Chapter 5 Exam…yeah, right. I aced it! | 熱血講師 ショーン 近藤 Leadership & Language Boot Camp

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Chapter 5 Exam…yeah, right. I aced it!
入隊試験

哲は、決心した。よし、この自衛隊という組織に入って今までの遅れを取り戻して同級生と肩を並べられるようにしよう。自衛隊は、ある意味国営企業みたいなものであるし、身分は特別職国家公務員であるとの説明位を受けた。「特別職国家公務員」ほぼ教養もなく世間知らずの哲にとっては、なにかものすごい身分が与えられると思うと、やはり自分の決心は正解だと強く思い込むようになった。そして親の説得に当たるのである。父親は、例の静岡の町工場への就職には反対していたが、今回の自衛隊入隊にはある程度好意的に受け止めていた。母親は、あんな厳しい組織でやっていけるわけはないから普通に建設会社を地元で探して就職するべきだと反対していた。しかし、哲は、一度決心したら譲らないのである。まったくもって馬鹿野郎である。なんだかんだで両親、親戚を説得し入隊試験受験の許可まで取り付けることができた。そして、また例の地方連絡部に赴き試験を受けた。その受験がまた有り得ないことの連続であった。時代は、何度も言うようだがバブル全盛期である。自衛隊は新隊員が欲しくて仕方がなかったのだが、誰も受験しないのである。自衛官ABのように毎日パチンコ屋、駅、繁華街でプラプラしている若者に、「お兄さん、いい身体してるね。スポーツかなにかしてるの?仕事してるの?えっ、仕事してない。ちょっと話しようよ。自衛隊って知ってる?」なんて毎日毎日勧誘しているがあたりは全くないと言ってよい状況である。そこに哲みたいな鴨が来たからには是が非でも入隊させなければまずいのである。募集事務所勤務の自衛官として勤務成績に多大な影響がある。「遠藤君、これ筆記試験なんだけど、氏名書く欄に名前だけ書いてあとは提出してくれる?」と自衛官Bに言われた。哲は「分かりました。」と言い、名前だけ書き試験用紙を提出した。どういうことなのか意味を理解できずにただ指示通りに従った。自衛官Aは、またもスルメをストーブで炙っている。「遠藤君、スルメ焼けたから食べなよ。ゆっくりして。お茶飲んで休んでよ。」哲は、試験てどうなってるんだ、と疑問に思った。なんだ、この適当なやり方とあまりにもリラックスな雰囲気は自衛隊にそぐわないと感じていた。でも、それは現実であった。よくよく見ていると自衛官Bが回答を書き込んでいた。自動的に筆記試験合格というカラクリである。「遠藤君、誰でも合格する試験だからね、大丈夫だよ。問題なのは身体検査だから。まずは第一関門突破だよ。」と言われた。哲は、「こんな適当で自衛隊に入隊できるのか?本当にこれでいいのか?」と疑問に感じたが、とりあえず哲には哲の現状打破という目標があったので何も言わず、身体検査の日程を承知し、帰宅しようとした。帰り際、自衛官Bが、「遠藤君、ちょっと待って。」と言い、殻付き生の帆立貝6枚をお土産で持たせてくれた。哲は、感動していた。あの浜松の会社と比較したら天と地だ。自衛隊は凄い。新たに入る人間にここまでしてくれるのか、と感慨にふけっていた。しかし、それに馬に対する人参とムチの人参だったのである。


to be continued....