終わってから気づいたが、

蜂の巣のある、ラベンダーの草とりをしていた事がある。

 

マニュアル通り。

数個前のラベンダーから、蜂が頭の周りをグルグル回る。

顔の近くや体の近く。

明らかに、普通よりも近い距離、まとわりついてくる。

 

ずいぶんしつこいな。くらいに思い、作業はつづく。

 

巣に近づけば近づくほど、周りを飛びまわる蜂の数は増えます。

 

それでも、気づきません。

気づかないというより、知らない?

蜂の巣が近い時の、蜂の実際の行動を。

 

しっかりラベンダーをはぐって、根元まで草をとります。

 

そこで、同じ畑で草取りをしていた人が、

ものすごい勢いで、畑から飛び出します。

 

それを見て、話を聞き、しばらくしてから気づきます。

 

もしかして、蜂の巣があったのかもと。

 

 

確かに、あるラベンダーには飛び回る蜂が多く、

それを過ぎると、数が減る。

 

調べてみるとありました。

根元に蜂の巣が。

たくさん、蜂が飛んでいます。

ギリギリ、蜂の巣が奥まったところにあり、道具が届かず、巣を破壊していなかった。

偶然のラッキー。

 

分かったとたん、怖い。

さっきまで、顔を近づけ密着していたラベンダーに、

今ではもう、近づくのも怖い。

 

蜂の巣のあるラベンダーには、目印になるものを立てます。

北海道だと、クマザサがよく使われます。

近くに生えていて、大きい。

 

他の人がけがをしないよう。

 

目印のついたラベンダーは、しばらく草とりもお休み。

そこにいない全員が知るよう、主要な人物に、蜂の巣の場所を報告。

 

おちついた頃、誰かが、恐る恐る安全確認。

大丈夫そうなら、再びお手入れ開始。

 

蜂の巣体験をすると、しばらくの間、

虫の気配やブーンと飛ぶ音がするだけでビクビク。

なかなか回復できない恐ろしさを覚える。

 

 

ラベンダーの草とりをしていると、蜂の巣を見つけることがある。

 

蜂は、刺激さえしなければ襲ってこない。

襲ってくる前に、見回りの蜂が警告の攻撃をしてくる。

刺しはしないが、体にまとわりついて離れないとか、ちょっとした嫌がらせみたいな。

 

 

蜂の巣の季節。

声も出さず、畑からものすごい勢いで飛び出す人がいる。

 

 

みんなでラベンダーの草とりをしているある日。

 

一段下で作業をしていた人が、畑から飛び出していった。

何事かと思って見ていると、様子がおかしい。

何かを振り払うしぐさをしながら、とにかく走る。

 

戻ってくると、蜂に追いかけられていたと。

 

蜂の巣は、枝の茂み中にあるイメージかもしれない。

ところが、根元の土の中に巣がある。

 

ラベンダーの草とりは、

広がった枝を持ち上げ、まくりながら根元に生えた草をとる。

その時に、気づかず蜂の巣を壊してしまうことがある。

 

数株前のラベンダーから、蜂の警告が始まっている。

土に伝わる振動に反応するのだろう。

熱心に働いていたら、2cmほどの虫が1~2匹周りをうろついても、なかなか気づけない。

 

そのまま熱心に手ぐわを振り、草をとっていると、ついに蜂の巣に到達。

金属でできた手ぐわが、蜂の巣を直撃。

怒った蜂たちが、次から次に。

 

さっきから周りをうろついていた虫は蜂だったと、この時、ようやく合点がいく。

 

しかしながら、その時は、もう。

 

とにかく、素早く逃げる以外の方法はない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

農作業中に遭遇するウシアブ。

出現期間が、ある程度限られていて、暑い昼間は出てこない。


 

まだ、アブかスズメバチか区別が出来なかったある日。

1人で草取りをしていると。

頭の上を、ぐるぐる回る大きな羽音が続く。

怖いと思いつつ、スズメバチなら刺激しない方が良いと思い、作業を続ける。

 

ところが、体の近くをグルグルまわり始め、逃げても避けてもついてくる。

羽音がおさまったと安心したのも束の間。

 

ふっと目に入ったTシャツの袖口。

何かが。

黄色と黒の縞模様の大きな虫が止まっている。

 

近い、大きい、怖すぎる。

スズメバチかも。自分の手で払うには怖い。無理。

 

ちょうど上司が近くで作業をしている。

冷静をよそおい、

「袖に虫が止まっているみたいだから、見てください」とお願いした。

すると、

「ちょっと待って」と何やら準備を始めた。

首に巻いていたタオルを手にしっかり握りなおしている。

そして、後ろを向くよう指示。

 

「行くぞ!」と同時に「バッチーン!」と大きな音と衝撃。

 

ものすごく痛い。

こちらも大きな声で「痛い」と叫ぶ。

アブをしとめるため、タオルを武器に果敢に戦ったわけです。

 

畑の真ん中で、何事かと周りの人がジロジロ。

 

タオル攻撃のおかげで、刺されずに済みました。

アブは、どうなったかわからないけれど、仕留められなかったはず。

 

きれいにしなって、腕にフィットしたタオルは、とにかく痛かった。

アブにさされるより、数倍痛かった。

 

 

 

花を植え終わり、間引きもしたら、

後は草取り。

 

そこで遭遇するのが虫。

 

その中でも、嫌なのがアブ。

 

特に3cm前後の大きなウシアブ。

スズメバチのように、黄色と黒の縞模様で大きさも同じくらい。

背中などにとまって、血を吸う。

刺された時にチクッするから、その瞬間体を動かすといい。

ジッとしていると、刺され続ける。

 

けれど、スズメバチかアブか判断するのは難しい。

スズメバチも飛んでいるから、うっかりハチを刺激してしまうと危険。

 

下を向いて作業をしているところに、突然、ブーンという大きな羽音。

ハチ!アブ?

一瞬の混乱。

そこで、ひとまず、その場から逃げる。とにかく離れる。

それでもしつこく体の周りを飛び回ったり、再びまとわりついてくるようならアブ確定。

 

タオルなど振り回すものがあれば、狙いを定めてアタックするのもいい。

かすれば、危険を感じ、しばらくは寄ってこない。

 

大きな羽音がすると、スズメバチかと毎回ヒヤヒヤする。

 

 

蚊に刺されやすい人がいるように、アブに狙われやすい人もいる。

その人の悲鳴から、仕事がスタートする。

 

その人の近くにいれば、絶対に刺されない。

ただ、悲鳴にびっくりし、突然、飛びのいて走り出すから怖い。

人の突然の行動も案外怖い。

 

 

 

 

お昼、食事を食べに戻ると、何やらおかしな雰囲気。

 

どうも、お米が炊けていないらしい。

みんな、非常食を取り出し、なんとかしのぐ。

 

そう。

朝、セットしたお米が炊けていなかったのだ!

 

まさかの。

 

と言いながら、自分がセットしたことなどすっかり忘れ、

どうしたんだろうね。などと、話していた。

 

 

ふっと、記憶をたどると、自分がタイマーをかけたような。

うっすらとした記憶が。

 

 

タイマーの設定までしておきながら、最後の「炊飯スイッチ」を押していない状態だったらしい。

 

確かに、押していない。

押すことを知らなかった。

タイマーをかけたら、自然にその時間になったら炊けるものだと。

 

もしもの時のカップラーメンを食べながら、「最後にスイッチを押す」と繰り替えした。

 

おそらく、わたしがセットしたことを知っていながら、誰も、その事に触れなかった。

優しさがしみた。