壬生義士伝「維新に取り残された東北藩の侍」 | 映画と音楽のある生活

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  「たそがれ清兵衛」のラストで朋江と結ばれた清兵衛だが、3年後

新政府軍の戦に従軍させられ鉄砲で撃たれて戦死してしまう。

 私見だけれど、維新も農作物が豊な南国の長州藩や薩摩藩が

中心で、雪深い東北地方の藩は取り残されていた様に思える。

それなのに、維新の内戦の最後の戦場が東北地方だったのは

気の毒な限りだ。

 もともとこの作品は、レンタルで見ていたが今回BSで再視聴した。

  盛岡藩出身の吉村貫一郎を演ずる中井貴一は、朴訥で飄々と

しながら東北に残して来た家族を思いやる姿を上手く演じている。

孤高で人と交わりを拒む佐藤浩市が演じる斎藤一とは好対照の

キャラクターだ。いまや、斎藤一は「るろうに剣心」で有名といった方がいいかもしれない。

 死にたいと言っていた斎藤一が維新後も生き残り、家族の為に

死ねないと言っていた吉村貫一郎が、官軍の鉄砲隊に単身で

突っ込んでいくのは皮肉な展開だ。

 ラストに幼馴染(三宅裕司)を頼り盛岡藩邸に行くが、切腹を命じ

られる。出された立派な刀も「にぎりめし」も手をつけず、壁に

家族への思いを書いて自刃して果てた姿は哀れをさそう。

 新田次郎の原作を映画化した作品。

                 BSにて再視聴