を踏まえればレッテル貼りをしてるのは右派という側面もあります。
だからデモに対する彼の見方も、そもそもおかしかったりする。
そこは置くとして、その他いろいろあるのだけど全部は書けないので割愛するとして、たぶん一番重要な点は
投票で市民が政治家に任せるのは、憲法の範囲内であって(憲法は権力を縛るもの)、政治家が違憲行為を行うことが前提ではありません。
今回の安保は、そこで約束破りをしているわけです。
安保の必要性があって9条が邪魔なら、手続きを踏んで改憲しないとけない。
従って、音喜多氏の 選挙>>>デモ も、一般論としては正しくても、今回は特殊なので根本的にズレてる。
音喜多氏が「安保は合憲」と立場を明確にしているのなら、まぁ それなりに分かるのだけどね…。
さらに言えば、デモに呼応してる政党・議員もいるわけで、一般参加者がその政党に投票する率が高くなるとすれば、すでに(音喜多氏が言う意味での)政治参加してるも同然です。
例えば、維新あたりの考えの人でも 「立憲主義を守る」 という一点なら、デモやってる人達と合意はできるわけです。(戦争法案反対とか、9条守れでは合わなくても)
なので潜在的には、最大公約数的な合意ラインを確認して、そこで一緒に動くことはできます。
それをしない政治家が、「政治の世界に来い」は…ありえない。
結局、音喜多氏は一番大切なこと(違憲合憲)は見解を明確にせず 「地方議員だからノータッチ」 との立場を示しました。
たしかに国政と地方の役割分担は一理あるし、好きにすればいい。
デモの現場まで見に行って、彼なりに誠実な文章を書いていますから、「自分は民意に敏感」 と示したことにはなるのでしょう。
ただ、このような政治家・政党に何かを託せるかと聞かれれば、私は NO です。
彼の立場が明確でないので、この問題で彼の考えと何が合って、何が合わないか、さっぱり分かりません。
支持しようがないどころか、信頼できない。
(逆に、単純に安保反対派の山田太郎氏に対しては、改憲派の私と意見は違っても、立場を示した点で信頼感があります)
個人的には、維新の党が一番納得できます。
国防強化は疎かにせず、まずは合憲の範囲で取り組み、改憲に進むと明示。
その前提があるから、党として応援できる土台がある。
一方で元気会には党議拘束が無い。
そこは良い面でもあるが、負の面もある。
党の方針が無いので、余計に個々の立場が明確でないと、掴みどころがありません。