R.I.P. ゴダイゴギタリスト浅野孝已さん(享年68歳) | マジカル・ミステリー・ミュージック・ツアー

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1960年代から1980年代の洋楽・邦楽の雑記帳です。

ゴダイゴのギタリスト、浅野孝已氏が5月12日亡くなられました。享年68歳。

近年、病気がちであったものの、5月9日には、Facebookでもコメントを発するなど、あまりにも急な出来事でした。

 

浅野さんは、1951年生まれ。中学2年の時、同級生であった萩原健一(学校は別)と友達となり、ショーケンは、GSグループ、テンプターズのボーカリストとして活動を開始し始めていたため、ショーケンに「バンドやりたいんだけど、名前借りていい」とお願いし、ジュニア。テンプターズとして活動を開始、その後、GSグループのモップスのメンバーが学校の先輩であったため、ジュニア・モップスとして活動、ローリング・ストーンスのカヴァーを中心に活動されていたそうです。

 

その後、1968年に日本の黎明期のロックの重要なバンドの一つである「THE M」に参加、プロとしての活動をスタートしました。

 

「The M」は、のちにイエロー(ジョニー吉長がメンバーでいました。)を結成する、垂水良道(b)・孝道(vo)兄弟と浅野孝已(g)が中心となり、70年代にスタジオミュージシャンとして活躍する岡沢章やその後、外道を結成する加納秀人(メンバーであいたのは1カ月程度らしい)も参加していたバンドで、アルバムとシングルを1枚ずつ残して1973年に解散しています。

「The M」は実力はバンドとして当時、名を馳せており、スパイダースのかまやつひろしや井上堯之をはじめ、多くのGSグループのメンバーもライヴを観に来ていたようです。

四人囃子のギタリスト森園勝敏もよく観に行って、浅野さんに「どうやって弾いているか」と聞いていたそうです。

 

2002年にリリースされたライヴCD「1972,LIVE AT 新宿」では、その一端が見受けられます。

 

【2002年になって発売されたライヴ・アルバム】

「1972,LIVE AT 新宿」

1. SHOUTHERN MAN
 2. EVIL WAYS
 3. TIGHTEN UP
 4. LIGHT MY FIRE
5. OHIO
6. MY CHERIE AMOUR
7. メドレー
8. YOU’RE NO STRANGER
9. GROOVIN’
10. UNCHAINED MELODY
11. 時は今ここに

 

数多くのレコード会社からも誘いはあったそうですが、「アンダーグラウンドが好きだった」(浅野氏談)ということで、レコードリリースは断り続けていたそうです。

ちなみにGSブームを象徴する「ウエスタン・カーニバル」には、1度だけ出演。

グランド・ファンク・レイルロードの曲からスタートしたものの、ボーカル・アンプのトラブルで、浅野さんがその間10分くらい、延々とイントロを弾き続けていたそうです。

 

1972年には、荒木一郎のプロデュースで、A面が映画のサントラ、B面が洋楽カヴァーとオリジナルとなるアルバム「THE M」をリリースしています。

 

「THE M」(1972)

1. 時は今ここに
2. 白い十字架
3. 愛の断層
4. MY CHERIE AMOUR
5. LOOKING FOR A HOME
6. GYPSY QUEEN
7. IT’S TOO LATE
8. FLIGHT OF THE IBIS

オリジナルの「時は今ここに」をはじめ、スティーヴィー・ワンダーの「MY CHERIE AMOUR」、キャロル・キングの「IT’S TOO LATE」、そしてキング・クリムゾンのオリジナル・メンバーであった、マイケル・ジ」ャイルズとイアン・マクドナルドが1971年にリリースしたアルバム「McDonald & Giles」の中から、「FLIGHT OF THE IBIS」をカヴァーするなど、当時の最新の洋楽カヴァーが録音されています。

「THE M」は、2011年2月、38年ぶりにオリジナル・メンバーが一堂に顔を揃え一夜限りの再結成ライヴを敢行。原宿クロコダイルで行われたユニオン・ライヴと1970年~71年頃の幻の未発表ライヴ音源を1枚にまとめた2枚組アルバムもリリーズされています。

 

 

1973年に「THE M」が分裂、浅野さんは、セッション・ミュージシャンとして活動中に、元GSグループ・メンバーとアイドル歌手をミックスしたバンド「チャコとヘルス・エンジェル」の結成に頼まれて参加、1973年9月に「愛してる愛してない」でレコードデビューしています。

 

ジャケット、右から2人目が浅野さんです。(若い。。)

 

 

本格的なロックを目指し結成されたチャコとヘルスエンジェルでしたが、デビューシングルのオリコン74位という記録が最高位で、その後リリースされたシングルはチャートインせず、1975年4月に約1年半という活動に終止符を打ちました。

ちなみにチャコとヘルスエンジェルの衣装は、原宿のグラスという店舗で働いていた舘ひろしが浅野さんの衣装を担当していたそうです。

 

チャコとヘルスエンジェル活動時、ミッキー吉野が帰国、「一緒にやらないか」と誘われ、ミッキー吉野グループとして活動をスタートしています。

ミッキー吉野グループとして活動していた際は、沢田研二のバックバンドそしても活躍、伝説的な1975年10月22日に行われた 蛇ヶ池人口スキー場で開催されたジュリーの「比叡山フリーコンサート」にもバックバンドとして参加しています。

 

 

一度もCD化されていない、ジュリーの比叡山コンサート。CD化が待ち望まれています。

 

比叡山ライヴでの「花・太陽・雨」(PYGの名曲)で、井上堯之さんと浅野さんのツインギターを聞くことが出来ます。

 

 

LPの見開きの中ジャケットでも、浅野さんの姿が確認出来ます。

 

 

このライブ、バックバンドが、井上堯之バンドとミッキー吉野グループという、考えられないメンツで、浅野さんも過去のインタビューで、「(比叡山は)一番面白かった。滅茶苦茶やったもんね」と語っていました。

1976年、ゴダイゴとしてデビュー以降は、デビュー曲の「僕のサラダガール」「ガンダーラ」「モンキー・マジック」「銀河鉄道999」等、大ヒットを連発、70年代の日本のトップ・ロックバンドとしての地位を確立してゆきました。

1985年に「インターミッション(活動休止)」を宣言し、活動を休止しますが、1999年以降、限定的に活動を再開、ゴダイゴ結成30周年の2006年、奈良・東大寺でオリジナル・メンバーによるコンサートを行って再始動を宣言し、現在に至っていました。

 

 

浅野さんは、ソロ活動も積極的に取り組み、ゴダイゴの楽曲をギターアレンジで聞かせる「アコースティック・カヴァーズ -ソングス・オヴ・ゴダイゴ」シリーズのリリースや、2011年には、それまでの活動の集大成となる「浅野孝已 アンソロジー 1951-2011」のリリース、ゴダイゴの盟友、スティーヴ。フォックスと組んだ「トロピカル・ポップ・オーケストラ」の活動等、近年も積極的な活動が印象的でした。

 

【「浅野孝已 アンソロジー 1951-2011」】

1. ロックン・ロール・プリンス / チャコとヘルス・エンジェル 『ヤング・アイドル・チャコ vol.3』より
2. 君が優しすぎるから / あおい輝彦 『スタートへの出発』より
3. ファンキー・エンジェル / エディ藩とスーパーセッションバンド 『ベイサイド・スウィンガー』より
4. Bye-Bye Baby / 絵夢 『夜から朝への流れの中で』より
5. 平和組曲 / ゴダイゴ 『平和組曲』より
6. ナイト・サスピション / OST TVドラマ『誇りの報酬』より
7. ひさしぶりマイフレンド / ゴダイゴ 『WHAT A BEAUTIFUL NAME』より
8. サイレント / ゴダイゴ 『WHAT A BEAUTIFUL NAME』より
9. 『鹿鳴館』メインテーマ / 浅野孝已 (初CD化)
10. for 心からの笑顔 / T.P.O 「日本臓器移植ネットワーク」イメージソング
11. 揺れる想い / 浅野孝已 (未発表曲 初CD化)
12. お経のロック(正信念仏偈) / 井浦智眼 (初CD化)
13. 君の為にJust For You / 浅野孝已 (未発表デモ 初CD化)
14. 新月 Shingetsu / TAGC Tokyo
15. 時は今ここに(LIVE) / THE M (未発表ライヴ初CD化)(bonus track)

 

また、2018年9月に、ゴダイゴは「銀河鉄道999」(1979年)の英語バージョンを初レコード化、また2019年6月には、『西遊記』のテーマ曲「ザ・バース・オブ・ジ・オデッセイ~モンキー・マジック」、「ガンダーラ(英語バージョン)」が国内で初の7インチ・レコード化されるなど、近年、再評価も高まり、新しいファンも増え、コンサートも新旧のファンの熱気に包まれていました。

 

 

個人的に、リアルタイムで購入したのは、1977年11月にリリースされたアルバム「DEAD END」でした。

ゴダイゴとしての実質デビューアルバムであった「DEAD END」は、当時の一部の洋楽ファンにも高く評価され、日本のプログレッシヴ・ロック・バンドとしての評価も高まっていました。

今聴いても、全く古さを感じさせない名盤だと思います。。

 

【DEAD END】

1. MILLIONS OF YEARS(時の落し子)
2. IN THE CITY
3. STOP & LOOK AROUND(サムの息子)
4. DEAD END~LOVE FLOWERS PROPHECY
5. THE LAST HOUR
6. PANIC~IMAGES
7. UNDER UNDERGROUND
8. A FACE IN THE CROWD(孤独な面影)
9. (CRIME IS) THE SIGN OF THE TIMES(血塗られた街)
10. MIKUNI(御国)

 

 

「Monkey Magic」の浅野さんのギター・カッティングに、聞き惚れてしまったことも、思い出します。。

 

今後、まだまだ活躍が期待されていただけに早すぎる死が残念でなりません。。

安らかにお眠りください。。