1970年代後半、日本でベイ・シティ・ローラーズに次ぐ人気を誇ったイギリス出身のポップ・ロック・グループ“BUSTER(バスター)”。
そのバスターの中心人物であったロブ・フェンナー(Rob Fennah)が2021年11月1日、待望のソロ・アルバム(おそらく初ソロ・アルバムだと思われます)、「JUNCTION 39」をリリースしました!
【Rob Fennah / JUNCTION 39】
■1977年バスター日本デビュー
1970年代後半、日本の洋楽界では、ベイ・シティ・ローラーズの“タータン・チェック旋風”が吹き荒れ、10代の女の子を中心に人気が爆発していました。
その加熱した人気に、“ポスト・BCRはどのグループ?”と、当時、洋楽雑誌はこぞって特集を組んでいました。
フリント・ロック、ベイビーズ、元BCRのイアン・ミッチェル率いたロゼッタ・ストーン、こちらも元BCRのパット・マッグリン&スコッティーズ、デッド・エンド・キッズ、ハロー…など、まさに洋楽アイドル・グループが群雄割拠でした。
【音楽専科1977年4月号より】
元BCRのイアン・ミッチェル率いたロゼッタ・ストーン、こちらも元BCRのパット・マッグリン&スコッティーズは、BCR関連グループとして、高い人気を誇っていましたが、そんな中、ビートルズの出身地リバプールから登場したバンドとして1977年1月に日本デビューしたバスター(Buster)は、デビュー・シングル「Sunday(すてきなサンデー)」が前年に母国イギリスで49位を記録、日本では、洋楽チャートで1位を記録するなど、デビュー当時から高い人気となりました。(バスターの結成は1972年)
【音楽専科1977年6月号より】
その後も、同年にリリースされたシングル「恋はO.K.!/Love Rules OK」「夢みるダンス/Dance with Me」「ビューティフル・チャイルド/Beautiful Child」は、洋楽チャートで上位にランクイン。特に3rdシングル「夢みるダンス」は、森永チョコフレークのCMに採用され、本人たちがCMに出演するなど、大きな話題を呼びました。
日本デビューからわずか9カ月の1977年12月に初来日。12月25日の日本武道館における1日2回の公演を含む8公演(福島・大阪・倉敷・京都・福岡・広島・名古屋・武道館)という人気ぶりで、来日の際には、「レッツゴーヤング」「銀座ナウ」「ポップス・イン・ピクチャー」といったTVにも出演、バスターはベイ・シティ・ローラーズと並ぶ人気となりました。
日本ツアーを成功させ、日本でのレコード売上により、ゴールドディスクも獲得しています。
1977年は、日本以外でもイギリス、フィリピン、オーストラリア、ドイツのツアーを成功させ、世界的な人気も高まりました。
1977年のバスターは、シングル4枚、アルバム3枚(ライヴ盤含む)をリリースするなど、まさに日本の洋楽界のトップ・グループとして、存在を示すようになりましたが、1978年になると、活動も徐々に縮小され、日本でリリースされたのは、シングル1枚のみ、音楽雑誌等でも取り上げられる機会が急速に減りました。
1978年前後の洋楽界は、ポール・マッカートニー&ウィングス、キッス、クィーン、ビージーズ、イーグルス、ドゥービー・ブラザース、フリートウッド・マック、ピーター・フランプトン、ビリー・ジョエルなど、実力派のグループやアーティストが世界的に幅広い人気を誇る中、バスターはティーン・アイドル・グループというレッテルから逃れられず、1979年に日本で最後のリリースとなったベスト盤「青春の日記帳 バスター・ベスト・コレクション/Diary: Best Collection」がリリースされましたが、RCAレーベルとの契約が打ち切られ、日本でも、その後、バスターの情報も途絶えてしまいました。。。
ベスト盤に収録されたメンバーインタビューでは、「来年、日本で会いましょう」というメッセージも寄せられていたのですが、その後、バスターはバンド名の変更、メンバーの変更等を経て1982年10月に解散しています。。。
■バスター再結成
時代も過ぎ2000年代に入ると、インターネットの普及により、当時のファンを中心に盛り上がり、日本で2008年にバスターの3枚のアルバムが紙ジャケで再発、この頃、オリジナル・メンバーでバスターが再結成され、レコーディングも開始という情報が寄せられました。
日本でもバスター熱は冷めることなく、再来日の機運も高まりつつある中、2014年1月25日に、バスター37年ぶりの新譜となるベスト盤と新録による2枚組アルバム「バスターの軌跡/ベスト&ニュー」が遂にリリースされました。
「バスターの軌跡/ベスト&ニュー」には、2008年以降に断続的にレコーディングされた新曲9曲とジェネシス・カバー1曲の計10曲収録されていますが、どの曲もいい意味で年齢を重ねたメンバーによる正統派ブリティッシュ・ポップ・ロックで、変わらない良質なサウンドと今後が期待できる充実した新曲を聴くことが出来ました。
【ディスクユニオンでは、まとめ買い特典として収納ボックスがつきました】
【特典としてデビューシングル「すてきなサンデー」のシングルCDがつきました】
しかしながら、ニュー・アルバムのリリース直前の2013年12月26日、バスターのリーダーでリード・ギタリストとして活躍していたピート・リーが自宅の階段から転落し急死。享年54歳という若さでした。。
その後、ドラマーのレス・ブライアンズも2016年に死去される等、往年のファンに悲しいニュースが続きました。
バスターのサウンドは、甘くキャッチーな正統派のブリティッシュ・ポップ・ロックで、一度聞くと忘れられないフレーズも多く、そのサウンドは、多くのティーン・エイジャーを魅了したものでした。
また、アルバムやライヴでは、ポール・マッカートニー&ウィングス、ウイッシュボーン・アッシュ、ジェネシスなどのカヴァー曲もあり、幅広い音楽性を聞かせてくれていますが、セカンド・アルバム「夢みるバスター/Buster 2」では、バンドとしてのオリジナリティが発揮され、その後が非常に楽しみなバンドであっただけに、その後の活動が継続されなかったことが悔やまれます。
■ロブ・フェンナーのニュー・アルバム「JUNCTION 39」
その後、メンバーのロブ・フェンナーは、自身のバンドAlternative Radioでの活動や、舞台や映像音楽活動、ギター講師等、コンスタントに活動を続け、YouTubeでは、ギターレッスン動画が好評を得るなど、往年のファンを喜ばせてくれていました。
そして、2021年11月、待望のソロ・アルバム「JUNCTION 39」がリリースされました!
同時にロブ自身のオフィシャル・サイトも開設されています。(オフィシャルサイトより購入可能です)
■ロブ・フェンナーオフィシャルサイト:https://robfennah.com/
またTwitterも2020年4月よりスタートしています。
■ロブ・フェンナーオフィシャルTwitter:https://twitter.com/FennahRob
【購入特典として、ジャンクション39の道路標識ピンバッヂがつきました】
「JUNCTION 39」は、ロブ自身の運営するレーベル「Pulse Records」からリリース。
全11曲、作詞・作曲・アレンジともに全ての楽曲をロブ自身が担当しています。
全体的にアコースティックの響きが心地よく、落ち着いたサウンドの作品が中心ながら、バスター・ファンなら、きっと大満足な1枚です!
どの曲からもロブの人柄が滲み出ており、バスター時代を彷彿させるポップな作品となっています。
また、アルバムは、打ち込みやシンセサイザーを一切使わず、ロブは6弦&12弦のエレクトリック&アコースティック・ギター、ベース、ウクレレ、マンドリン、一部のドラムを一人でこなし、息子のアルもギターで参加するなど、「生の音」にこだわった1枚です。
ギターの響きとアレンジが絶妙で、そこにロブの歌声が重なり、懐かしくも新しい大人のバスター・サウンドと言っても過言ではない1枚です。
01. Miviam
ギター講師としての顔も持つロブ。ギターのお手本となりそうな、軽やかなアコースティック・ギター・インストの小作品Miviamからスタート。
02.Precious
軽やかな8ビート・サウンドで、アコースティック基調ながら、エレクトリック・ギターが良いアクセントとなったポップ・ソングで、バスター時代を彷彿させるメロディと、ロブのやさしい歌声がとてもマッチしています。
03.Blurred White Lines
軽快なギターのエレクトリック・リフが印象的な楽曲です。
04.Shooting Star
アルバムの中核をなす1曲で、歌詞は切ない内容ですが、泣きのメロディ・ラインが美メロで、静かなスタートから、徐々にリズミカルなエレクトリック・ギターのリフとサビのメロディで曲が盛り上がってゆく曲です。
この曲では、ロブ自身がドラムを叩いています。
05.Enemies And Friends
カントリー・タッチでアップテンポな楽曲で、バンジョーがとても良いアクセントとなっています。エンディング近くのマンディ・バービルによるクラリネットも印象的なメロディを奏でてくれています。
06.Wait For The Moment
印象的なエレキのリフとリードで始まるちょっと60年代を彷彿させるサウンドの楽曲です。
07.Big Moon High Tide
レゲエ・タッチの軽やかなで楽しい楽曲です。YouTubeでPVも公開されています。
08.Nobody Gives A Damn
軽快な8ビート・ロック。ロブの演奏するギター・ストロークがとても心地よく響きます。
09.Junction39
アルバム・タイトルとなる曲で、「成功の道のりの過程で、様々なことに巻き込まれ、ジャンクション39で立ち往生しているが、いま、やるべきことに気が付いた。今、僕は行き先を見つけた。私はあなたのもとへ帰る。」と歌われるロブ自身の人生を振り返った曲?でしょうか。。
ロブの歌声にも熱がこもります。
10.I'll Never Give Up
軽快な8ビートにのせて、軽やかに歌うラヴ・ソング。
「今こそ、私が本当に必要なのはあなた。探し求めたものがドアの向こうにあった。あなたを愛することを決してあきらめない。だから過去にとらわれず明日を楽しもう。今を犠牲にして 過ぎ去ったことはしたくない。あなたを愛することを決してあきらめない。。」
11.Miviam (Reprise)
1曲目のインストのリプライズ。軽やかに始まったアルバムの終わりに余韻を残す素敵な小作品です。
残念ながら、アルバムは、日本発売の予定はなさそうなのですが、ロブのオフィシャルサイトより購入することが出来ます。
https://robfennah.com/buy-music
ダウンロード版とCD+ダウンロード版があります。
私はCD+ダウンロード版で購入しましたが、特典としてジャケットに移っているJunction39の道路標識のピンバッジが付いてきました。
ロブは、2021年12月には、弟とAlternative Radio名義で2回ライブを行うなど、コンスタントに演奏を続けています。(YouTubeにもAlternative Radioはアップされています。)
バスターの楽曲は、2021年12月より主要な音楽配信サイトで配信開始されており、オリジナル・アルバム2枚、ライヴ1枚、、2014年リリースの「バスターの軌跡/ベスト&ニュー」の新曲アルバム分が「Here and Now」というタイトルで配信されています。
Junction39のリリースや配信がきっかけとなり、日本でバスター人気が再燃し、待望の再来日が実現することを期待したいです。
現在も、バスターのウィキペディアは、ファンの方が常に情報を更新されていますので、気になる方は、ぜひ、ご覧になってみてください。
あの頃、バスターに夢中だったみなさん、ぜひ、この機会にバスター&ロブのニュー・アルバムでテーンエイジャーだった頃に戻ってみませんか。。。
We Want Buster !!
We Want Rob!!