文藝春秋7月号 男系か女系か | ふぇりっくす日記

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文藝春秋7月号、皇位継承についての議論が載っていました。

内容も少し触れつつ、思うところを書いておきます。

 

 

というか、この表紙・・・なに?(;´Д`)

虫なのか鳥なのか、よく分かりません。

 

理科の授業で顕微鏡を覗いてるような、謎の絵ですな。

 

 

 

(この表紙の絵が何を意味しているのか、

裏表紙とかさんざん探して10分くらい消費したが分からず・・・orz)

 

 

 

討論者たちの顔ぶれ!

 

表紙がめっちゃ気になりますが…。(汗)

本題に入りましょう。

 

討論者については、記事の冒頭から引用しておきます。

なんとなく立場もわかりますし。

 

保坂正康
ノンフィクション作家
「女性天皇には賛成、女系天皇には消極的です」
 
所功(ところいさお)
京都産業大学名誉教授
「前例のない女系天皇の検討は次代に委ねるべきです」
 
百地章
国士舘大学特任教授
「女系を認めれば、男系で一貫してきた伝統が断絶する」
 
本郷和人
東京大学史料編纂所教授
「女性天皇が誕生すれば、女系天皇の誕生も止められない」
 
三浦瑠麗
国際政治学者
「客観的状況として男系維持はもはや困難です」

 

 

以上の5人。

 

ちなみに、自分は男系継承支持者すね。

ただし、「絶対に男系維持」とは限らず、「男系が途絶えたら女系も容認すればよい」くらいには変化可能です。

そうじゃないと、運任せで次代に滅ぶ可能性も高いから。

そして、その前に旧皇族の復帰ができるなら、やったほうが良い。

 

このあたりの意見て、たぶん世間的には、ガチガチの保守系なんでしょうね。

 

皇室に対する敬意はそんなに無いかもしれないので、敬称とか適当ですが。

(記事中でも、さん、くん、呼びします。

三浦さんは朝生と違って「陛下」とか敬称つけてますな。山猫根性どうした)

 

たぶん旧皇族の復帰については、

「いつカードを出すか」と「そもそもカードがあるのか」という論点はあるのだと思います。

 

旧宮家の内情を知らないので適当に書くと、

「カードがあるなら、さっさと出したほうが良い」というのが私見です。

もちろん実際はカードでなく人間なので、ご本人が嫌でなければ。

 

継承候補者が居なくなってから復帰だと、急すぎて、やはり国民全体は困惑するかなと。

ある程度早めに復帰してもらって、当人が継承するというより次代に備える。

その間に国民にも慣れ親しんでもらうという感じでしょうか。

 

もうひとつは、女性皇族との結婚という可能性もあるのかな。

つまり女性天皇、女性宮家を認めつつ男系を維持する方策。

その時までは、切り札として取っておく感じですかね。

 

ただし、その時の女性皇族に対して結婚相手の強制感は漂います。

 

わりと最後の手段なので、

個人的には「カードがあるなら、さっさと出したほうが良い」です。

支えを強くしとこうぜ…という感じですね。

 

・・・まあ、どうせ成り行き任せなんでしょうけど。

 

 

記事の印象

 

「あの百地章さん」(日本会議系)が一番良かった。

(;´Д`)

 

保坂さんと所さんは、うん、まあ、なるほど。

 

三浦瑠麗さん、どうした…。(汗)

 

個人的にはジェンダーの事も安全保障も他のことも、わりと見解が合うことが多いのですが。

皇位継承に関しては、かなり違和感があるかな。

見過ごせない点が散見されるため、あとで幾つか引用しつつ指摘します。

 

本郷和人さんも、微妙。

学識はある人なんだろうけど、記事の中の議論では、継承と関係ない部分で無理に押してた印象があります。

 

この人については、ここで書いておく。

継承の儀で仏教儀式が無いから違和感とか言ってますが。

さすがに仏教系儀式は皇統の正当性を確認する際に必要不可欠ではない部分でしょうに。

 

歴史的に見られた仏教系の即位灌頂(そくいかんじょう)の儀式は、密教系で、神仏習合思想がありきで成り立つもの。

だから神話から続く皇統の物語と不可分であるとまでは言い切れない。

現代の感覚として神話は神話なんだけど、いちおう物語としてそれを受け継いでいる。

その文脈では大嘗祭は今でも意味があり、それに「後付け」の仏教系儀式を並べないと違和感があるというのは、ちょっと無理があるのではないでしょうか。

 

というか、そもそも神仏習合そのものが、はしりの神身離脱説(苦しむ神が輪廻から解き放たれたいと願う話)から推察できるように「仏教の布教を目的とした」ところから始まり、護法善神なんて仏教の守護者としての神という扱いだし、結構やりたい放題やってます。

もちろん神道の社殿も思想も仏教の影響を強く受けていますが(仏教だけでなく儒教や道教の影響もありますが)、混ざり、取り込まれ、反発する作用もあって形成されてきた流れを考えると、なんで一緒にやらないとダメなのでしょうか。本郷さんは「万世一系の物語に都合の悪い仏教を捨てた」などとのたまっていますが、神仏習合の経緯を見ればむしろ仏教にも先述した不都合がありますし、万世一系の物語の観点で「仏教が不都合」というのは、どういう理屈なのか示されていません。氏族受容はともかく国家仏教としては後から乗っかってきたのではないですかね。それとも宗像・沖ノ島祭祀の最古の段階(4c後半)から仏教が日本を支配してたのか。そのうち「アブラハムの墓は日本にある」とか言い出しそうで恐いです。

 

本郷さんは上皇の熊野参詣なども触れいていますが、天皇が神社参拝することは近代まで避けられていた慣例であったことも(知ってるでしょうに)あえて触れずに話してるのでしょうか。参拝(天皇の場合、親拝でしょうか)はせず、伊勢神宮も含む特定の神社に勅使(奉幣使)は送ってる。明治になって急に神道が…という話を好む人は、このあたりを無視するようですが。

 

もちろん日本は歴史的に仏教が強かったので、それを否定しても意味がありません。

まあ、だから江戸幕府に宗門改帳とか認められて戸籍管理を手伝ったりしてたわけで。

それが近代化に伴って管理が政府に一元化されたり、改革期には既得権者が失うものもあったのでしょう。

 

少し脱線しましたが…。

継承の儀とは(近世まではともかく現代的な意味では)、あんまり仏教関係ないよなー、という話ですね。

 

 

あと一つ、本郷さんはエマニュエル・トッド氏との会話を引きつつ「婿取り婚」について触れています。

これについても「皇室の歴史であったことなの?」という疑問があるのですが…。

 

話のすり替えじゃないの…これ。

知識は一般の人より多いのだろうけど…。

彼の理屈、ど素人から見ても繋がっているように思えない。

こじつけとすり替えの達人ですか。

 

 

三浦瑠麗さんの発言

 

三浦さんも問題だらけかな。

 

少し引用(以下、引用は発言者を書いてフォントを変えます)

 

かつては側室が多数いれば子どもがその分多く生まれるので、必ず一人は男子が誕生するだろうという見込みが立てられていたのに、今はそういう状況にはないことです。「後継者争いを避けるため」という「男系男子長子原則」の存在理由がそもそも成り立っていません。そこで出てきたのが、「愛子さまがいいのか」「悠仁さまがいいのか」という議論です。何となくの感情として、今の家督を継いでいらっしゃる今上陛下と雅子さまの子どもである愛子さまではなく、悠仁さまに皇位がわたることに違和感を感じる人が多いわけですね。

 

もう、この文章だけで支離滅裂になってませんかね。

 

「後継者争いを避けるため」と男系男子長子原則の存在理由をあげつつ、直後に「愛子さまがいいのか」「悠仁さまがいいのか」という議論があるという話にもっていく。

 

現状、悠仁くんで一本化される流れなのに、余計な設定をあげて後継者の争議を促進してる。

しかも「何となくの感情」で話されても…ですよ。

 

そこに百地章さんが反論するのですが。

 

皇室は国民の意識から乖離してはいけないにしても、我々の現代的感覚だけで皇室のあり方を議論してよいものでしょうか。例えば「愛子天皇」を望んでいる人のなかには、「男女平等」「女性の社会進出」という次元で考えている方もいますが、それでよいのか。「女性天皇」は過去にも存在しましたが、在位中は未婚のままでした。そんな過酷な条件を押し付けてまで天皇になっていただくのは、それこそ「人権無視」ではないですか。

 

どっちかというと、こういう台詞を三浦さんに期待してたんだけどな。

(なぜか百地さんのほうが女性の権利を主張しているという…)

 

所さんは

男系男子にこだわりすぎると、悠仁親王の後に男子が生まれなければ行きづまり、現皇室から遠い傍系に移らざるをえなくなると思われます。

 

と言ってます。

「現皇室から遠い傍系」とは旧宮家のことですね。

 

そして再び三浦さん

 

「女性天皇」を認めても、「皇位の安定的継承」が根源的に解決するわけではない、ということですね。悠仁さまに、もしお子さんが生まれなかったら、あるいは女の子のみ生まれたら、そこで皇統が途絶えてしまう。悠仁さまと配偶者は相当な重圧を感じられるでしょう。皇室はそもそも身分制ですから、「男系」が良くないとまでは言いません。ただ、客観的状況として「男系」維持が困難だろうということ。それに、現代では保守派も自分の「家」の感覚で「世継ぎは普通男だろ」と投影しているんだと思いますね。皇統の伝統だけではない。一般社会の常識の変化は、今後影響を及ぼすでしょうね。

 

所さんが「現皇室から遠い傍系」と言ってるあとに、「皇統が途絶えてしまう」と旧宮家がないものとして議論している。

橋下徹さんでも「女性皇族と旧宮家の男性の結婚」には触れているので、その観点を三浦瑠麗さんが知らないはずはない。

 

「客観的状況として「男系」維持が困難だろうということ。」

ここは、まあそうだと思います。

運任せで、だから生まれる子供の結果によっては女系もありかなと私は思います。

(上述したとおりです)

 

三浦さんの現代の保守派についての分析は、たぶん全く間違っていると思います。

彼らは皇統を一般の常識で考えない、という前提で維持しようとしているでしょう。

 

「だったらさっさと側室を復活しろよ」とは思いますけども。

 

まあ制度的には無理だとしても、皇族男子の誰かにバカ殿を演じてもらって、子作りしまくるとかですね。

それを宮内庁とかに手引きさせるとか。

どこかの段階で、なりふり構わずやるしかないんじゃないすかね。

 

 

 

三浦さん以外の流れも少し

 

所さん

そもそも歴史上、側室でなく正室の后妃から生まれて即位された男系の子息は、わずかしかいません。江戸時代では、明正女帝と後桜町女帝の二方だけです。以後、大正天皇まで側室庶子が皇位を継いでいます

 

百地さん

(前略、親王家が支えになってきたことなど)
ところが、今はその「支柱」が存在しない。「女性天皇」「女系天皇」をめぐる議論で不審に思うのは、「旧宮家から皇族を」という選択肢もあるはずなのに、推進派がこれを意図的に隠しているように見える事です。

 

保坂さん

平成の初め頃に旧宮家の何人かに会ったことがあります。復活には及び腰の印象でした。

 

所さん

「旧宮家の復活」は、本質的に皇室と国民の区別を不明確にしますから、私は好ましくないと考えます。(中略)戦後降下した十一宮家も、男子不在により五家が消滅してしまい、残る旧宮家でも必ず男子が生まれて続くとはかぎりません。

 

百地さん

旧宮家の方々はGHQの圧力で皇籍離脱させられたのだから別と見るべきです。そのうち、東久邇、久邇、竹田、賀陽の四家を合わせると、戦前より男子の数は増えているし、二十代以下の若い人は八人もいますよ。

 

実は増えてるじゃねーか・・・ということが発覚。

あの百地さんが思いのほか言い返してますな。

 

本郷さん

そもそも「我々の祖先が男系を繋いでいこうと努力してきた」という見方自体が間違っていると思います。おそらくそういった意識はなく、女性天皇を置くことが“イヤ”だったというだけです。

 

根拠ないのに、やけに自信満々ですな。

 

保坂さん

それは相撲などの神事のように、儀式を執り行う際に女性を不浄なものと考えていたからですか。

 

本郷さん

そうではなく、つまるところ、朝廷には「伝統万歳」という意識があったのでしょう。天皇は男性が多い。それを踏襲したかっただけです。ですから、女性を天皇に立てるというのはまさしく非常事態でした。「男系」か「女系」かという発想ではなく、単に「女性天皇はイヤ」だった。そもそも「男系」「女系」という発想は、明治以降につくられた考えです。「男系を守る」という意識などとくになかったはずです。

 

 

「はずです」

推測かよ。(;´Д`)

 

 

百地さん

その解釈は疑問ですが、歴史的事実として「男系」でつながってきた。私はそこに不思議なもの、かけがえのなさを感じます。英国の王室には同族婚があって、王族は王族としか結婚できなかった。それに対し、日本では早くから同族婚の習慣が崩れました。そこでなお、皇室を一般の社会から区別するために、「男系を続けるしかない」と直感的に感じていたのではないか。私は、そのように先人たちが守ってきた伝統を大事にしたい。

 

私としては百地さんの「直感的」も微妙なんだけど。

 

百地さんは英国王室の同族婚に触れていますが、新羅の骨品制という身分制もあります。

王族同士の結婚が前提という縛りがあるから、結局は続かなくなってしまう。

それに比べると、日本は「生き残るため」に、したたかに慣習を崩したり維持したり、意図的だと思いますけどね。

男系を崩してたら藤原氏あたりに早々に呑まれてたでしょう。

 

 

再び三浦瑠麗さん

 

三浦さん

「天皇」が権力を持たない憲法上の存在となった今日において、跡目争いで戦乱の世となる心配はない。それでもなお「男系男子」を望む合理的理由は、「悠仁さまや秋篠宮さまの継承権を否定して、皇位を取り上げるのはどこか物騒だ」という程度の理由しかあり得ません。それでもなお「男系を守ろう」という感情があるとすれば、その奥底にあるのは「高貴な女性が民間人の男性とセックスするのは嫌だ」という気持ちでしかない。つまり、「斎宮は処女でなければならない」という処女信仰と結びついているのではないでしょうか。

 

本郷さん

それは否定しようがありませんね。

 

 

えーと…。

とりあえず本郷さんは否定しろよ。(汗)

 

今の時代に戦乱にならないのは誰もが同意するでしょうが、論争になるのはどうでもいいの?

私は継承者の正当性で意見が分かれるのは良くないと思うけどなぁ…。

 

仮に秋篠宮さんや悠仁くんがスルーされた結果、保守層に「カルバラーの悲劇」みたいな悔恨体験が残って国内分裂が起こってもいいんかいな。さすがにイスラムみたいに殺し合いまでには発展しないだろうけど、無用な憎悪の応酬は好ましくない。下手したら変な政治結社ができるだけなんじゃないのか。(かつて木村草太さんが奥平氏との会話で懸念したように)

 

さらに三浦さんの「それでもなお…」以降の文章は、何と突っ込んだらいいのか。

 

個人的には「女性皇族しかいなくなったら女系に変えればよい」と思っています。

 

そこまでは伝統で行こうよ、保守派も(男系を)諦める状況になれば無用な分裂がないよ、と思っているので、セックスとか処女信仰とか的外れのことを言われてもポカンとしてしまいます。

 

もちろん場合によっては私が容認する女系にしても、その時に残された女性皇族の自由を奪うという問題はあります。

私が(勝手に)三浦さんに期待しているのは、その時の女性皇族を気遣う言葉なんですが…。

 

今回の記事で言えば、百地さんが言及した(先に赤字で示した)ような見解ですね。

なんでここで、保守とリベラルが逆転しているのか。個人的には不可解な現象であります。

 

 

もう少しだけ続きを

 

百地さん

憲法に、天皇の存在は「国民の総意」に基づくとある以上、皇室は国民の意思から乖離してはいけません。しかし、憲法論的に見ても、「総意」と「多数決」は同じではありません。

 

三浦さん

それなら皇室の“内々感”を大事にし、伊勢神宮での儀式などは大々的にやらない方がよかったのでは?

 

百地さん

いえ、宮中祭祀は皇室にとっての基本です。大嘗祭も、長年にわたって世襲に伴う不可欠な儀式だと認識されてきました。

 

このあと、本郷さんが仏教儀式がなんたらと言い出すのですが。

それについての私見は先述してあるので割愛。

 

ここでの三浦さんと百地さんの意見を見て思うのは、

「国費でなくてクラウドファンディングでやればいいんじゃね?」

ですね。

 

誰がどうやって募集かけるのかとか、普通に考えたら無理筋ぽいんですけど。

 

次期天皇が「即位式やる金ねーからクラファンします!」

とか言いだしたらシュールで面白いじゃないですか。

 

(めっちゃ集まりそうw)

 

政教分離とか言って訴訟を起こす人もいなくなるでしょうしな。