総合病院へ転院し、
病室へ運ばれてからのお話です。
カーテンで仕切られた狭い部屋のベッドの上で寝たまま
わたしはしばらくの間、
お腹にモニターをつけていました。
これは、お腹の張りと
赤ちゃんの心音を同時に記録するモニターで、
今川焼のような機械をお腹にベルトで固定して
それぞれを計測するものです。
「10分以内に2回以上張るようならナースコール」
という目安のもと、
このときのわたしのお腹は張りに張っていて
2~3分のペースで固くなっていました。
幸い、赤ちゃんの心音は問題ありませんでしたが、
あまりに張りが収まらないために点滴の流量は徐々に増えていき
当初は20ml/分だったものが、2日後には49に。
最初は冗談みたいだと思っていた手の震えも更にひどくなり
動悸がして全身が熱くなりました。
看護士さんにもらったアイスノンを枕にして
ようやく火照りがラクになりました。
入院したとき以来、出血はありませんでしたが、
点滴のためにトイレの回数が増えました。
そのたびに、脇の簡易トイレに
震える身体で怖々と座って排泄しました。
ベッドから起き上がり簡易トイレまで1~2歩動くだけで
点滴のチューブが引っかかり、垂れ下がり、
針の刺さった腕は満足に動かすことはできず、
まるで囚人のようだと思いました。
夜には気圧が下がるせいか
就寝時間前になるとお腹が張り、
あるときには夜中2時まで4時間モニターをつけて
体制を大きく動かさずに横たわり、
それでも張りが収まらず点滴は57に上がりました。
ようやく収まったころには副作用に襲われる前に疲労で眠りに落ちました。
あとから知りましたが、このお腹のモニターは、
陣痛が始まった妊婦さんも付けるそうですね。
こうした状況になって
赤ちゃんの心音を頻繁に確認できるのは願ってもないことなのですが、
モニターの今川焼のような機械はゴツくてお腹に沿わないし、
それをベルトで固定していても
身体を動かすとすぐに記録が取れなくなってしまいます。
10分に2回以上張らないことが目下の目標となったわたしにとって、
もうすぐ10分経つのにモニターがずれてしまうことで
またそこから10分経過するのを待たなければならず、
その間にお腹が張るとまたモニターの時間が延長される、
そのループで、
モニターをつけたら軽く2時間以上は身体を動かせませんでした。
特に、就寝時間を過ぎた真っ暗で静かな病室で
モニターをつけて一人横たわっているのは
なんとも言えない恐怖と不安を誘います。
お腹が張れば真っ暗な中で時計を確認し、
1分単位でひとり、時間を数えるのです。
あと5分、あと4分・・・
あぁ、また張った。
あと10分、あと10分・・・
あぁ、身体が痛い。
あぁ、あと3分なのに赤ちゃんが動いたから心拍がとれなくなってる。
ナースコールをしてモニターをつけ直して
また10分間やり直し・・・。
4人部屋だったけれど、
わたしはカーテンから出られなかったし
トイレ以外は寝たきりだったので
ほかの3人の声は聞こえても
交流を持つ機会がありませんでした。
尚更に孤独でした。
その間も、副作用で身体が震え、
全身が熱く、動悸が続きます。
わたしの心拍が早いおかげで、
つながっている赤ちゃんの心拍はもっと早く脈打ちました。
ただでさえ早い赤ちゃんの鼓動が、最高で190まで上がっていました。
毎朝モニターをつけ、
お腹の張りと戦いました。
張りが収まらなければまた点滴が上がり副作用が出るために
そのモニターの時間は本当に憂鬱でした。
しかし、副作用はこれだけでは終わらなかったのです。
わたしのお腹の張りは落ち着くことがなく、
とうとう新しい点滴を追加することになります。
次回へ続きます。