脱走兵 Go over the hill
今回も軍事に関する表現を勉強していきます。
今回紹介するのは、「(兵士が)脱走する」を意味する表現、go over the hill です。
直訳すれば、「峠を越える」といった意味になると思います。
この「峠」・「丘」は柵と考えて差し支えないと思います。
柵を超えて兵士が脱走するという感じで捉えていただければと思います。
実際、規律や訓練が厳しくて逃げだす兵士は、古今東西世界中いるんです。
自衛隊だって、訓練や規律の厳しさで逃げ出す者もいれば、諸処の問題で行方不明になる隊員もいます。
そうなると所在不明隊員として全国に情報が発信され隊員を探すことになります。
さて、これをもう少し軍隊的なひょうげんで言い表しますと、AWOL (エイウォ―ルと発音します)となります。
これは、acronym で、Absent WithOut Leave の略語なんです。
つまり、「無許可離隊」ということになり、処罰の対象となります。
アメリカではMP( Military Police) 憲兵が捜査をします。
米軍は、司法制度も確立されており、judicial punishment 法的処罰 若しくは non-judicial punishment 指揮官の判断による処罰が下されます。
前者は、軍法会議(裁判官、弁護士、検察、陪審員全てが軍人で構成される)が開かれ、有罪・無罪が審議されます。
有罪となり禁固刑が確定すれば、軍の刑務所に収監されます。
私は、軍の刑務所には行ったことはありませんが、テキサス州の保安官管轄の刑務所を研修した経験があります。
実際、囚人は、マンガで見るようなシマシマの囚人服を着ています。
罪の重さによってシマシマの色分けがされていました。
実際の刑務所の環境は劣悪で中庭のバスケットコートのトイレにはゴキブリが群がっていました。
普通の人間なら耐えることができないと思います。
彼らの表情を見ることが出来ましたが、本当に「良い顔」ではなかったという印象がありました。
さて、話を戻します。
この表現の使い方は、We need to know more about why soldiers go over the hill. 「我々は、何故、兵隊は脱走するのかもっと理由を知る必要がある。」となります。
因みにGo over the hill の go を抜いた場合は、普段の会話でもしょっちゅう使う表現となります。
Over the hill となれば「最盛期を過ぎた」、「年老いた」、「(病気や危機が)峠を越えた」などの意味となります。
使い方は、Jack finally admitted he’s over the hill. 「ジャックは、最後には年を取ったことを認めた。」となります。
私が、現役自衛官であった頃の階級は曹長でした。
曹長と言えば、陸曹(軍曹)の最上級の階級です。
若い隊員から見れば、I was an over-the-hill soldier.だったに違いありません。
しかし、今は中小企業の経営者1年生。
右も左もまだまだ分からないことだらけで、経営者としては、over the hill どころか、まだまだ登頂すべき丘は遠いです。
頑張っていきます!
では、また
こうちょ