文藝春秋8月号 橋下徹、三浦瑠麗、古市憲寿、斉藤環、永田鉄山、恐竜など | ふぇりっくす日記

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先日発売された文藝春秋8月号を読みました。

事前に目当ての記事は特になく、読んでて気になった所の感想です。

 

 

目次は以下のサイトに。

【文藝春秋 目次】<徹底討論>年金崩壊すべての疑問に答える/八千草薫がん闘病手記/家族という病 橋下 徹 佐藤 優 他

https://bunshun.jp/articles/-/12688

 

サイトから一部抜粋して、7人が寄稿している特集に注目。

 

  ◎スクールバス殺傷、元農水次官息子刺殺……
 「家族という病」を治す七人の提言>

  僕は元農水次官を責められない 橋下 徹

  メディアや世論にも病理がある 佐藤 優

  ひきこもりは「犯罪者予備軍」ではない 古市憲寿

  「リベラル社会」が男たちを追い詰める 橘玲

  「一人で死んでくれ」は被害者の心の叫びだ 三浦瑠麗

  ひきこもりの「家庭内暴力」は止められる 斎藤 環

  我が子を「ゲーム依存」にしないために 樋口 進

 

まずは、ここの感想を書きます。

 

最初にパラパラと眺めた(読んでるわけでない)時の印象として、「なんで橋下徹氏と佐藤優氏が、古市憲寿くんと三浦瑠麗さんの前座になってるんだよw」などと勝手にひとり苦笑していたのですが。

 

7人分きっちり読んだら、ほんとに「前座」というか、出来のよくない記事から並べてあるんですよね。

 

 

ゲーム依存の話は、すごく重要

 

良かった記事から紹介しておくと。

 

斉藤環さんと樋口進さんは甲乙つけ難いというか、それぞれの専門家としての見識を思う存分ふるっておられる。

ページ数も多いし、内容を鑑みても間違いなくこの特集の目玉です。

 

特に樋口さんのゲーム依存に関する研究は、最近ようやく注目されるようになっているので重要。

 

私のこのブログは元々ゲームブログです。

最近はそれほどやってないけど、依存症全開の時にオンラインゲームの記事を書いてた身として言わせてもらえば、樋口さんの専門家としての見解にはだいたい同意します。

 

細かいことは樋口さんの記事に詳しいので省きますが、

「通常の人が余暇の時間にゲームを楽しむ」 と 「ゲームに依存して生活が壊れる」 の違いを分けて考えることが肝要ですね。

 

川崎の事件の時にツイッターで「ゲームと犯罪は関係ないじゃん」という見解を開陳してた人(自民党で立候補する山田太郎氏の周辺や、立憲民主で立候補する亀石倫子氏の周辺、弁護士アカウントも含む)に対して私が凄く違和感を抱いたのは、犯人の数少ない特徴に家庭用ゲーム機と携帯用ゲーム機があり、スマホやPCなどの通信機器がないのに「無関係」と言っていたこと。

 

普通にゲーム依存症だろ、と。

 

(本も数冊しか出てきてないし、テレビとゲーム以外に何やって過ごしてたのだと…)

 

元農水事務次官の事件が起こる前から、私はツイッターで山田太郎氏たちを批判していました。

さすがに元事務次官の件があってから少しすると、新聞各紙もゲームとの関連付けを無視できなくなっていったようですが。

注意深く観察していると、報道がネットに配慮してゲームとの関連付けを控えていたんですよね。

 

繰り返しますが、普通にゲーム依存症でしょうよ。(2件とも)

 

ゲーム依存が先でひきこもりになったのか、ひきこもりが先でゲーム依存になったのかは、あまり重要ではありません。

「ゲームに現実逃避してひきこもりが長期化した」

これが鉄板で、大切なことは「ゲームと関係ない」と関連付けをやめることではなくて、偏見を助長しないこと。

 

(ゲーム内容そのものが暴力性を助長する、とかの偏見を排する意味では山田氏たちの主張も一理あります。

ハリウッド映画等、すべて考慮しないと特定の分野の狙い撃ち、オタク差別になりますしね。)

 

そういうバランス感覚を持ちながら、樋口進さんの研究や提言に耳を傾けることが大切だ・・・とういことになります。

 

特に自民党で立候補する山田太郎氏のように「漫画・ゲーム・アニメ」の文化を守ろうと訴えてる人(&その界隈の支持者)は、依存性から人を守るという観点が抜けてはダメでしょう。ゲームさえ擁護すれば人は守らなくて良いとなれば本末転倒です。

 

 

今までツイッターの論調を見て懸念してましたが、今回文藝春秋が良い記事を掲載してくれて幾分安堵しました。

社会的に大切なのは、このような議論です。

 

 

橋下徹氏の問題

 

古市憲寿氏や佐藤優氏が、いかにも優等生な記事を書いてたのに比べると、橋下徹氏の論点は目を引くものだとは思いました。

 

もう一度、それぞれの記事タイトルを確認すると。

 

 僕は元農水次官を責められない 橋下 徹

 メディアや世論にも病理がある 佐藤 優

 ひきこもりは「犯罪者予備軍」ではない 古市憲寿

 

これですからね。(;´Д`)

 

ただまぁ、古市氏の記事とかは・・・もう新聞で色んな人が書いてるような内容だから。

あんまり触れる気にならない。

 

少し異色の存在として三浦瑠麗氏があって、彼女自身の「命すら奪われそうになった」という昔の被害経験を踏まえて書いているだけに、今回はかなり良い記事だったかなと。

 

(前の号の、皇位継承議論は本当に本当に酷かったけど…)

 

 

橋下氏の記事に戻りますが、かなり欠陥が多かったですね。

 

6人目の論者である斉藤環先生(筑波大学教授)にあっさり論破されていました。

 

橋下氏の論調だと、

「こいつは物騒なことを起こしそうだから殺してOK」

という、大変まずいことになってしまうというのが斉藤氏の指摘。

 

私も、下手すりゃオウム真理教のポアの思想と同じようになるな・・・と思いました。

 

「自分で殺してでも止める」というギリギリの判断。

これはたぶん目の前でナイフを振り回してるような奴に警官が発砲するとか、そういう極限のレアケースでようやく認められるもんじゃないんですかね。

 

「こいつは人を殺しそうだから、いま殺しとく」 こんなん論外です。

 

 

 

あとは橋下氏自身が記事の中で半ばセルフ論破しちゃってるのも、痛々しかったです。

 

橋下氏は、規範を示して教育することが大切という主張。

それで社会が変わると。

 

・・・なのだけど、「人を巻き込んで殺すな」という規範は教育すれば浸透すると言う一方で、より好ましい規範「自殺するな、人を殺すな」というのは理想を振りかざしてるからダメだと切り捨てる。(なんでそうなる)

 

飲酒運転が云々と過去の事例を出したり頑張って持論を展開してますが、規範を浸透させて社会が変わる橋下理論が本当なら、より好ましい規範でOKじゃないですかー。

 

まあ、個人的にはどんな規範でも教育だけではすべて解決しないと思いますので、より好ましい規範を認めつつ橋下氏ならではの建設的な寄稿をしたほうが良かったのではないかと思います。

 

文藝春秋という媒体で「橋下氏ならでは」という内容を勝手に想像すると、政治経験者、しかも自治体の長であった経験を踏まえて、支援体制を強化する際の専門家との連携や、役所や議会で行き詰まりがちな部分(突破方法があれば、それも)とか。

一般読者にはいまいちピンとこないかもしれないけど、政治家や支援者が参考になるようなモノだと思います。

 

今回のように、後から出てくる斉藤氏に論破される「かませ」として橋下氏を使うのは、ポテンシャルを活かせずもったいないと感じた次第です。

 

(まあ、橋下さんが「批判されたら反論しないと気がすまない病」で変な理屈を捻り出した感がありますが)

 

 

 

永田鉄山&恐竜!

 

「家族という病」という内容だけに、明るい気分になれない7人の特集記事だったので、途中で箸休め的に他の記事も見ました。

 

 

けっこう面白かったのが、

 

 【特別企画】昭和魔人伝 桁外れの男と女

 永田鉄山 怪文書に殺された「陸軍の至宝」 早坂 隆

 

早坂さんのツイッターを調べたら、本も出してるんですねー。

 

 

 

あとは340頁からの、恐竜の記事がすごく良かったですね。

 

 「恐竜」の常識が変わった<「むかわ竜」東京上陸!>  万城目学

 

ぶっちゃけると、これがイチバン面白かった。

唸りながら本を読んでました。

 

日本の恐竜研究史上、最大の発見 「むかわ竜」

(日本では恐竜の化石は出てこないと言われていたが、出てきた)

 

これはちょっと、見に行きたいかなと。

 

 

すぐ横で三国志展もやってるとか。

 

 

一日潰すつもりで、遊びに行こうかなと思うわけです。

うっかり図録を買わなければ…たぶん財布は大丈夫。 (買ってしまいそうな予感)