King Crimson 「Cat Food」クリムゾン51年目の最初のリリースは“ねこめし” | マジカル・ミステリー・ミュージック・ツアー

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1960年代から1980年代の洋楽・邦楽の雑記帳です。

キング・クリムゾンが1970年3月にリリースしたシングル「Cat Food/Groon」

 

(ジャケットはメンバーのピート・シンフィールドによるものです。)

 

衝撃デビュー作となった「クリムゾン・キングの宮殿/IN THE COURT OF THE CRIMSON KING」でしたが、その後のハードなアメリカンツアーがきっかけとなり、オリジナル・メンバーであったグレッグ・レイク(EL&P結成)、マイケル・ジャイルズ、イアン・マクドナルド(マクドナルド&ジャイルズ)の3人が脱退し、解散状態にあったクリムゾンでしたが、リーダーであるロバート・フリップは、バンドを維持すべく新たなバンド・メンバーの補充と、脱退したグレッグ・レイク、マイケル・ジャイルズ、そして、クリムゾンの前身バンドであるジャイルズ・ジャイルズ&フリップとして、一緒に活動していたベーシストのピーター・ジャイルズの協力を得ながら、セカンド・アルバム「ポセイドンのめざめ/IN THE WAKE OF POSEDON」のレコーディングを開始しました。

 

「ポセイドンのめざめ/IN THE WAKE OF POSEDON」

 

1970年5月15日のアルバム・リリースに先駆け、1970年3月にリリースされたのが「キャット・フード」でしたが、時間的制約があった中、ロバート・フリップは、脱退したイアン・マクドナルドが大半を書き上げていた楽曲であった「キャット・フード」をシングルとして選択しました。

 

フォースト・アルバムでも、影の主役と言われたイアン・マクドナルドですが、「キャット・フード」は、ファースト・アルバムとは違う、ビートルズ・テイストが感じられるキャッチーな楽曲で、クリムゾンの多様性のある音楽性を知らしめる楽曲となりました。

 

(左)マイケル・ジャイルズ (右)イアン・マクドナルド

 

シングルとしてリリースされた「キャット・フード」には、ゲスト・プレイヤーとして、イギリスのジャズピアニスト、キース・ティペットが参加し、アバンギャルドで印象的なプレイを披露しています。(キース・ティペットは、2020年6月14日に72歳で亡くなられました。)

ロバート・フリップとピート・シンフィールドは、1969年にキース・ティペットのライヴを観て熱烈なファンになったそうです。

 

2019年にクリムゾンのオフィシャルサイトで発表されたキャット・フードのオルタネイト・ミックスをご紹介します。

オフィシャルサイトでは、「最後のエレクトリック・ギターラインが取り除かれ、キース・ティペットの、素晴らしくラウドで威厳に満ちたピアノ・パートにスポットライトが当たるのはとても喜ばしいことです。」と紹介されています。

 

【King Crimson - Catfood (Alt Mix) [50th Anniversary | Previously Unreleased]】

 

この曲のハイライトは、何といっても、1970年唯一のクリムゾンのオフィシャル・パフォーマンスとなった、1970年3月25日に放送されたイギリスBBC放送の「トップ・オブ・ザ・ポップス」での「キャット・フード」のパフォーマンスだと思います。

King Crimson Cat Food Top Of the Pops

 

 

口パクですが、このパフォーマンスでは、唯一となった、ロバート・フリップ、グレッグ・レイク、マイケル・マクドナルド、ピーター・ジャイルズ、キース・ティペットという、1日限りキング・クリムゾンというレアな映像で、クリムゾン史上でも貴重な映像となっています。

 

 

クリムゾンのオリジナルメンバーのイアン・マクドナルド、マイケル・ジャイルズとピーター・ジャイルズ、元メンバーのイアン・ウォーレス、そして現在クリムゾンのメンバーであるメル・コリンズ、ジャッコ・ジャクジクがメンバーであった21st Century Schizoid Band(2002-2006)でも、キャット・フードは演奏されています。

 

 

そんな「キャット・フード」ですが、2020年は、リリースから50周年ということで、ライヴ&別ミックスが追加された「50周年記念エディション」がアナログとCDで3月6日に発売されました。

 

「Cat Food」(2020)

1) Cat Food (single version)

2) Cat Food (2019 live version)
3) Cat Food (2019 alternate mix)

4) Groon (original single B-side)
 

日本でも5月27日にようやくリリースされ、CDには、日本独自ジャケット・スリーブが作成されるとともに、CDには、ボーナストラックとして、ジョン・ウェットンのボーカルによる1973年のライヴ音源が収録されています。

 

レコード・コレクターズ6月号に掲載されたリリース広告。

「猫にはちゅ〜る、プログレもんにはコレ!」のキャッチが秀逸ですね(笑)

 

 

日本版シングルCDのオリジナル・スリーブ。

 

 

日本では、輸入アセンブル仕様で、アナログとCDが同梱されたヴァージョンもリリースされました。

 

日本盤EP(10inch):
A side01    キャット・フード(オリジナル・シングル・ヴァージョン)/Catfood (Original Single Version)    
A side02    キャット・フード(ライヴ・イン・トロント2019)/Catfood (2019 Live Version)    
B side03    キャット・フード(別ミックス:通称キース・ティペット・ミックス)/Catfood (Alternate Mix)    
B side04    グルーン(オリジナル・シングル・ヴァージョン)/Groon (Original Version)    
日本盤CD:
01    キャット・フード(オリジナル・シングル・ヴァージョン)/Catfood (Original Single Version)    
02    キャット・フード(ライヴ・イン・トロント2019)/Catfood (2019 Live Version)    
03    キャット・フード(別ミックス:通称キース・ティペット・ミックス)/Catfood (Alternate Mix)    
04    グルーン(オリジナル・シングル・ヴァージョン)/Groon (Original Version)    
05    キャット・フード(ライヴ・ヴァージョン)/Catfood (Live Version)
 

ディスクユニオンではオリジナル特典として、トップ・オヴ・ザ・ポップス出演時のカラー・ポスト・カードが同梱されています。

 

 

ちなみに、便乗して、ねこめしTシャツもオフィシャルで再発されています(笑)

現在、キング・クリムゾンのライヴはコロナウィルス感染症拡大の影響で、中止されていますが、ロバート・フリップは奥様のトーヤとの夫婦漫才の披露等、元気そうでなによりです(笑)

 

 

今回の「キャット・フード」は、イギリスでも大きな反響を呼び、1970年にリリースされた際は、チャートインをしなかったもの、今回はイギリスチャートでは2位を記録しています。

 

クリムゾン・ファンの散財は今年も続きそうです。。あせるあせる